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後宮侍女の妖退治  作者: てんまる
第一章 翠晩魔編
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第三話 池の妖・翠晩魔

 ーー私・紅蘭の住む国ではよく『妖』が出る。


 妖とは、一般的に人に悪さをする怪異の総称である。稀に契約などをして人と協力関係を結ぶ妖もいるが、基本的には前者が多い。


 そして、私は彼らの生態に精通している。なぜなら、私は田舎出身であり、孤児院の(おさ)から多くの妖について詳しく教わったからだ。


 妖にはそれぞれ倒し方がある。その倒し方を見抜き、成敗してやるのが私・紅蘭の特技であった。


* * *


 池に出る妖は、どういう訳か、晩の時間だけに現れるという。緑色の人型の妖らしく、比較的小型であると、女官から情報を得た。

 その情報をまとめるに、妖博士である私は推測した。


「なるほど…その妖は察するに、『翠晩魔(すいばんま)』という妖ですね」


「すっ…すいばんま?」


 青鈴は首を傾げた。無理もない。なんせ、日常的に生きていて妖のことを知る機会など、とうにないのだ。

 だが、そんな彼女のような人のためにも、詳しい私が説明する必要がある。


「妖は、それぞれが固有の名前を冠して生まれます。翠晩魔はその一つであり、弱い妖ですよ。なぜ晩に現れるかが不可解ではありますが、今晩、倒して見せましょう」


「…こっ、今晩?」


 そう言って、私は少々イキってしまった。が、内心、緊張はしていた。なんせ、後宮で妖を退治するのはこれが生まれて初めてだからだ。


 田舎では妖を幾度か退治したことはあったが、後宮となると妖のパワーの源である『人々の負の感情』が多くあると思われる。故に、今回現れた翠晩魔も少々強力なものであると言えよう。


* * *


 ーー晩になった。


 私は青鈴を連れて、妖の住む池へと向かう。


「なんだか、緊張しますね…紅蘭」


「大丈夫だとも…妖は、この私がやっつける」


 またも緊張を無理に押し込もうとする私。そんな私の気持ちなど関係なく、奴はすぐに現れた。


「紅蘭! あれを見てください!」


「んっ…あれは?!」


 青鈴が指を差した。刹那、そこに翡翠のような輝きを見せる一匹の妖が姿を現した。


「あれが…例のですか…」


 青鈴は私の身体にギュッと寄り添い、身震いした。無理もない。なんせ、奴のその姿は(おぞ)ましいものだったからだ。


「間違いない…現れたな…! 翠晩魔!!」


 ーーそして、始まる!紅蘭と翠晩魔の戦いが!!

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