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第13話 俺と手入れと訓練


 俺は、【武器作成】が取得スキルになって、具体的にどのように変わったのかを比較するために、投擲用の丸い石を試しに作っていく事にする。

 という訳で、あのスリスリ作業の開始である。


 スリスリ、スリスリ……。


 スリスリ、スリスリ……。


 完成!


 と、何故かいつもの作業をしているはずなのに、早く作業が終わった。

 最初から石が、丸くかったとかではない。わざとらしく角張っている石を選んだのだ。でも、確かに、思ったような形に石を削れたり、早く石を削れたり出来ている実感はあった。

 やはり、取得未満スキルと取得スキルでは、効果がかなり違うようだ。


 さて、【武器作成】の効果も分かったので、次は皿を見ていきたいと思う。


 断じて、焼いている事を忘れていた訳ではない。ちゃんと火で皿を乾かしていたのだ。忙しくて、本当に、忘れていたわけではない。大事なことなので、二回言ったぞ。


 俺は火ネズミの毛皮を、ミトン代わりに使いながら、竃の横に作った皿を焼く専用スペースから、皿を取り出す。火ネズミの毛皮のおかげで、全然熱くない。


「うん」

 いい感じに出来ているな。


 俺は、皿の出来を確認していく。小さいヒビは所々にみられるが、大きなヒビは無いので大丈夫だろう。


「あとは十分に冷ますだけだな」

 それで、皿は完成だ。俺は、拠点の外に皿運び、そのまま風当たりの良い場所へと置いておく。

 この皿が出来れば、葉っぱに料理を置かずに済むようになる。人間らしい食事が出来るのだ。こんなサバイバル生活をしてると、そんな事が分からないようになってくるからな。俺にとっては、結構大事なことである。



 作業を続けているうちに、太陽も沈んで、晩ご飯の時間になるが、俺はもうちょとだけ作業を続けることにする。

 次にやるのは、イノシシからドロップした剣の手入れである。


 ドロップした剣は、刃の長さが大体80センチほどで、つばの部分からつかまでを合わすと、大体地面から俺の腰にとどかないぐらいの長さだ。刃が二つに付いている両刃で、装飾品などは一切付いていない無骨な剣だ。重量も結構あるので、使うとしたら基本、両手になるだろう。片手でも振れないことはないと思うが。

 そして、剣の刃には、刃こぼれしているところが、何か所か見受けられる。それに、少し錆びてもいるようだ。


「ドロップ品なのに新品ではないんだな……」

 まぁ、俺がしたいのは、悪口を言う事ではない。


 刃こぼれは、何とも出来ないが、錆びくらいなら落すことが出来るのでは? と思ったのだ。


 ちなみに、そう思ったのは理由がある。先程、皿を冷ますために外に出たのだが、その時、妙に存在感のある石を見つけたのだ。そいつは、黒く四角い石で、そこらにある石より重量があり硬かった。っていうか、見たまんまの砥石である。

 こいつを見つけたことで、剣の刃が錆びていることを思い出し、研いでみようと思ったのだ。


 という訳で、俺はさっそく剣の刃を研いでいく。もちろん、やったことはない。

 ただ、テレビでどこかの寿司職人さんが、砥石全体を使いながら包丁を研ぐと言っていた覚えがあるので、これは剣だがそれと同じ要領で研いでいく。


 シャリ、シャリと、一回一回、丁寧に丁寧に刃を研いでいく。



 【武器作成】を取得した影響なのか、何故か、初めてやったことなのにも関わらず、研ぎの作業はうまく出来た。それと、これはゲーム的システムの仕業としか思えないが、刃こぼれも何故か治ってしまっていた。小さい刃こぼれが研いで治るというのは、まだ分かるのだが、物理的に増えるってどういうことだってばよ。

 まぁ、俺的には、ラッキーな事なので、あまり文句も言えないが。こういう時は、無視が一番だね。


 そして、剣を研いだところで、どうせならと思い、ナイフも研いでいく。よくよく見ると、連日使用しているので、とても小さくだが刃こぼれしている。俺は日ごろの感謝を込めて、丁寧に刃を研いでやるのだった。


