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「殺していいのか?」


 タイガーの問いには「出来れば半殺しまでで。ラトーバ警察には知人が居るしデータ改竄(かいざん)も可能だから、彼女を守りきってくれた後は面倒はかけないよ」と請け合った。


「もう、すでに面倒だぜ」


 タイガーは、ご機嫌斜めだ。


「まあまあ。かわい娘ちゃんを守るのは、おれは嫌じゃないね」


 チーターは嬉しそうだ。


「エマを守る。残りの殺し屋を殺す。そして、雇った奴も殺す」


 ジャガーの言葉に、3人は頷いたのだった。


 (あらかじ)め、レイから送られていたエマのデータを元に、彼女に接触する。


「あなたがキャットさん?」


 彼女もレイに状況を聞いているようだ。


「そうよ。わたしが、あなたを守るから安心して」


 キャットが満面の笑みで保証する。


「キャットさん、かわいすぎます。優勝しそう」


 エマも笑った。


 白のドレスの彼女も、かわいい。


「わたしは優勝しても辞退するから大丈夫よ」


 美娘2人は笑い合った。


 ミスコンの審査が始まる。


 キャットは自らのアピールはそこそこに、エマを見守った。


 彼女は天性のチャーミングさで、会場の皆を(とりこ)にしている。


 と、舞台袖(ぶたいそで)に居たスタッフの1人が突然ステージに出て、エマに迫った。


「エマちゃん!」


 男が叫ぶ。


 キャットはエマを背に(かば)った。


 両手を広げて突進してくる男を、タイガーの右パンチが打ち倒す。


 男に(またが)り、抑えつけた。


「お!? こいつ!」


 違和感を覚えたタイガーが、男の上着を引き破れば、身体に巻き付けた爆弾が現れた。


「ヒヒッ、エマちゃん!」


 タイガーのパンチで、半ば酔ったような状態の男が笑う。


「僕といっしょにエクスプロージョンしよーよー!」


「イカれてやがる」


 タイガーは呆れた。


「時間がないぞ」


 ジャガーが爆弾に、ご丁寧に表示されているタイマーを見て(うなが)した。


「おい! 爆弾を止めろ!」


「ヒヒッ、僕にも、もう止められないのさ!」


 タイガーがすごんでも、男は笑っている。


「爆弾を外させろ」とジャガー。


「嫌だ! 外すもんか!」


 男が首を左右に振った。


「腕を折るぞ!」


 タイガーは男の腕を、ひねり上げた。


「3、2、1」


「ひー!」


 情けない声を発し、男が爆弾を外す。


 タイガーはワンパンチで男を気絶させ、ようやく駆けつけた警備員に引き渡した。


「キャットさん!」


 エマが呼んでいる。


 しかし、キャットは爆弾を持ち、会場の外へと走りだした。


 駐車場のエアカーに飛び乗る。


 助手席に爆弾を置いた。


「これで走るのか? イカれてるな!」と、タイガー。


「元からイカれてるだろ!」


 笑ったチーターがハンドルを握った。


 流れるような操作で、車を発進させる。


「ナビは?」


 チーターが、キャットに訊いた。


「港があるわ!」


「海に落とすか」と、タイガー。


 チーターの超絶ドライビングテクニックが、あり得ざる高速で、エアカーを近くの港に運んだ。


 波止場の先に、海が広がっている。


 タイムリミットは近い。


 キャットが、ドアを開けた。


 猛スピードのエアカーから、本物の猫のようなしなやかさで飛び降りる。


 車は海に落ち、数秒後、大きな水柱を上げた。


「危ねー!」


 チーターが額の汗を(ぬぐ)う。


「レイに連絡しろ。殺し屋の情報を送れと」


 ジャガーの指示に、キャットは頷いた。




 3日後。


 ラトーバのビーチに、フリーメン4は居た。


 キャットがセクシーな水着姿で、クルッと回る。


「どう?」


 チーターとタイガーが褒め、ジャガーはやはり答えない。


 燦燦(さんさん)と輝く太陽の下、走りだしたキャットは海へ入り、泳ぎだす。


 ビーチの人々からは死角となった小さな岩場に上がった。


 美しい肢体を横たえる。


「オイル、塗ってよ」


 チーターが塗ってくれた。


 と、急に日差しが(さえぎ)られる。


 ブーメランパンツを穿いた筋肉質な大男が、見下ろしていた。


「フリーメン4だな?」


 男の分厚い唇が開く。


「わたし、モテモテね」


 キャットが、はしゃいだ。


「こんな奴にモテてもな」


 チーターが呆れる。


「んん?」


 マッチョマンが怪訝(けげん)な顔をする。


 彼の名はジバブ。


 殺し屋の残りの1人だ。


 またぞろ、レイの情報操作の餌に食いついたのだった。


「大人しくしろ。このビーチに武器は持ち込めない。お前じゃ、俺には絶対に勝てない」


 ジバブが太い両腕をこちらに伸ばした。


 タイガーが、その両手首をがしっと掴む。


「何のつもりだ? 無駄だぞ」


 ジバブが笑った。


 しかし、その笑顔は、すぐに青ざめた。


 タイガーが、彼の両腕をひねり上げたからだ。


「ぬうぅ!?」


 玉のような汗が、ジバブの額から(したた)り落ちた。


「ウソだ! こんなことは! あり得ない!」


「オレと戦うのは、100年早かったな」


 笑ったタイガーはジバブの剛腕をへし折り、続いて首を叩き折った。


 殺し屋が、その場に崩れる。


「これで後は」


 キャットが右手の人差し指を顎に当てた。


「敵の(あたま)を潰すだけね」


「オレたちに手を出したことを後悔させてやる」とタイガー。


「さっさと終わらせよーぜ。ちょっとは休みてぇよ」


 チーターが欠伸(あくび)する。


 殺し屋を雇った相手の情報は、すでにレイから得ていた。


 惑星サーキラの都市カナリスに拠点を持つマフィアのボス、ガルニド。


 かつてフリーメン4は、彼の弟を始末した。


 その復讐が、今回の騒動の原因だ。


「奴の生命を奪う」


 ジャガーの宣言に、他の3人は頷いた。


 優しい浜風がキャットのブロンドをなびかせ、太陽が美しく輝かせた。





















 







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