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自称現実主義者の異世界トリップ  作者: GUOREN
現実主義者(自称)が異世界トリップ?
12/228

12.

幼少期に、ヨーロッパからアフリカに至るまで色んな国に行った事があった。

そこかしこで見た、芸術品や壮大な自然の美しさ古代遺跡群に心を奪われ、いつしか芸術品並みに綺麗なものに目の無い人間になった。

それは物だけに限らず、人間に対しても同様だった。

張りぼてには興味がわかない。

実を伴う内面の美しさにこそ心を奪われる。

とにかく、私は美しいと思うものには目がない人間である。


――――――――――――――――――――――

「ああいうのが好みなのか?」

と、キースは言った。

「「え゛?」」

私と隊長が同時にハモる。

思わず隊長の顔を見る。

すると、隊長も困惑気味だ。

なので、キースの方を見た。

キースも何故か狼狽している。

まるで、口が勝手に動いたかのように。

「アー、彼はいつもあんな感じなんでしょうか?」

取り敢えず、隊長に聞いてみる。

「いや、今のは予想外だ」

「はい、私もです」

2人して、キースをじーっと見る。

見られたキースは慌てた様子で、こちらに向かって何やら言っていたが、何を言っているのか解らなかった。

隊長を見ると、苦笑しながら首を振る。

隊長も、よく解らなかったらしい。

さっきまで、あんなにお互いシグナルで会話していたのに、さすがに今のは解らなかったみたいだ。

「で、キースさんのさっきの質問ですが、好みでいえば、好きです」

外見は。

今度は隊長とキースがギョッとする。

まさか、私がまともに返答するとは思っていなかったらしい。

まー、普通は流すか何かするだろうけど、ここは敢えて流さず質問に答えてみる。

私が答えた時の2人の反応は様々だった。

キースは肩を落とし顔を俯け、隊長は顔を顰めた後首をかしげ、不思議な表情に変わった。

この2人観察すると、結構面白いかもしれない。

「まー、その観点でいえば、隊長もキースさんも好きですよ」

顔が。

キースが顔をパッとあげ、隊長は照れたのか落ちつかなげに視線を彷徨わせている。

ふむ、なかなか面白い反応を見せるな。

言われ慣れてるだろうに。

それに言われた相手が私じゃ、カウントにも入らんだろう。

何を慌ててるんだか。

思わぬ2人の反応の可愛さに、思わずクスリと笑ってしまう。

そしてハッとした。

可愛い?

大の男捕まえて可愛い?

何を考えているんだ私は。

いけない、いけない。

もう恋愛はしないと誓ったではないか。

その為のマンション購入だったし。

所謂、生涯独身宣言。

こんなところで恋愛なんぞしたら、購入代金全額パーだ。

この数年の、お金を貯める為に使った時間と労力が無駄になる。

こんな事でふいにできる、時間と金額ではなかったはずだ。

それに、なんでちょっと可愛いからとか、色っぽいからとかで恋愛に結びつく?

もう、それだけで恋愛できる歳ではないというのに……

異世界という異常な環境で、精神状態が少しおかしいのかもしれない。

つい先ほどまで、私は緊張状態にあったのだ。

吊り橋効果か何かで、きっと影響があったに違いない。

そう、今の私はおかしい。

そう精神状態を分析し結論付けた。

はぁ、ここにきてから私は何度溜息をついたことか。

ともかく冷静になろうか。

そう考えた所でノックが鳴った。

「アークオーエン様よりレイ=タダノ=オカシズキー=ド=ジャポン様へ御託がございます」

フ、フルネーム……項垂れる。

挙動のおかしい私を一瞥したキースが一瞬動揺したが、気を取り直して中に入って来るように促した。

すると、茶色の髪をアップに上げたとても可愛らしい使用人が、優雅な所作で礼をし中に入ってきた。

はぁ、本当にこの国美形しかいないんだな。

何ともいえない気持ちになった。

キースのとんでも発言で微妙な空気に包まれた今作ですが、生温かく見守っていただけたら嬉しいです。


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