 作業を終えて、最近にしては、遅めの晩ご飯を食べる。

 フナは残さず食べたので、イノシシ肉の残りである。


 おいしい食べ物は、あっという間に食べ終える。これで、肉も無くなった。本当は、毎日でも食べたいが、イノシシとまた戦闘するのは嫌だ。また、明日から隠れ実生活だ。


 と、一人黄昏ながら、俺は早々に眠りにつくのだった。






 異世界生活八日目。


 朝ご飯には、隠れ実を一つ食べる。隠れ実のストックは、余裕を持たせたいので、今日は隠れ実を取りに行こうと、頭の中にメモする。


「今日も魚食べたいな……」

 河原で顔を洗いながら、俺はふとそう思う。昨日の巨大フナはおいしかった。

 今日も釣りたいが、すぐに釣れるとは限らない。昨日のは、いわゆるビギナーズラックというやつだ。

 第一、今日は、色々とやる事がある。



「どーすっかな」


 とそこで、俺は閃いた。



 何も、俺が釣りの場所にいなくてもいいじゃん! と。


 俺は、さっそく拠点へと戻り、ストックしてある蔓を取り出す。

 そして、作った釣り竿から、枝を外して、釣り針の付いている蔓に、今新しく出してきた蔓を結び始める。



 15分後。

 完成したのは、蔓と蔓を結んで作った長い釣り糸である。


 これを、どこか木に巻き付けてから、釣りをするのだ。そうすることで、俺は釣り竿にずっと張り付かなくていいし、違う作業も出来る。魚が引っかかっても、木に巻き付けていることで、釣り竿が持っていかれずにも済むだろう。蔓が切れたらどうしようもないが。


 俺は、さっそく河原へと行き、水が流れている場所と、木が生えている場所が、出来るだけ近い距離にある場所を探していく。


 俺は、木に蔓をしっかりと結び、ヘビの肉を付けた釣り針の部分を川へと投げ込む。


 これで、あとは放置である。出来れば、魚が釣れることを願うだけだ。



 さて、拠点へと戻った俺は、昨日手入れした武器たちを取り出す。


 今日の午前中にすることは、武器の練習である。最近は、武器も増えてきて、戦う時の選択肢も増えてきたが、上手く使えないと意味はない。という訳で、今日は改めて、武器を扱う練習をすることにしたのだ。


 武器を一通り持って、俺はもう一度河原へと行く。

 足場は悪いが、十分な広さがあるので、大きな動作をしても何かが邪魔にならない。剣を振るのにも最適だろう。ただ、森の中で戦う事もあるので、後ほど森の中での練習も行う。



 まずは、石斧からである。この世界に来て、石たちの次に付き合いの長いやつだ。

 俺の今の使い方としては、投げるはもちろん、体当たりしてくる敵に振り下ろしての自分の身を守ることが主だろうか。大体、避ける暇がないときの、ガードに使うな。


 という事で、俺は、攻撃を受けた時のことを想定して、石斧を振り下ろし、ガードする練習をする。

 まずは、ウサギの《ダッシュタックル》をイメージ。それから、火ネズミの《火の玉》。最後は、イノシシの《突進》である。


 最後のは、俺が吹き飛ばされるイメージしか出来ないが。


 振り下ろしの後は、水平に振ってみるなど、色々とやってみる。まぁ、素振りなので、イメージの種類を多くしての、計10回ずつほど振って終了だ。

 他の武器の練習もしないといけないしな。



 さて、次はナイフだ。

 今の俺の使い方としては、邪魔な蔓や植物を切ったり、食材を調理する時に使うぐらいで、戦闘ではあまり使っていない記憶がある。戦闘で使ったのは、ヘビの群れの時かな。ナイフの出番としては、石斧を投げた後の代わりとして使う事が多い。投げナイフとしても使うな。

 これを機会に、ナイフを使った戦闘をある程度イメージしておこう。

 とりあえずの振り方だが、一応、米の字を書くように、縦横斜めと軽く振っていく。大体の振り方を決めることで、咄嗟にナイフを振る時でもケガをしなくて済むだろう。

 これも、各種類を10回ほど素振りをして終了する。



 次は銛である。槍でもいいが、俺的には本来、魚を取るために作ったので銛である。

 銛の使い方としては、突く、これに限られると思う。振り回してもいいのだが、森の中では、そんなに振り回すことも出来ないし、振り回して敵を攻撃するのなら、剣やナイフを使った方がいいだろう。


「やっぱり、銛は突くしかないな」

 そして、俺は銛を構えて突く素振りをする。

 正面に突いたり、地面に突いたり、上空をついたりである。そして、大事な事が分かった。地面を突くときは、自分の足を誤って突かないようにという事である。

 気を抜いて、足の横に銛が刺さったときは、冷や汗をかいたぜ……。練習は真剣にやろうね!



