第4話:2人は3人より少ない(新たな部活動の規則)。
僕はその場に凍りついた。
(何て……言ったんだ、この先生?)
「あなたの演劇部は、廃部にする措置を取らせてもらうわ……早ければ早いほどいいわね」
彼女は勝ち誇ったような陰険な笑みを浮かべながら、何枚かの書類を僕に投げつけてきた。
書類が僕の胸に当たり、無様に床へと滑り落ちる。その冷徹な仕草に僕は凍りつき、目の前で僕の狼狽をあからさまに楽しんでいる彼女に対して、論理的な反論が何も浮かばなかった。
「ま、待ってください……な、何でですか!? 何を言って――」
「吃りすぎよ。これでよく演劇部の部長なんて名乗れるわね?」
「そ、そこは問題じゃないです! 僕はルールを全部守ってきました。なのに、何で今になって!?」
先生は僕を見て、鼻でクスッと笑った。
「いいえ、そこが問題なのよ! 規則が変わったの、分かる? 今日はあなたのラッキーデーだと思ってちょうだい」
僕はあんぐりと口を開けた。
「『ラッキー』って、どういう意味ですか!?」
「口を閉じなさい。ハエが入るわよ」
彼女は意地悪そうにケラケラと笑う。
「当然ラッキーでしょう! もう、こんなバカげた一人きりの部活に閉じこもらなくていいんだから! 実質、あなたを救ってあげているのよ!」
「そんな、どうやって!?」
「この部活の廃止に伴って、あなたの、その……『能力』に、より見合った新しい部活を選ぶことが許されるのよ」
彼女の蔑みはあまりにも明白で、意地の悪い口調で言葉を引きずりながら、学校における僕の価値を値踏みし、完全に無価値だと突きつけるように視線を這わせてきた。
僕の隣で、そんな理不尽に対するユキノの緊張がどんどん高まっていくのを感じる。
「能力? 先生は分かっていません……これは僕の情熱なんです……僕はここにいたいんだ!」
「残念だけど、あなたに選択肢はないの。これは相談ではなく、通告よ。さっきも言ったように、学校の部活動方針の変更と、現在の予算状況の兼ね合いで、規則をいくつか改定しなければならなくなったのよ」
「だったら……どうか、その新しい規則を説明してください。守るために全力を尽くすと約束しますから」
彼女は鼻で笑った。
「そんなに簡単なことだと思っているのかしら」
彼女は僕の顔の前で、書類を上下にバタバタと揺らした。
鼻のすぐ近くで書類が立てる規則的なペチペチという音が、信じられないほど屈辱的だった。彼女のあからさまな挑発を前に、平静を保つために僕は一歩後ろに下がらざるを得なかった。
「これは、何のための規則なんですか?」
彼女の目が細められ、脅すような笑みを浮かべた。
「お聞きなさい、質問してくれて本当に嬉しいわ。これにはね、部員が3人未満の部活は廃止とし、部員は他の部活へ再配置すると明確に記されているのよ」
彼女はまた別の紙をユキノに突きつけた。
「そしてこれは、別の部活に移籍するための入部届よ!」
「あ……でも、私は今入部したばかりで……」
「2人は3人より少ないのよ、お嬢さん」
「でも、私は演劇部に入りたかったんです……」
「そんなにドラマがお望みなら、代わりにダンス部を勧めてあげようかしら? 実際のところ、コンセプトは同じよ。ステージに立って、あなたみたいに輝いている他の20人の女子生徒たちと一緒にパフォーマンスできるわ……」
その提案は、優しい勧誘というよりは独裁的な命令のように響いた。ユキノは入部届を胸にきつく抱きしめ、先生が突きつける冷酷な現実に無力感を募らせていた。
「……」
「とにかく、規則は規則よ。それに、もし何かの奇跡でこれ以上部員を集められたとしても、それでもまだ足りないわ!」
「まだ何かあるんですか?」
僕は紙に目を落とした。
「活動実績のない部活もまた、廃止の対象となる……」
彼女はドラマチックに髪をかき上げた。
「その通りよ! だから、新入部員を2人見つけようが10人見つけようが、それによって示すことができる明確な実績の形を少なくとも一つは提示できなければ、カウントされないわ」
「実績……?」
ユキノが呟いた。
「この学校において、私たちは生徒が常に何かに励み、学んでいる状態を確保したいの……部活の大切な時間を、漫画を読んだり、そんなくだらないことに費やしてほしくないのよ」
彼女は「漫画」という言葉を口にするとき、大げさに目を剥いた。
その軽蔑を孕んだ仕草は、数分前までの僕たちの会話に対する直接的なビンタのように感じられた。
ユキノが今も抱きしめているノートが、彼女の目の前では危険な秘密の塊のように見えてくる。
僕は気まずくなって視線を逸らした。
(それ、まさに僕が毎日一人きりの部活でやってることそのものだ……)
