第54話 二人の護衛
「あれ、確か…アミリアさん?」
「そうだよ
覚えててくれたんだ」
シュンは人を覚えるのが得意だが、ライドンはあまりよくわかっていない様子だ。
アミリアは、グレイグ火山のレッサードラゴン討伐隊にいた。クロニア律動連盟の五人組のうちの一人である。
「あら、知り合いだった?
紹介する手間が省けるわね」
「あ、サビアラ
そうなんだ、アミリアさんとはグレイグ火山で一度会ってるんだよ」
「シュンくんだよね
もう一人はライドンくん
シュタルクからいろいろ聞いてるよ〜
ていうか、あなたたち、ジルの教え子なんでしょ?全く、それなら言ってよ〜
ドラゴンに善戦できるのもうなずけるわ」
アミリアは話しかけやすい良い先輩のような雰囲気だ。
「おい、通してもらうぞ」
乗車口を塞いでいたアミリアの横を大柄な男性が強引に入ってきた。
身長はパイスと同じか、それ以上の大きさに思えるガタイの良さだ。
口元には無精髭を生やし、短く刈り上げた髪。
まさに戦士といった雰囲気を纏っている。
ネリと同じくらいの背丈しかないアミリアとは対照的だ。
ただ、長い茶髪をお団子に結っているアミリアは、その分を合わせるとちょっとかさ増しできている。
「アミリア話してていいぞ、ちょっと休ませてくれ
朝から働きづめで、疲れててな」
大男は入るなりどかっと座り大欠伸をした。
サスペンションの効いた馬車が大きく揺れる。
そのままとなりに座るライドンを一瞥し、ニヤリと笑った。
「エイジーンだ、よろしくな」
彼の横に座るとシュンとライドンは一際小さく見える。
「シュンです」
「ライドンです」
「アミリアよ、改めてよろしくね〜
ねえサビアラ、二人とはどういう知り合いなの?」
サビアラはにっこりと笑みを浮かべた。
「シュンはわたしのボーイフレンドよ
ライドンはおまけ」
「…はっ
待ってくれサビアラ!」
「ふふっ、冗談よ、そうなる予定なだけ
クラスメートなの、学院の」
「ありゃま、なんなのこの子たち
幸せそうだこと」
呆れ顔で呟くアミリア。
「がはは!面白いじゃないか!
お前サビアラを射止めたのか?やるな」
エイジーンは逆に楽しそうだ。
サビアラは今回の旅路の全容をかいつまんで二人に説明した。
アミリアもエイジーンも普段からディアニルズの依頼を受け持つことが多いようで、今回も他の案件を別の人間に投げてまでこの現場に駆けつけたらしい。
報酬も相当な金額が支払われているようだ。
「エイジーンは、現役ではジル様に次ぐクロニアNo.2の実力者よ
そしてアミリアがその次なのよ
どう?これ以上の護衛はいないでしょ?」
サビアラが誇るわけだ。確かにシュンとライドンも納得せざるを得なかった。
「まあシュタルクが現役だったら俺たちより上だけどな
あと、ジャンだって今は先生に慣れちまったけど、その前はスターだったからな」
エイジーンはいろいろ面白い話を知っているようだ。
「え…その話、気になります!」
シュンはいつも優しいジャンが律動師時代はどんなだったのか興味が湧いた。
「ジャンは凄かったよ、ジルと出会う前は人が違うみたいにストイックだったからなあ」
「だよね、あの二人、どちらも殺伐としたところがたったもんね〜」
「…あの、どういうことですか?二人は何か特別な関係でもあるんでしょうか…?」
アミリアとエイジーンはふと顔を見合わせる。
「なんだ知らないのか?
二人は恋人だよ」
「えーーーーっ!!!」