 最後に剣。イノシシからドロップしたばかりなので、当然使うのが初めてである。

 使い方としては、振り下ろす、振り上げる、水平に切る。こんなところだろうか。あ、あと突くという手もあるか。振り方の型としては、ナイフと同じく、米の字を意識したらいいだろう。

 ただ、振り下ろしに関しては、一つ間違えると、誤って足を切ってしまうというのを以前どこかで聞いた事がある。ナイフは、刃の部分が短いので、それは無いのだ。


「ふぅー」

 なので、俺は、まず超ゆっくりのスピードで剣を振りながら、型を決めていく。深呼吸をして、超集中である。

 水平と振り上げる動作については、大丈夫だ。

 問題は、振り下ろしである。振り下ろした先に、、足があったら元も子もないので、ゆっくりと振り下ろしながら、どこの角度だったら、足に当たるのか当たらないのか。どうやったら、足に当たらずに剣を振れるのかを考えていく。


 俺の脳は今、時代劇の戦闘シーンの再生にフル回転である。


 結果として分かったことは、振り下ろす時に、腰も一緒に落せば、剣の刃は地面へとぶつかるので、足には当たらないのでは、という結論になった。だが、頭で分かっていても、難しいものは難しいし、足に当たるのではないかと恐怖もある。

 とりあえず、俺は水平に振ることと、振り上げることを重点的に使っていこうと決めたのだった。






 素振りも一通り終わったので、次は森の中での訓練である。俺は拠点で一休みしてから、森の中へと向かう。


「この辺でいいだろう」

 俺は、広くもなく狭くもない場所を見つけ、さっそくだが、訓練を開始する。

 最初は、先程はしなかった投擲の練習だ。普通に投げたり、技を使って投げたり、投げるものを変えたり、左手で投げたりと練習を繰り返す。

 ここで、一つ分かったことがあった。技の《一球入魂》についてだ。【投擲】スキルの数値が上がった影響なのか、溜に掛かる時間が3秒から2秒へと短縮されていたのだ。 これは、嬉しい発見である。俺の技の中で、これが一番威力の高い技なので、これの使い勝手が良くなることは、俺の生存率も上がるという事なのだ。


 投擲の練習を終えた後は、予定通り、それぞれの武器も試していく。


 ただ先程も、素振りはしたので、森の中での使って変わる事を探す目的が主だな。

 結果としては、やはり。予め分かっていた事ではあったが、リーチのある武器は、森の中では使い難かった。剣も銛も、大きな動作をしたら、それだけで、木にぶつかったり、藪に引っ掛かったりと大変だった。まぁ、それを確認するための森の中での訓練だったので、それでいいんだが。


 訓練自体の感想としては、収穫の多い訓練だった。出来ること、出来ないことをしっかりと把握することで、結果的にミスを減らすことに繋がるのだ。



 ちなみだが、剣が増えてことで、俺の装備の格好が変わった。移動時に、剣を常時、持つことにして、石斧をナイフと一緒に腰の蔓にかけることにした。剣を背中で背負うか迷ったのだが、剣を取り出すことでの時間的ロスやら、機動性の問題やらを考えての事だ。


 そして、俺は拠点へと昼食を食べに戻るのだった。



 が、そこで奴が現れた。


「お前らいつもタイミング悪いんだよ!」

 と、俺は悪態を付きながら距離を取る。


 そう、拠点到着目前でのウサギとの遭遇だった。俺が行こうとした道に、茂みから飛び出してきたのである。ただ、あっちの方も驚いて、距離を取ったので、奇襲ではないようだ。



 俺とウサギの睨み合いが始まる。

 出来れば、このまま撤退してくれればいいのだが。


 だが、そういう考えなど、この戦闘ウサギ達が持たないことは、とっくの昔に知っている。



――――技 《ダッシュタックル》

――――技 《早投げ》



 俺とウサギの戦いの火蓋は切って落とされたのだった。




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