第七話 妖討屋敷の英泉
妖術師である宦官・英泉に会うため、私と青鈴は彼が仕事をしているという屋敷へと向かった。
その屋敷の名は『妖討屋敷』と言うらしい。いかにも、妖を討伐するための拠点といった感じの名前だ。
「ここが…その妖討屋敷か…」
「ええ…そうよ」
目の前には、立派なお屋敷が建っていた。紫色の美しい装飾と、薔薇に囲まれた庭園。ここがあの噂の妖討屋敷なのだ。
屋敷の扉を開け、私は緊張しつつも挨拶をした。
「あの…英泉という方はいらっしゃいますか…?」
流石に緊張感がヤバい。なんせ、私は侍女である身分だ。それも陰キャの。妃に仕えるミステリアスな宦官と会うなど、もっての外だった。
ーーそして、
「…何者だ?」
(ひっ!!)
思わず、身震いした。
それもそのはず、屋敷の中には一人の宦官がいた。間違いない。彼こそが、あの噂の英泉だ。
細マッチョで長身の宦官だった。紫色の漢服を見に纏い、黒いマッシュウルフヘアが特徴的だ。目は細く、やや吊り目だ。そうだな…一言で言えば…
ーーイケメンだ。
(かっ…かっこいい…)
私も思わず、心の中で胸をときめかせた。いや、今はそんなことを思っている場合ではないのだが、こやつを見れば誰もがそう思うだろう。
と、言うのも、私の隣にいる青鈴もまた、私と同じく顔を赤らめている。そして、私の方をやたらとジロジロ見てくるのだ。
(青鈴よ…まさか君もこの宦官に一目惚れしたとはあるまいな…?)
否、そのまさかだ。英泉はマジで後宮内でもっと話題になってもおかしくないほどにイケメンだった。
そして、私は緊張しつつも彼にこう言った。
「その…私は侍女の紅蘭という者です…」
「あっ、私も同じく侍女の青鈴!!」
青鈴はいつも通り元気な挨拶だ。私は緊張しているというのに…と、その時だった。
「紅蘭…」
「…って、はい?!」
突如、英泉が身を屈めながら私に近づく。
(近い!イケメンの顔が近い!!)
私はますます緊張した。この宦官、イケメンであるしやたらと距離も近いというのか?!
私がそのように緊張している隙にも容赦なく、英泉は冷静に話し始めた。
「そなたが紅蘭か…噂には聞いていたが、妖術師らしいな…さらに美貌までお持ちだ…」
って、ええ?!
イケメン宦官・英泉の急な詰め寄せが、乙女・紅蘭には効くっ!!




