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第3話 グレイグ火山 3

行きの馬車の空気は良いものとは言えなかった。

アーネス以外の四人は、既に顔見知りで一緒にタスクもこなしている。

本来仲良く"よもやま話"でもしたいところだが、リーダー格といってもいいライドンが一言もしゃべらない。

そして、この馬車のオーナーでもあり、明らかな異彩を放つアーネス。こちらも全く言葉を発さない。

たまにネリがたわいのない会話をしようとするものの、アーネスに目線を向けられるだけですごすごと尻込みしてしまう。

こういう空気が苦手なシュンには、まさに地獄だった。


「あのさ、ネリ

グレイグってどんなところなんだ?」


物を知らないシュンにとって物知りなネリは最高のパートナーだ。


「グレイグですか、

あそこは年中噴火の可能性がある、かなり活発な火山ですよ。

火口近くは熱くて近づけないですし、火山灰だらけで山頂に行くのは大変です」


ネリは丁寧に答えてくれる。


「そうなんだ、

でもタスクを要請してくれる人もいるわけだから、いっぱい人は住んでるんだよね?」


「そうですよ

火山から舞い降りる灰のおかげで、あの辺りは王国最大の穀倉地帯となっています

他にも茶葉であったり作物の育成も盛んで、人口も少しずつ増えているようです」


「そうなんだ、火山って凄いんだなぁ」


「グレイグはもともと山の名前なんですが、そこに街ができたので、そのままあたりをグレイグタウンと呼ぶようになったんですよ」

「さらにグレイグドラゴンは街の守り神として信仰を集める存在となっています」


「本物のドラゴンが神様として祀られているなんてすごいね」


「はい、女神様信仰とも相性が良くて、

女神様とドラゴンは面識があるのではとすら言われています」


「あのさ、ちょっと腑に落ちないんだけど

そんな神様として崇められているドラゴンの眷属であるレッサードラゴンを討伐しちゃっていいものなのかな?」


「いいと思います

タスクがある位だから」


「……じゃあ宗教的な事情は?」


「わかりません

私はドラゴン信仰は特にしていないので… 」


「そっか…」


ネリにもわからないことは、ある。


「ふっ、どうせならその大元の神様のドラゴンに会ってみたいものだけどな」


初めて口を開くアーネスに、なぜか黙ってしまう一同。

ライドンは目をつむり寝入っているようだ。


ポツポツ…。


気づくと、馬車の屋根に雨粒が当たるような音がする。


「雨かな、特に道が濡れている様子はなさそうだけど…」


「違うわ」


スーノが静かに言葉を差し挟んだ。

彼女はわずかに顔を上げ、外の気配を探る。


「これは火山灰よ」


「え、意外と早く着くね」


「私以前に観光で来たことがあるんだけど、ここからあと1時間は多分かかるわよ

馬車でよかったわ、歩きだと大変だから」


ドラゴンとの遭遇は近い。


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