第17話 俺とスキル考察とアイツ
間に合った……。
次は取得未満スキルだ。
【歩き】は、特に言う事はない……。歩いていれば、数値は上がるんだから。その代わりに、数値の上りは他のより遅い気がする。ただ、これが取得スキルになった時に、どうなるかは知りたい。単純に、歩くスピードが速くなるのか、それとも歩き易くなる? のか、予想できないしな。
【恐怖耐性】は、いつも通りよく分からない。今回、牛との対戦で数値が上がってないが、ウサギとの戦いの後は、微妙にだが数値が上がっていたりする。本当に謎なスキルだ。文字からして、恐怖に耐性があるという事は分かるのだが……。
【物拾い】【観察】【採取】に関しても、別段、考えることもない。いつも通りだ。そのスキルの行動をしたら数値は上がる、【歩き】スキルと同じで行うのが簡単なためか、数値の上り具合は遅い。そんなところだ。
【潜伏】は、なんで覚えたのかは、結局分からないが、数値が上がった理由は分かる。おそらく、牛との戦闘時に、逃走して咄嗟に隠れ、木の陰から牛に攻撃をした行動が潜伏となったのだろう。
敵に見つからないように行動。それが、数値の上げ方だと思う。まぁ、何故か牛にはバレバレだったみたいだが。
【逃走術】も、数値が上がっているのは、おそらく、最近、敵から逃げてばっかりだったからだろう。イノシシ然り、牛然り。まぁ、大きいサイズの敵とは、罠に誘導しながら戦うしかないので、これからも【逃走術】は上がるだろうし、必要となってくるスキルだ。
上り方についてだが、おそらく、敵から完全に逃げると敵に追いつかれるとでは、上り方が違うだろうと思われる。あの泥棒ウサギと時は、完全に逃げる事が出来たので、数値も大幅に上がった。今回の牛や、イノシシは、最終的には追いつかれたため、数値の上りが少ないのだと思う。まぁ、根拠となるサンプル数が少ないので違うのかも知れないが、大体はあっているだろう。
【道具作成】は、どうやら【武器作成】と似ているが、違う生産スキルだ。【武器作成】が名前の通り武器を作成することで、数値が上がるが、【道具作成】は、道具を作る事で数値が上がるのだろう。竃や皿、お箸を作った時に取得したことから、武器ではなく、あくまでも道具として作った時に数値が上がるのだろう。ただ、この武器と道具の境界線は意外とあいまいで、料理中にもやったが、串を武器としてイメージするか、道具としてイメージするかで、どのスキルが発動、効果があるか変わってくるみたいだ。
【我流剣術】については、先程も少し考察したが、もう一度考えてみる。
まず、疑問一つ目。【我流短剣術】が、いつの間にか【我流剣術】に変わっていたことだ。先程の結論では、俺の知らない取得方法がまだあるんだろうと納得したが、よく考えてみると、これは、おそらくだが、短剣術が幅広く使える剣術にバージョンアップしたのではないかと思う。ツリー構造だっけ? ああいう感じに、剣術スキルの中に、短剣術のスキルがあって、最初に俺がナイフを使っていたことから、短剣術スキルが取得未満スキルとして出現したが、俺が剣を使うようになったことで、短剣術……短剣を使う事でしか効果が無かったスキルが、剣全般を使えるスキルに変わったのではないかという事だ。
うん……。これは結構当たってるんじゃないかな? まぁ確かめる方法は無いんだけどね。
そして、疑問二つ目。何故、取得もしていないスキルの技が発動したのか。これについては、もうすべてが謎である。まず、前提として技というのは、そのスキルを取得して初めて発動出来るものだったはずだ。いや、この場合、俺がそう勝手に思い込んでいたということか。とにかく、この取得してないスキルの技を使用出来たという事は、この前提条件は崩れた。まぁ、崩れたというのも適切ではないか……この場合、スキルを取得していると技は覚えやすいが、スキルを取得していなくても技は使用できるといったところか。
ただ、現在ステータス上では、使用不可になっていることから、発動するにも何か条件がありそうだが。
まぁ、こんな感じで俺の中で定義しておけばいっか。
【我流槍術】は、銛を使ってることで出たスキルだろう。槍術となっていることから、槍とか銛とか主に突き刺す系の攻撃に補正のかかるスキルだと思う。
