第47話 放課後の戦い
「いいよ、どこでやったらいい?」
シュンの意外な落ち着きが、サビアラを更に苛立たせる。
「ここに入りなさい、ちょうどこの部屋なら誰も入ってこないわ」
王立学院は教室が余分にいくつもあった。
放課後となると当然誰もいない部屋は数多くあり、生徒たちは好きに使っていい。
「まずはあなたを叩きのめすわ
銀髪の坊やはそのあとよ」
ブゥン…!
ドゥンバを顕現するサビアラ。
ブゥン…!
シュンもドゥンバを顕現して見せた。
初心者とは思えない綺麗に整った造形である。
そして体にはかすかに金色に輝く光が纏われている。
「お先にどうぞ」
その態度がまたサビアラの神経を逆撫でした。
「あなたね、アップダウンを覚えたばかりでわたしと対等にやろうなんて100年早いのよ
行くわよっ!」
BPM140
ドンタンドドタンドドタドンドタン
ドンタンドドタンスドタドンドタド
サビアラは上手にアクセントをつけてアップテンポの8ビートを演奏してみせる。
確かにこのレベルの演奏は、この世界に来たばかりのシュンより上手い。
ドゥンバに関しては圧倒的だ。
「いくよ」
BPM140
ドンタッドドタッドドタドンドタッ
ドンタッドドタッッドタドンドタド
「何それ、うまくアクセント出来てないじゃない」
「そうだね」
それでもシュンにダメージはない。
シュンはあえてアップダウンは使わずに出音の大きな部分だけしっかり打ち下ろすことで、リズムの表現自体はクリアに出来た。
それはプレイヤー目線で見たときに、サビアラより大きく劣るものにも映る。
しかし、リズムの表現自体はクリアしているためにシュンに動揺はない。
シュンはその事をライドンとメイナの戦いを見て学習していた。
「こっちもいいかな?」
「いいわ、打ってきなさい」
ブゥン…!
「……?
何なのよ、それ?」
※補足
アップダウンをやる理由は、
大きい音をダウン
小さい音アップ
のように、アクセントをしっかりとつけて表現するためです。
それによってグルーヴ(ノリのようなもの)が生まれます。
サビアラのアップダウンを駆使したエイトビートは、シュンにコピー不要と判断されるほどまだ拙いグルーヴでした。
しかし、サビアラがもっと上手にグルーヴの表現ができていれば、その洗練されたリズムは確実に相手にダメージとして伝わるでしょう。




