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第12話 俺と串焼きと釣り


 さて、火ネズミの毛皮の実験を終わったことだし、反省に戻ろう。


 次はウサギとの戦闘の反省である。


 まず、実は、ウサギと森で戦うのは、今回が初めてだったな。

 いつもは、隠れ実の木周辺の比較的、見晴らしのいい場所で戦っていたからな。

 森でウサギと戦うのが、あんなに面倒だとは思わなかった。草むらから飛び出して攻撃をしては、また草むらに入り身を潜める。ヒット&アウェイの典型だ。

 今回の戦闘ウサギが、他のウサギと比べると、あまり強くなかったのが幸いだった。


 あの状況で、技 《ダッシュタックル》を連続で使用されると、さすがにきつかっただろう。最後には、《ダッシュタックル》も使ってきたが、思い返すと他のウサギよりはスピードが遅かったように感じる。あのウサギはまだ戦闘なれしていなかったのだろう。


 ただ、これから戦闘なれしているウサギと森の中であったら、注意が必要だろう。その時までには何か対策を考えなければならない。


 あと、戦闘ウサギと何度も戦闘していく中で、使ってくる技によって、そのウサギの強さもある程度分かるようになってきた。

 弱い順からおそらくだが、《タックル》、《ダッシュタックル》となっている。俺が最初に戦った泥棒ウサギは、《奪取タックル》となっていたので、おそらく《ダッシュタックル》の上位の技か、アイツだけの特別な技かどちらかだろう。ただ、どちらかの次点で、やはりアイツが他のウサギよりは強いという事は分かる。奪取とダッシュが掛かっているのは知らん。



 さて、最後にイノシシとの戦闘の反省である。

 振り返ってみて思うが、やっぱり俺の戦闘能力の低さが危険に陥っている。ウサギ、ヘビ、ネズミまでの大きさの敵だとまだ戦えはするが、今日みたいなちょっと大きいサイズの敵になってくると、途端に攻撃手段がなくなってくる。

 これは、投擲のスキルが大きいダメージを与えられないというのが原因だろう。かと言って、近接戦闘のスキルを取得している訳でもない。

 今回はたまたま倒せたかもしれないが、次はないかもしれない。


 もっと戦闘の仕方を考えるべきかもしれないな。

 例えば、今日みたいな罠を使って攻撃出来たのは大きかったように思う。あの罠をもっと増やすことで戦闘がかなり楽になる事は明白だ。これからは、もっと増やしていく方向で考えよう。


 逆の発想で、投擲スキルをもっと鍛えるのはどうか? あの巨大なイノシシでも目などをピンポイントに狙えれば、それなりに、こちらが有利になるだろう。


 他にも、森の中に、武器を予め用意しておくというのは、どうだろう。例えば、今持っている銛を大量生産して、森の至る処に配置するのだ。俺は森の中を走り回りながら、敵に銛を投擲していく。逃げながらのカッコ悪い戦闘になるが、生き残ることが最優先だ。迂闊に近寄って攻撃を受けるよりはいいだろう。


 うん。考えてみると出来る事は色々あるな。コツコツと出来る事を増やしていこう。



 あ、それと、戦闘が終わって確認してみると、いつの間にか【投擲】スキルが2.00を超えていた。


 【投擲】1.98 → 2.04


 どうやら、戦闘中に【投擲】スキルを使っていたことで、数値が上がっていたらしい。1.00を超えたスキル取得の時は、アナウンスが鳴ったのだが、どうやら2.00ではならなかったらしい。

 まぁ、数値が上がったという事は、それだけ投擲も上手くなっているという事なので、それはそれで嬉しい。




 さて、反省もそこそこにして、晩ご飯にするか。


 イノシシが肉をドロップしてくれたので今日は、念願の竃でお肉の調理である。


 最初に、いつもご丁寧に葉っぱで包まれているお肉を取り出す。前のウサギの肉よりデカい。


 それをナイフで、食べやすいように切っていき、川の水で綺麗にした枝に、お肉を刺していく。野菜なしの串刺しお肉である。


 そのまま、竃の中に肉を入れ、焼いていく。


 とここで、思わぬ形で火ネズミの毛皮が役に立った。キッチンミトンの代わりとして毛皮を使うと熱くないのだ。使い道がないと思っていた毛皮だが、そっそく使い道が出来た。



「いただきます!」

 焼きあがった串刺しお肉を俺に俺はさっそく頬張りつく。


「うまー!!」

 何もつけてはいないが、空腹が最高のスパイスである。


 今回はイノシシからドロップしたので、イノシシ肉なのかもしれないが、この前食べたウサギ肉と同じ、牛肉ステーキ系の味がする。やはり、ドロップ品した肉はすべて同じ種類の肉になるのだろうか。


