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自称現実主義者の異世界トリップ  作者: GUOREN
現実主義者(自称)が異世界トリップ?
7/228

7.

…樹樹木木塀樹木兵木樹木木樹塀兵樹木壁。壁?


道順を覚えるときは、予め目的地の方角と距離を頭の中でマークしておき、大体のランドマークや目印となる物を予め地図か何かで把握する。

と、友人が力説していた。

確か”地図の読めない女と、話の聞かない男”とかいう本が話題になった時だ。

「はい!!先生!目的地とその方角と地図が不明の時はどうしたらいいのでしょうか?」

「大丈夫!君はその様な状況に絶対ならないから安心し給え」

と私に友人は言っていた。

はい、先生!今がまさにその時です。

――――――――――――――――――

トンネルを抜けるとそこは……

異世界の風景が広がっていると勝手に期待していました。

ロード何とかとか、ナルニ屋とか、ハリー某みたいな。

何がって?

外の風景。

街並みとか見てないからまだ一概には言えないが、私が今出て来た建物は少なくとも地球で見た事がある様な形状だった。

ヨーロッパの建築様式に似ている。

私がヨーロッパ在住の人間なら、日中だけなら異世界だと気付かないのでは?と思う位には普通の建物だ。

珍しくもない。

むしろ、人の方が異世界を感じる。

あ、別に人間じゃないものがうようよしているとかでは無く、剣を佩いて歩く人がうようよ。

剣って……

「おい、きょろきょろするな」

よほど怪しかったのか、隊長に怒られた。

取り敢えず社会人の必須スキル、にっこり笑ってごまかすを行使した。

石化されてしまった。

すみませんねぇ。

笑顔が似合わなくて。

いつも愛想笑いで失敗するんだよ。

ええ、似合わないと解ってはいるけど社会人になったら必須スキルだし、これでも頑張って練習してたんだけどなぁ……

笑顔の。

今回も又、思いっきりひかれてるし。

あぁ、切ない……

まぁ、別に慣れてるから良いけど。

笑顔見て怒る人もいるから、今回はましな反応と無理やり自分を納得させる。

それに、囚人が妙な行動をすれば警戒もするよね。

解ります。

納得して、黙って歩く事にした。

今度は普通の歩き方で。

衆人環視の前で、カニ歩きは流石に嫌だ。

とりあえず歩く歩く。

肉団子にサンドされて歩く歩く。

途中で剣を引っ提げた男どもから、美人度高い女性に至るまで、色んな視線を受けた。

は り の む し ろ

そんな視線を逃れるために、必死になって道を覚えて意識を逸らしている。

いるが、明日になったら忘れるだろう事間違いない。

なんてったって、樹か木か塀か兵しかない。

しかも一本道ではなく結構分岐点まで有るし。

で、諦めそうになったところで、目的地が分かった。

あの1Km先(目測)の、ちょっと格の違う建物だ。

その距離にげんなり。

そして上り坂なのにもげんなり。

皆何かに乗って移動している様な気がするのは、気のせいか?

囚人を移動させるなら、何かに乗せた方が安全だと思うけど。

危機管理どうなってるんだろう?

危機管理について小一時間説教したい気分だ。

えーと、何だっけ?

そうだ目的地。

あの城みたいな建物。

城と言えば、姫路城みたいな日本式城か、ネズミーランドの城だのを日本人はイメージするだろう。

実際子供に城の絵をかかせたら、夢の国の灰かぶり城風な物を描いてる事が多い。

中国の紫禁城や、インドのタージマハル(は、墓か……)を描く子供はほとんど0だろう。

だが実際、王と呼ばれた人々(特にユーラシア大陸の方々)は、バッキンガムや、ヴェルサイユ、ホーフブルクに見られる様な形の建築物に住んでいた。

要するに横にダーッと長い形の宮殿。

今1km先に在るのもそういった種類の建物だ。

きっと金持ちが住んでいるに違いない。

詳細なことは判らないが色彩に品があって、それでいて神々しい。

こんな状況でなければ、写真撮って観光としゃれこみたい。

ああ、危機感が足りないのは、きっと私の方だ。

反省。

とか考えながら、樹とか木とか塀とか兵の位置情報を頭に入れ込んでいると、壁に鼻をぶつけた。

壁?

壁なんてあったっけ?

と、思ったらキースの背中だった。

無駄に筋肉質。

「おい、あんた前を見ろ」

キースが呆れとも警戒とも判らない声を私に向ける。

あれ?

そう言えば、この人あまり同じ呼び方で私を呼ばないなぁ?

などと思った。

相手の呼び方の限界にでも挑戦しているのだろうか?

これを、奥さんにやると熟年離婚とかに発展しやすくなるんだよな。

おいとかお前でしか相手を呼ばず、名前は呼ばない。

しかも続く言葉は誰にでも出来る簡単なお仕事。

「おい、茶」「おい、新聞」「おい、飯」

やがて、娘に嫌われ、奥さんに嫌われて……

キース哀れ。

年いったら見向きもされなくなるんだぞ~。

気をつけよう、その呼び方が、命取り

キースに、生温かいエールを送っておいた。

「何だその目は」

「いえ、何でもありません」

社会人必須スキルNo.1、愛想笑いを発動。

キースは苦虫をつぶした様な顔をし、そっぽを向いた。

いや、解ってるんだけどね?

もう、いいや。

隊長が変な目でキースを見ていたが、何も言わなかった。

んー?何だ?

2人でしか判らないシグナルでも発信中?

「これからこの馬車に乗る」

隊長がそう言って、馬車の扉をあける。

おお~馬車。

馬?

馬か?

良く見えなかったので保留。

先に隊長が乗った。

続いて私が乗る。

って、ちょキース自重。

何でわざわざ、隣!?

前って何の為の席よ?

空いてるのに……

前に乗ろうよ。

あ、もしかして途中で誰か乗るのか……

なるほど、ちょっと納得。

でも狭い。

目的地まで後少し。

少しの間だけ、またカツサンド。

目的地まであと少しです。

相変わらずの展開の遅さ…


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