というか、剣術についてもそうだが、わざわざ「我流」と付いていることに、悪意を感じる。そりゃあ、今まで剣道を習ったことも、ましてや槍の使い方なんて習ったことはないけどさ。わざわざ、我流ってつけなくてもいいじゃんか。他のスキルには、【投擲】だって、我流ってついてないのにさ。何が、違うんだろう。
最後に、新しく覚えたスキルだな。
【罠作成】は、落とし穴、枝落しなどを作ったから覚えたんだろう。気になる点は、新しく出現した割には、数値が高いことかな。ただ、これはある程度予想出来る。まず、一つは、単純に罠を沢山作った事による影響だろう。それと、俺があまりステータスを見なかったことから、取得未満スキルとして出てきていても、気付かなかったことで、知らず知らずのうちに数値が上がっていたのだろうと予想出来る。そして、二つ目は、予想として、【逃走術】と同じような効果があったことによるものではないかと思われる。【逃走術】は、敵から逃げるのに、追いつかれるのと完全に逃げ切れるのとでは、数値の上りが違うと俺は予想しているが、この【罠作成】にも同じような効果があるのではないかと、俺は考えている。それは、罠を作って、それに敵が引っ掛かったか否か。もちろん、引っ掛かった場合には、数値の上りは良くなる。そう俺は考えている。だとするなら、イノシシや牛に、罠を引っ掛けているので、数値が高いのも納得できる。
なんか、生産系のスキルというより、戦闘系のスキルみたいだな。まぁ、罠ということもあり、両方を合わせ持ったスキルということなのかも知れない。
【回避】を覚えた理由は、敵の攻撃を回避していたからという事か。まぁ、俺の戦闘は、基本的に攻撃を受けないことを目標、というか、一撃でも受けたらほぼ致命傷になるので、回避重視になるしかない。ただ、このスキルが出たこと自体は嬉しいのだが、俺的には、もうちょっと早く出てきても良かったかなとは思っている。俺、結構、攻撃避けてたと思うんだけどな。主に、ウサギからの攻撃。まぁ、文句を言ってても仕方がないことではある。今後の戦闘をより楽にするために、早くこのスキルの数値が上がる事を祈るだけだ。これも、敵がいないとまず成立しないスキルだしな。自力では上げられないし。
そして、最後に【釣り】スキル。これも言わずもがな、釣りをしたことで覚えたのだろう。数値の上げ方は、釣りをすることかな。というか、それ以外の方法は無いだろう。本来、釣りというものは、魚を針、罠に掛けることからして、【罠作成】スキルで予想したように、魚が引っ掛かると数値が多く上がるという事も、もしかしたらあるかもしれない。今は、数値が 0.10 とピッタリなので検証するにはいい機会だ。もし、魚を釣り上げたことで、0.1ずつ数値が上がるとしたら、次の魚を釣り上げた時には、 0.20 となっているはずだ。
うん。これは、要検証だな。
今、放置している仕掛けを見に行く時に、一度ステータスを見てから、魚が掛かっているか確認するとしよう。
「ふぁーぁ」
さて、あくびも出て、そろそろ眠くなってきたことだし、反省もここまでにするか。
俺は、竃の火を消して、寝床につく。
こうして、俺の慌ただしい八日目は過ぎていった。
異世界生活九日目。
いつも通り、早く起きた俺は、川に洗濯に……ではなく、顔を洗いに行く。
朝ご飯は、豪華で、昨日のお肉の残りである。もう、異世界サバイバル生活九日目の俺にとって、朝からガッツリ肉を食べるの!? とか全く気にしない。食べないと生きていけないのだ。そんなことをいちいち気にしていたら、やっていけない。
朝食を食べ終えた俺は、さっそく、昨日考えた【釣り】のスキルの上り方の検証をするため、あわよくば、魚という食料を手に入れるため(というか、こっちが本命)昨日仕掛けた釣り場へと行く。
俺は、最初にステータスを確認してから、釣り糸を引き上げる。
結果、魚は掛かっていなかった。とても残念だ。まぁ、そう上手くいくとも思ってないが。
針に付けた餌は、跡形も残っていない。
という事は、食べた魚はいるはずだ。今日はそのことを確認しただけでもいいだろう。次に期待だ。