 という考えが頭の中でふと出るが、すぐに口の中の肉の味で、考えは消されてしまう。


 結局のところ、おいしければいいのだ。肉の種類とかは関係ない。


 俺は今日の晩ご飯を満喫するのだった。イノシシとの死闘もこれで報われた気がした。








異世界生活七日目。

 とうとう、こちらの世界に来て一週間がたった。未だに人っ子一人出会えていない状況は、誰が予想できただろうか。もし、これが小説とかの物語なら主人公がずっと一人でしゃべっているか、主人公の考えていることが晒されているだけの物語になってしまうだろう。


 そんなことを言っていても、七日目は始まる。俺は、朝ごはんに、昨日のイノシシ肉の残りを食べた。朝から、ガッツリ肉食べるんだ……とか関係ない。俺は、隠れ実以外のものならいいのだ。嘘です。隠れ実は必要です。ごめんなさい。


 何故か今日は朝から、自分でもわかるくらいに変なテンションである。



 ご飯を食べ終えた俺は、昨日放置になってしまっていた皿の状態を見に行くことにした。忘れていた訳ではない。



 皿は、いい感じに乾燥されていた。


 あとはこれを、火で乾燥させるんだったかな? うろ覚えの知識なので、まずは挑戦である。

 といっても、皿を直接火にかける訳では、なかった気がする。ピザのように熱いところに置いておく記憶がある。蒸すという感じに近いのかもしれない。という事は、今の竃では、その置いておく場所が無いので、無理という事である。


「んー」

 ただ今日は幸い、食料も充実してるし、ずっと生産作業をしててもいいのかもしれない。


 という訳で、俺は竃を改良することにした。


 試行錯誤しながら、石を組み合わせ、お昼前には作業を終えることが出来た。



 なんということでしょう。あの、暖炉の機能しかなかった竃が、匠の手によって、土器を乾かすことも出来る多機能な竃へと変貌しました。



「って誰の皿が土器やねん」

 これぞ、一人でボケて一人でツッコむ、一人漫才である。みんなも異世界に一人で生活することになったらやってみると、退屈しなくなるよ。


 と、悪ふざけはここまでにして、俺は皿(断じて土器ではない)を乾かすために新しく竃にできたスペースに入れる。そして、竃に火をつける。これで何時間か火で乾かせば、皿が出来るはずである。


 皿を乾かしている、その間に俺は、昨日落とし穴を作っている時に、思いついたことをやってみることにした。



 用意するのは、ヘビの肉である。そして、釣り針。

 そうこのヘビの肉なら、俺の作った大きい釣り針でも、針が隠れるのではないかと思ったのだ。


 俺は、ヘビの肉をぶつ切りにして、釣り針に付ける。


「よし!」

 成功である。針が大きすぎて、ミミズを付ける事は出来なかったが、これならいけそうである。これで、魚釣りが出来るようになる。


 さっそく、俺は、作りかけの放置してあった釣り竿を組み立て、河原へと向かうのだった。



 俺は、河原の大きい岩が転がっている場所へと来ていた。その岩場にある、ひと際デカい岩へと登り、釣り針のついた蔓を川に向かって投げ込む。


 何度も言うが、念願の釣りである。これで、魚が食べられるのだ。

 食生活の彩りが一つ増えるだけで、俺の今の生活はより豊かなものへと変わるのだ。


 そして、釣り糸ならぬ、蔓を垂らすこと、早5分。


 蔓がピンと張った。


 そして、俺の手に竿代わりの枝を通して、すぐに伝わる振動。



「来たー!!!」

 俺はすぐに、枝ではなく蔓を手繰り寄せる。

 リールが付いていない以上、自分で魚を引くしかないのだ。


「おっと!」

 予想以上に強い引きに俺は、危うく川へと落ちそうになる。


 ただ、これは、それだけ大物が掛かっているという事だ。

 そう思って、俺は意気揚々と蔓を引っ張っていく。


 だが、魚も負けじと、蔓を引っ張ってくる。


「コノヤロー絶対釣ってやる!」

 俺も負けじと蔓を引っ張る。


 格闘すること、10分。


 徐々に、徐々にだが、こちら側に蔓を引き寄せることが出来ている。

 おそらく、魚がだんだんと疲れてきているのだろう。


 もうちょっとだ。もうちょっとで釣れる……!


