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 車に戻り、スマホを見た。


 レイからメールが来ている。


「ダオを動かしてた奴が分かった。そいつは2人、殺し屋を雇って、あんたたちを殺すつもりだ」


「教えて」


「頼みがある」


「現在進行で殺し屋に狙われてるんだけど」


「先に片方を教える。その代わり、2つ頼みたい」


「2つ!」


 キャットは呆れた。


「こいつから、ひねっちまおうぜ」


 タイガーが笑った。


「おれたちを狙う者は消す」


 ジャガーが、ぼそりと断言する。


 3人は頷いた。


 キャットは「教えて」とメールを送った。


 1人目の殺し屋の詳細が送られてくる。


 そして、その後、ひと組の兄弟の情報も。


「ザッパ兄弟。極悪人だ。今はラバーン荒野の遺跡で、大昔の宝を(あさ)ってる」


「この2人を片付けながら、こっちを狙ってくる殺し屋も始末しないとね」


「フリーメン4なら楽勝だろ?」


「いつか締め上げてやる」


 レイの返信を見たタイガーが、豪快に笑った。




 フリーメン4殺しを請け負った2人の殺し屋の1人、ゼルガはラバーン荒野の丘陵(きゅうりょう)のひとつに陣取り、うつ伏せに寝ていた。


 視線の遠く先には、曇り空の下、巨大な遺跡が威容を誇っている。


 悪名高いザッパ兄弟とその手下たちが、数多(あまた)ある入口の1カ所の前に、いくつかテントを張っていた。


 もう何日も、彼らを見張っている。


 ザッパ一味(いちみ)はまだ、目当ての物を見つけられていないようだ。


 ゼルガはフリーメン4がザッパ兄弟を狙っているという情報を掴んでいる。


 4人が兄弟を襲う瞬間を逃さずに、仕留める(はら)だ。


 フリーメン4の1人、ジャガーという男は早撃ちの名人で、あらゆる銃の扱いに()けていると聞く。


 ならば、こちらと同じようにスナイパーライフルの使用もあり得た。


 ゼルガは愛銃を構え、スコープを覗き込む。


 ザッパ兄弟たちの動向を確認した。


 彼らは盗掘の装備を整え、遺跡に侵入しようとしている。


 あの兄弟を狙撃するなら、ジャガーはどこに位置取るか。


 ゼルガは考えた。


 彼の居る丘から左に、遺跡への距離が同程度の丘がある。


 そちらにスナイパーライフルを向け、スコープで探った。


 瞬間。


 こちらにスナイパーライフルの銃口を向ける人物を発見する。


(ジャガーか!?)


 しかし、予想との明確な差異に、零コンマ何秒かの混乱を生じた。


(何!?)


 相手は、その隙を見逃さない。


 ゼルガは眉間を撃ち抜かれ、死んだ。




「さすがね」


 キャットが感心する。


 ジャガーは無言でスナイパーライフルを分解し始めた。


 フリーメン4はレイを通じて、殺し屋の1人ゼルガに、ザッパ兄弟を彼らが狙っている情報をわざと掴ませた。


 そして、この荒野でザッパ一味を見張りつつ、ゼルガが来るのを待っていたのだ。


「これで邪魔者は消えたな」


 チーターが笑った。


「もう1人の殺し屋は大丈夫かしら?」とキャット。


「なあに、現れたら、オレが首をへし折ってやるよ」


 タイガーが()け合った。


 ジャガーはバラした銃をアタッシュケースに、しまい終える。


「行くぞ」


 彼が、皆を(うなが)した。


 4人はエアバイクで丘を下り、遺跡へと向かう。


 ザッパ兄弟が入口に残した見張りの2人の男を、ジャガーが瞬く間に撃ち殺した。


 バイクを停め、一味の後を追う。


 見張りと連絡が取れないと気付かれる前に、片付けたい。


 暗視ゴーグルをつけ、足早に進んだ。


 ザッパ兄弟たちは痕跡を消すような配慮はしていない。


 宝を探すことに注力しているのだろう。


 さして時を要さず、彼らに追いつけた。


 敵は兄弟を含めて10人。


 最後尾の男を、タイガーが音も無く絞め殺した。


 その次の男も始末する。


 しかし、今度は音を立ててしまい、異変を察知したザッパ兄弟が振り返った。


 ジャガーのハンドガンが、あっという間に手下とザッパ弟を撃ち殺す。


 残ったザッパ兄が通路の陰に隠れ、銃で応戦してくる。


「クソ! 誰だ!? ぶっ殺してやる!」


 半ば、パニックを起こしていた。


「任せろ」


 ニヤッと笑ったタイガーが、リロード中のザッパ兄に、大型肉食獣の如き、しなやかな動きで接近する。


「ちくしょう!」


 ザッパ兄が銃底で殴りかかるのをかわし、タイガーは両手で敵を投げ飛ばした。


 悪党は遺跡の通路壁にぶつかり「ぐえっ!」と悲鳴を上げる。


「そんなバカな!? この化物め!」


 ザッパ兄が呻いた。


 彼がフラフラと立ち上がったところへ、タイガーはパンチを叩き込み、倒れた相手の首を踏み折った。


「まずは順調ね」


 キャットが微笑む。


「レイの頼みをもうひとつ聞いて、残りの殺し屋の情報をもらわないとな」と、チーター。


「面倒だぜ。そもそもダオに命令した奴が居るって話が怪しい。レイが裏切ってんじゃないのか?」


 タイガーが、鼻を鳴らした。


「わたしはレイを信じてる」とキャット。


「もし、裏切っていたなら」


 ジャガーの眼が光った。


「レイも殺すだけだ」


 他の3人は、無言で頷いた。




 惑星サーキラの兄弟星ダルミスの都市ラトーバのミスコン会場に、フリーメン4は乗り込んだ。


「どう? わたしの衣装」


 キャットが訊く。


 黒のドレスがセクシーだ。


 チーターとタイガーは褒め、ジャガーは答えなかった。


 レイの2つ目の頼みは、このミスコンに参加する若い娘、エマの警護だ。


 ストーカーに狙われているらしい。


 しかも、その30代男は爆弾を作れる。


「警察に捕まえさせなよ」


 キャットの送ったメールに、レイは「今日で終わりにしてあげたいんだ。彼女はボクの恩人の娘さんでね。(きみ)たちなら確実にエマを守れるだろ?」と返してきた。



























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