「僕はこれまで、この部活を維持するためにたくさんのことをしてきました。一度だけチャンスをくれませんか? もう一人部員を見つけてみせます、問題ありません!」
彼女はため息をついた。
明らかにイライラしているのが分かる。
「猶予は一週間よ。ほら」
彼女は残りの書類を僕に押し付けてきた。
「これ、全部何ですか?」
「部活を閉鎖するために必要な申請書類一式よ」
「っ!?!?」
「どうせ達成できっこないんだから。来週、この書類を回収しにまた来るわ。頑張ることね!」
そう言い残すと、彼女は勝ち誇ったオーラと脅迫めいた笑みを顔に浮かべ、クルリと踵を返して去っていった。
誰もいない廊下に遠ざかっていく彼女の足音の残響は、容赦のないカウントダウンのように響いた。僕は立ち尽くしたまま、これまでの自分の努力をすべて無に帰すような、冷たい書類をただ握りしめていた。
「うわぁ……本当にこの部活を消し去りたいんだな」
「ねぇ、どうするの……?」
「まぁ、ここまでこの部活を守ってきたんだ、戦いもせずに沈むわけにはいかないよ!」
「うん、私も入ったばかりだし……」
彼女の顔には、失望の色が浮かんでいた。
(彼女をがっかりさせたくないな、特に、彼女は入部してまだ10分しか経っていないんだから)
「その通り! たった10分しかいない部員がいる部活を、勝手に閉鎖させるわけにはいかない! 僕がなんとかしてみせるよ!」
彼女の瞳がキラリと輝き、上を向いた。
まさにその瞬間、何かを言いかけるように口を開いたが、すぐに言葉を止めてしまった。
(何か言いたいのかな?)
「あのね……」
彼女は一度言葉を切った。
「もしかしたら、入部してくれそうな人をもう一人知っているかも……」
「え、待って、本当!? 本当に!?」
予期せぬ希望の光が、僕たちを包んでいた重苦しい緊張感を切り裂いた。
「え、待って、本当に?」
僕は驚いた。
入部したばかりの、この内気で可愛い女の子が、本当に僕を助けようとしてくれているのだろうか。
「うん、まぁ……少し前までは親友だった子なんだけど……実は、しばらく口をきいてなくて……。でも、その子も演劇とかが好きだったから……」
(おお! 演劇好きな子がもう一人!? これは結果的にかなり助かるかもしれないぞ!)
「だったら僕たちの問題は解決だ! 君は救世主だよ、ユキノ!」
「でも……ううん……」
彼女は躊躇い、悲しげな表情を顔に浮かべて視線を落とした。
「本当のところ……ううん……その子が本当に良いって言ってくれるかどうか、全然分からなくて……」
「え????」
(なんで急にトーンダウンしたんだ? さっき親友だって言わなかったっけ?)
ユキノの瞳が潤み始めた。
クリスタルのような涙の膜が突如として彼女の瞳を覆い、長い間胸の奥に秘めていたような、深い哀愁を映し出していた。
「ううん……やっぱり何でもない。今の言葉は忘れて!」
彼女は慌てて視線を逸らした。
「ユキノ……?」
(待て、彼女……泣いてるのか?)
彼女は素早く理性を立て直し、僕の方を見た。
(今のは奇妙だったな。一瞬、本当に泣き出しそうに見えたけど……確実に何かについて落ち込んでいる様子だ)
彼女の突然の情緒の変化は、二人の間に重苦しい空気を残していった。あの昔の友人との関係の裏には、過去のかなり痛々しい傷が隠されているのが一目瞭然だった。
「実はね……その子は私の親友だったの……でも、ちょっとすれ違いがあって……。私としては演劇部に入ってほしいなって思うんだけど……でも、本当にやってくれるかどうかは分からなくて……」
(あぁ、なるほど。女子特有の人間関係の悩みか……)
「あのさ、ほら……僕のために無理して自分を追い詰める必要はないからね」
「ううん、違うの。大丈夫。私は本当にこの部活に入りたいから」
「約束はできないけど……部活のために、その子に聞いてみることはできるよ」
(うわぁ……彼女の熱意には頭が下がるな)
「それじゃあ、その時は、よろしく頼むよ。ありがとう」
彼女は顔を赤らめ、別の方向を向いた。
「どういたしまして」
まさにその時、彼女は何かを思い出したかのように、再び僕の方を振り返った。
「そういえば、レンジくんは? 誰か他の人を待っているって言ってなかったっけ?」
「あ、いや、それは……」
(彼女の言う通りだ。確かにそう言った。でも、僕も彼女と同じような状況にいる気がする)
「もしよかったら、レンジくんもその人に聞いてみたらどうかな?」
「どうだろう……正直に言うと、僕もその人が良いって言ってくれるかどうか、全然自信がないんだ……」
「何で? それって……レンジくんの好きな人、とか?」
彼女はそう言いながら、視線を斜め下に逸らした。
「っ!?」
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