第十五話 身を挺す
西西宮にて、怪しい様子の宦官に出会う私と海俊。宦官の正体は妖・蒼大蛇と契約を交わした妖術師であった。
そして、その宦官は蒼大蛇と一体化し、私たち二人を襲おうとする。奴とのバトルが開始した。
* * *
ーー蒼大蛇。
周囲の人々を自殺に追い込むという、脅威的な力を持った妖だ。
* * *
「自殺…宦官…?」
刹那、私の脳裏にある推測がよぎった。間違いない。この宦官の…奴の正体は例の…!
「貴様が翠翠を自殺に追いやった宦官かっ!!」
私は激怒した。当然だ。ピンと来ないのであれば、この小説の第五話を今一度、確認して欲しい。かつて、どこぞの宦官に悪口を叩かれ、入水自殺した女官がいた。その女官の名は翠翠。そして、彼女の仇が今、私の目の前にいるのだ!
「いかにも…俺が翠翠を殺した男・雷炎だ!」
その宦官・雷炎は煽るかのように、私に向かってそう言った。何とムカつく男であろう。海俊も私同様、怒っている。
「紅娘…こいつが例の事件の…」
「ああっ、こいつは絶対に殺さなあかん!」
私たち二人は激怒した。が、妖と契約した雷炎の攻撃は凄まじい。身体は妖と一体化し、雷炎の頭は蛇と化していた。
「まるで…これじゃバケモノだ…」
「歯が立たないですね、紅娘」
私たち二人が妖術を使い雷炎に攻撃するも、奴には攻撃がまるで効かない。それどころか、雷炎の攻撃はますますヒートアップするばかりだ。刹那!
「お前ら二人まとめて死ねぇっ!!」
雷炎が叫んだ。蛇になった頭から何やらヘドロのようなものを飛ばす。やばいっ!これに当たれば私たちは確実に死ぬっ!と、その時っ!!
「海俊っ!!」
「紅娘はっ! 俺が守るっ!!」
何ということだっ!海俊が私の前で盾となり、私を守った!だが、海俊自体はヘドロまみれになっているではないか?!
「海俊…! 嘘でしょっ…?!」
「紅娘…俺は紅娘のためなら、地獄にだって行きまっせ」
「そんな…」
にわかには信じがたかった。私は涙した。海俊は自らの身を挺して、私・紅蘭のことを守ったのだ。
ーー海俊、死す。




