第十四話 奇妙な宦官
西西宮に現れるという人型の妖を討伐すべく、そこへ向かう私と海俊。待っていたのは、奇妙な妖…ではなく?
「って、ええ?」
私は目を疑った。無論、海俊も同様にだ。無理もない。なんせ、妖がいるという噂の庭に訪れてはみたが、そこには妖がいない。
「妖がいないし…どうしよう…」
「どうしまっせ、紅娘?」
動揺する私たち二人。が、そこには妖はいなかったものの、一人の宦官が立っていた。
「あの宦官、何か知ってそうだな。話を聞きに行こうか、紅娘」
「そっ、そうですね…」
海俊の提案に釣られ、私はその宦官の元へ向かう。が、この時、私はなぜか不穏な空気を感じ取った。
おかしい…宦官がこんな庭に一人で立っていることなんてあり得るだろうか?まさか、奴は仕事をせずにサボっているのではあるまいだろうな?
些細な考えに過ぎなかったが、やはりどこかこの宦官の様子はおかしい。黒い漢服に鋭い目つき、どこか悪役じみた雰囲気を放つ。
「この宦官…もしや…」
「どうしました? 紅娘…」
刹那、私の脳裏にある直感がよぎった。
ーーしかし、なぜ私はこのことを忘れていたのだろう?
* * *
以前紹介したはずだが、妖は例外的に、人間と契約して協力関係を築く。妖と契約した人間は恐ろしい。妖の力を利用して、周囲の人間を自殺に追い込んだりするのだ。
* * *
ーーそして、今目の前にいるこの宦官、何か凄まじい妖力を感じる。間違いない…
「海俊! 奴に近づくなっ!!」
「っえ?! どうしたんすか、紅娘?!」
私は必死に叫んだ。が、刹那、目の前の宦官はついに正体をあらわにする。
ーー謎の宦官、妖力、周囲の人間の自殺…
今、全てのピースが結びつく。奴の正体は紛れもない!
「あの宦官! 妖と契約しているっ!!」
私がそう言った矢先、目の前の宦官の後ろからオーラが放たれた。青い蛇のような姿をした怪物が現れ、その宦官と一体化する。
「…蒼大蛇かっ!」




