第49話 魅力
「いきなりそんな…びっくりさせないでよ
冗談だよね?」
キッときつい目つきになるサビアラ。
「冗談なんかじゃないわ、女の子にこんなこと言わせるなんて失礼じゃないかしら?」
こういう話になると、思いきりたじろいでしまうシュン。
「いや、それはとても嬉しいことだけど、突然すぎて」
「あら、私たちもう16才でしょ
いつでも将来の結婚相手を見定めるためにアンテナを張ってなきゃいけないのよ
あなたは素敵な男性だわ、私のお眼鏡にかなったの
さあ、明日で良いかしら?」
「ちょっと待って欲しい、心の準備があるから…」
慌てふためくシュンをニヤニヤと眺めるライドン。
こいつ、いつもこうだな、と傍観者のように内心面白がっている。
「シュンいいのか?
おれはステラに報告するけど」
女性の名前に敏感に反応するサビアラ。
「何?あなたもしかして既に婚約者がいるのかしら?」
「いや、婚約者というか…好きな子がいるんだ」
「あら、じゃあなんでさっきその子のことをすぐ言わなかったのかしら?わたしのこともいいと思ってたんでしょう?」
「いや、そういうわけじゃ…」
「え?まさかわたしを見て、何の魅力も感じなかったって言うのかしら?」
「いや、そういうわけじゃ…」
「まあ、あなたこういうことになると全く持って"ウブ"なのね
いいわ、どうやらチャンスがありそうだから、私の魅力を存分にアピールしてそっちから私を好きって言わせた方がいいみたいね」
笑みを浮かべながら、サビアラはわずかに身を屈めてシュンを覗き込んだ。確かに彼女は美しい。タルネとはまた違う魅力に満ちている。
「ねぇ、あなた、本当にいいの?
サビアラから見染められるなんて、この国にいてこんな幸運はないと思うのだけど?」
スジャータがシュンに問いかけた。
「…ああ、そうだね、サビアラは本当に綺麗だよね」
「…あなたこの国の人間じゃないのかしら?」
「いや、クロック王国の人だよ
ライドンもそうだけど、おれたちはテンポスから来てるんだ」
今度はサビアラとスジャータが顔見合わせる番だった。
「あなたたち、田舎者だったのね
よくそこでそんな実力をつけたものだわ」
スジャータは呆れた様子で言った。
「あのね、テンポスにいても名前は聞いたことがあると思うけど、サビアラはディアニルズ家の一人娘なのよ」
「え、ディアニルズってあの…」
さすがのライドンも、声が震える。
「そう、私はサビアラ・ディアニルズよ
改めてよろしくね」




