第61話 制止
「殺す!」
ワルアルテは先手必勝とばかりに、自らが一番得意とするリズムを繰り出してみせた。
BPM 125
ドンタドドンタン3タタタタタタ3タタタタタタ
ドンタドドンタン3タタタタタタ3タタタタタタ
言うだけの事はあって、ワルアルテは興奮しながらも正確に、迫力のあるリズムを叩き出した。
「ふうん、
3連が得意なのね」
ティンタは落ち着いた様子だ。
BPM 125
ドンタドドンタン3タタタタタタ3タタタタタタ
ドンタドドンタン3タタタタタタ3タタタタタタ
音は軽い。だが正確さにおいては、ティンタがわずかに上回っているようにも見える。
「ふん、そんな軽いリズムでさばけたと言えるのか?
テンポを上げるぞ!」
BPM 140
ドンタドドンタン3タタタタタタ3タタタタタタ
ドンタドドンタン3タタタタタタ3タタタタタタ
その巨体をよじらせながら、さらに速いテンポでリズムを繰り出すワルアルテ。
だがそれに対して、ティンタが動揺する様子は微塵もない。
「こんなふうにしちゃう?」
BPM140
ドンタドドンタン3タタタタタタ3タタタタタタ
ドンタドドンタン3タタタタタタ6タカタカタカ3タタタ
「何っ、カウンターだと?!
なんだそのスピードは?」
「どうぞ、やってみてはいかが?」
拍の勝負において、敵が提示したリズムを丸のままコピーするのではなくさらに難しくして返すことをカウンターと言う。
ティンタはこれが得意だった。
というか、実力に差があるとそうすることで勝負を早く終わらせる事はよくあることだ。
さらに実力者同士だと、カウンター合戦となるのも当たり前だった。
「うおっ…」
BPM 130
ドンタドドンタン3タタタタタタ3タタタ…
ドンタドドンタン3タタタタタタ…
「ぐっ」
ワンアルテは少しダメージを負ったように見えるが、それでも根性で膝をつかずに耐えている。
だが、そのまま放っておくティンタではない。
「じゃ、次ね」
BGM 190
ドンタドドンタドドンタドドンタド
ドンタドドンタドドタカタタタタタン
「…速すぎる」
さすがのワルアルテも、完全に面食らってしまい、なすすべなく立ち尽くしていた。
「そこまで!」
老師の声だ。
「この勝負、無しとする!
この神聖な寺院で、ナーバとドゥールが争い事などあってはならぬこと
ましてや大事な対抗戦を控えておるというのに、怪我でもされたらたまったものではない」
「大丈夫よ、この程度のことで怪我も何もないわ」
ティンタはケロリと言い放つ。
「貴様、このままで済むと思うなよ」
ワルアルテは胸を抑えながらも強い視線でティンタをにらみつけた。
「あらら、思いっきり雑魚のセリフだわ
残念だけど、どうひっくり返ったってあなたに勝ち目は一切ないと思うけど」
「いい加減にしろ!これ以上の挑発は許さぬぞ!」
こめかみに青筋を立ながら大きな声で制する老師。
「何もこんなことしなくても、ヌァンラがいたら私が最初に代表に選出されたのよ
なんたって彼が陰日向で私が強くなるように、ずっと尽くしてくれていたんだから」
「なんだと…?」




