第十一話 花街の妖・梅漢魔
ーー梅漢魔と呼ばれる妖がいる。その妖は、憂鴉の肉片を依代とし、強力な力を得たという。
「その妖…どこにいるのです?」
私は海俊に問うた。すると、海俊は何やら怪訝そうな顔をし、こう答えた。
「…その妖は、花街に潜んでおります」
* * *
花街とは、全くもって破廉恥な場所である。そのような場所であるから、人々の怨念が錯乱し、妖が出やすくなっているのだ。
そして、今回のケースもまた、花街のその性質が影響したものに違いなかった。
ーー梅漢魔。
その名の通り、梅のように赤い。そして、男の姿をした奇妙な妖である。私は正直、この妖にあまり会いたくはない。普通に怖いからだ。
* * *
「恐ろしい妖ですが、これを倒せなければ何も始まらないっすね」
不安がる私に、海俊はそう言った。彼の言うことはまさに正論だった。よって、私はしぶしぶ彼と一緒に花街へと足を運ぶこととなる。
* * *
後宮の外を出るのは実に久しぶりだ。だが、私は決して花街などに行きたかった訳ではない!
などと、戯言を言っている場合ではなかった。これは重要な任務であった。私と海俊・二人の妖術師は花街を歩き、その妙な妖が出たという娼館へと踏み入れた。
「全く…紅娘のような小娘を娼館などに向かわせるとは…英泉殿も悪趣味ですね」
「…って、冗談を言っている場合ではないですよ、海俊」
たわいのない会話をする私と海俊。そこに早速、奴が現れた。
「…ったく、出るのが早えな」
海俊がそう言うのも無理はない。なんせ、私たちの目の前にはバケモンがいたからだ。
赤い身体に、屈強な男の姿。間違いない。こやつが…
「梅漢魔だっ!!」