 そして、その時は訪れた。


 バシャーン! と大きな音を立てて、魚が水面から上がってきた。


「釣ったどー!」

 それは、大きなフナだった。


「ってなんでやねん!」

 フナって普通、大きくても30センチほどの大きさだろ! なんで、こんな大きいんだよ!


「こいつ、50センチは余裕で超えてるぞ」

 俺は、地面の上ではねているフナを見て、呟く。

 まぁ、いいか。大きければ、大きいほど食べれる部分も多いという事だ。


 という訳で、釣り成功である。






 トゥルルルッ、トゥ、トゥ、トゥッ♪ トゥルルルッ、トゥ、トゥ、トゥッ♪ トゥルルルッ、トゥ、トゥ、トゥ、トゥ、トゥ、トゥトゥトゥン♪


 さーて、始まりました。3分では終わらないクッキング。


 今日は、フナの丸焼きを作っていきたいと思います。


 用意するものは、フナ。尖った枝。これだけでいいんですねー。


 まずは、フナの下処理をしていきます。ナイフを使って、ウロコと内臓を取っていきます。

 うわ~。魚なんて捌けるんですね~。

 そうですねぇ。一人身生活が長くなると、出来るようになるんですねぇ。

 へぇ~。そうなんですか~。

 ちなみに、この内臓は、あとで落とし穴の上に置く餌になります。

 わぁ~とってもエコですね。

 そうなんです。サバイバル生活では、何でも無駄にしないこと。これが大事になってきます。私も最近学びましたが。要らないと思っていたものでも、意外と使い道があるものだったりするんですよ。

 へぇ~。そうなんですか~。

 さて、ここでウロコと内臓を取り終わったところで、いよいよ魚を焼いていきます。

 はい。先生!

 なんでしょう。助手子ちゃん。

 魚が大きすぎて、一本の串では串刺しに出来ないと思います!

 助手子ちゃん。いいところに気付きましたねー。助手子ちゃんは、テレビなどで見るあゆの塩焼きなんかをイメージしちゃったのかな。

 はい。そうです!

 やっぱりね。今日のフナは大きくて、それは出来ないんだ。だから、今回は三本の串を使って、魚に串を刺していきます。そして、これをこの特性の竃で焼いていきます。



 という事を、一人でやっているのだから寂しい。やはり、今日は朝からテンションがおかしいな。何か変なものでも食ったかな。いや、昨日はお肉を食べただけだし。これは、あれだな。昨日は火ネズミに、ウサギにイノシシと連続で戦ったことで、疲れているんだな。自分では疲れていないと思っていても、やはり体はどこかおかしく、頭が冷静に働いてないのだ。今日は、一日ゆっくり休んだほうがいいのかもしれない。


 と、思いながら、魚が焼けるのをジッと待つ。




 魚に、隠れ実。


 ちょっと贅沢な昼食の完成である。いつもなら、隠れ実だけか。魚だけのオンリーであるが、今日はテンションのおかしい自分に、少しの贅沢な二品目である。

 お肉もまだ残ってはいるが、それは、また晩ご飯だ。


「いただきます!」


 俺は、まず魚に齧り付く。


「旨い!」

 久々の魚。これはやはり旨い。俺の語彙力が無さ過ぎて、旨いしか言えないが、旨い。

 俺は、無我夢中で魚を食べる。肉も旨いが、魚もやはり旨い。俺は、デザートの隠れ実までもあっという間に食べきり、しばし休憩をするのだった。





 ただ、少し休んで、俺はまた動き始める。

 この異世界サバイバル生活では、基本やる事は沢山あるのだ。疲れているのなら、動かずに出来ることも沢山ある。なので、俺はさっそく昨日壊れた石斧から直し始めるのだった。


 石斧16号が完成した途端。頭の中であのアナウンスが鳴った。



――――skill【武器作成】を獲得しました。



 どうやら、取得未満スキルだった【武器作成】が、ようやく取得スキルになったようだ。



 【武器作成】0.96 → 1.02


 俺は、【投擲】スキルを取得した時のように、【武器作成】スキルの説明を見てみる。



 【武器作成】 武器を作るときに、正確に作業が出来たり、早く作業が出来るようになる。



 うん。正直言って地味な効果だが、これが意外と大事だったりする。正確に作業が出来るという事は、武器の精度を上げるという事だし、早く作業が出来るという事は、その分、他の作業が出来るようになるという事だ。

 これで、俺の生活はより豊かになる事を期待しよう。そう思いながら、俺は次の作業へと取り組むのだった。







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