俺はそれから、持ってきた最後のヘビ肉を釣り針に取りつけ、もう一度、川へと放り込む。
明日は、掛かっててくれよ。
さて、肝心のステータスはというと。
【釣り】0.10 → 0.11
0.01だけ上がっていた。
「少ないな。おい。」
魚が引っ掛かっていなかったからだろうか。随分と少ない経験値である。
「……」
いや、ポジティブに考えてみよう。
ここは、釣りを一回するごとに、数値が 0.01 ずつ上がると考えるんだ。
そうなると、このまま魚が釣れずに、釣り糸を垂らしていれば、計100回でスキルが取得できる事になる。
「……」
多いな……。
それと随分先の話である。でも、まぁ他のスキルも似たようなもんなのだ。コツコツと頑張るしかないだろう。むしろ、数値の上り具合が分かっただけでも御の字である。
「次の仕事に行くか…」
俺は、釣り場を早々に後にし、次のすることの場所に向かうのだった。
俺が、釣りの次にやる事は、昨日の戦闘の後片付けだ。昨日は、日が暮れかかっていたこともあり、最低限の後片付けをして、牛と戦闘していた場所から去ったのだ。
今日は、昨日の後片付けの続き、主に、落とし穴と枝落しを元に戻す作業を行っていく。
落とし穴は、穴を隠していた細い木の枝や、葉っぱを穴から取り出して、もう一度、穴を隠していく。
ただ、森の中での作業は、辺りを警戒しながらの作業なので、簡単な作業でもなかなかすぐには終わらない。
落とし穴を復元した後は、枝落しだ。
これは簡単である。牛に当たってバラバラになった枝を拾い集めて蔓で結び、枝落しを作った時と同様の手順で直していくだけである。
そして、午前中、最後の仕事。俺は、昨日取ってきて放置していた隠れ実を取りに行く。
確か、森の入り口近くの茂みに隠していたはずだ。
俺は、いつもの装備で辺りを警戒しながら森の中を進んでいく。
道中は何事もなく、無事隠れ実を隠した場所までたどり着いたが……。
「隠れ実がない!」
昨日、隠した茂みに隠れ実は無かった。
勿論。似たような植物が多い森の中。隠していた場所の記憶があいまいである事も考え、辺りの茂みの中はすべて探した。
だけど、見つからないのだ。
「動物にやられたか……」
太陽が天高く昇るころまで探したが見つからなかった俺は、そう結論を出した。
結局、無駄足となった俺は、昼食を食べに拠点へと引き返すのだった。
昼食は、またお肉を食べた。というか、お肉しかない。朝、肉を食べた後、どうせ隠れ実を取りに行くと決めていたので、デザート気分でストック分の隠れ実を食べてしまったのだ。まぁ、贅沢は言えない。お肉があるだけましなのだ。
俺は、肉を炙りながら、黙々と昼食を摂るのだった。
昼食を食べ終えた後、俺は、マッチ棒を補充しに、火ネズミの所へと向かっていた。
さっき隠れ実を取りに行った時に、一緒に補充しとけばよかったのだが、俺がマッチ棒の残りを見誤っていたことで、また森を往復することになった。
どうも昨日の肉を焼くときに、マッチ棒を使い過ぎてしまったらしい。
という訳で、俺は森の中を歩いていた。
「ヴァ! ヴァ! ヴァ!」
すると、道中。あの幸運のカラフル鳥様が鳴いていた。
くそ! こういう時に限って、隠れ実を持っていない。あのカラフル鳥様には、食料問題、水問題を解決して貰ったというのに。
何もできない俺をお許しください。
とりあえず、俺はカラフル鳥様の止まっている木の前で、手を合わせて拝んでおいた。
火ネズミとの戦闘は、楽に終わった。
カラフル鳥様の影響かも知れない。
ドロップ品のマッチ棒を4つほど手に入れた俺は上機嫌で、拠点へと戻る。
ただ、そういう時こそ、危ないと俺は分かっているので、警戒は忘れない。
そして、火ネズミのいる草原から森へと入る入り口で、そいつと出会った。
――――技 《奪取タックル》
森の入り口の茂みの中から、いきなりの奇襲攻撃。
ただ、警戒していたこともあり、俺はそれを咄嗟に避け、後ろに飛びのき距離を取る。
そして、そいつの姿を確認する。
そいつは、忘れもしないあの日。
俺が初めて戦い、初めて逃げ出した相手。
あの泥棒ウサギだった。
次の更新は、少し空きます。次の土曜日か日曜日になりそうです。




