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自称現実主義者の異世界トリップ  作者: GUOREN
現実主義者(自称)が異世界トリップ?
3/228

3.

3つの月は輝いていた。

月を見ていると、急に頭痛が起り思わず蹲る。

それと同時に腹が鳴った。

そう言えば、昼から何も食べていない事に気が付いた。

頭痛と空腹で身悶えしていると、通路の向こう側の扉が開く。

中から一人の人物が出て来て、こちらを向いて立ち舐めまわす様に私を見ていた。

嫌な眼だ。

「異世界か~」

口に出して呟いてみた。

言葉は扉の奥に吸い込まれる様にして消えていく。

向こうの部屋の壁には、赤い花が生けてあった。

萎れていた。

「お前は何者だ?」

そう言えば、昔友人に借りた小説や漫画の中で、異世界トリップを題材にした物があった。

異世界にも関わらず、何故か主人公の言葉が通じるというオプションが付けられていた。

どうやら、私の場合もそれが付いているらしい。

言葉の通じ方って一体どうなっているんだろう?

まぁ、落ち着いてから考えれば良いか、っていやいやいや何を認めてるんだ?

おかしいから、どう考えても。

一体何だって言うんだ。

それにしても社会人になってから、小説や漫画を読まなくなった。

毎日のルーチンワークをただ只管にこなし、余計な事をしなくなって7年も経つ。

そりゃ老けるはずだわ。

まるで、あの花の様だ。

と思った所で、眉間に皺が寄っているのが判った。

赤い花を見て、数年前の苦い思い出が蘇える。

その事を思い出すと、漫才を見ながらでも泣ける自信が有る。

ふっ切ったつもりなんだけどなぁ。

その考えを振り払う様に、頭を振る。

頭の走った痛みに、思わず呻いた。

独りで悶えて居る様を他人に見られるのが恥ずかしい。

かなり、恥ずかしい。

「おい!?」

そう言えば、認識すると現実になると、ある人が言っていた。

シュレーディンガーの犬だか猫だか忘れたが、ともかくその人物は風邪を例に出して熱く語っていた。

『いいか!?風邪は気合いだ。シュレーディンガーの犬ってあるだろ?あの話はな、己自信が何らかの形で認識したとたん現実になるってー話だ。つまり俺が言いたいのはな、風邪は気付くな働け』

どんだけだよ。

それにその理論、何だか間違っている様な気がする。

激しく間違っている様な気がする。

だが、あえてその理論でいけば、私は今、確実に年を取った。

何せたった今、自分が年をくった事を認識してしまったからだ。

そして先程、認識してはいけない物まで認識してしまった。

思わずあの窓を見て頭を抱える。

「何をしている?」

はぁ~

思わず、目を瞑って溜息をついてしまった。

涼しい風が私の頬をかすめる。

労わる様に、慰める様に。

8月なのにまだ涼しい風は吹くのかと、無理やり思い込もうとした。

出来なかった。

もう一度溜息を吐いた。

石造りの部屋だからとか、海の近くまで無理やり拉致られたとか、色々言い訳をして思い込もうとしたが、どうにも上手くいかない。

自分の性格の融通の利かなさがここにきて堪える。

「聞いているのか?」

はぁ~

もう何度目かの溜息を吐いて、ようやく目の前に居る人物に焦点を合わせた。


はぁ~

もう一度溜息をつき、私は初めてこの世界のものに対して言葉を発した。


「ここはどこですか?」


ここは異世界である、と私の脳も心も認識し受け入れようとした瞬間だった。

誤字脱字とかなかったでしょうか?

指摘がありましたらよろしくお願いします。

主人公の名前を出してあげたいのに、まだ出ないですね。

もうしばらくお待ちください。

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