俺達は違うよ➁
「セラは、本当にすごい奴だよ。その上、この上もなくいい奴だよ。彼がハルマゲドンのような大パーティーに入れたのは幸運だし、ハルマゲドンにとっても凄い幸運だよ、彼がいたら、絶対ハルマゲドンは、世界一の冒険者パーティーになるよ。」
「絶対、伝説になるわよ。彼を大切にしてあげてね。」
「おお、その通りだ。俺達は分からなかったが・・・さすがにハルマゲドンだ。」
と酒を呑み、食べ物を食いながら、さも嬉しそうに語るのは、セラを過去に解雇・追放したパーティーのメンバー達である。2パーティーの関係者を見つけて、呼び出して、食事と酒を提供して、話を聞いているのである。彼らからは、セラへの称賛し、ハルマゲドンに彼が受け入れられたことを喜ぶ言葉を聞かされた。ゼウスは彼らから、そのような言葉を受け取るとは思ってもいなかったのだ。
「まあ、今日来てもらった謝礼だ、取っといてくれ。」
と袋を三つ、ゼウスは彼らの前に置いた。髭面の男が真っ先に手を取って、袋を開けて見て、
「こんなに?」
と言った。
「まあ、言いにくいことも話してもらうから、当然なことだよ。まず、どうしてセラを追放したんだ?」
と声を落として静かにゼウスは訊ねた。3人は、ジョッキを降ろして、しばし下を向いてね重苦しい沈黙をした。そして、
「俺達は・・・怖くなったんだよ。」
金髪の若い、整った顔立ちの剣士の男がぼそりという感じで言った。
「私達は逃げ出しの。」
やはり金髪のやや小柄の美人魔導士の女が呻くようにま言った。
「まあ、そのなんだな・・・俺達が屑だったんということだな。奴の凄さが分からなかった、ということだな。」
「あ。俺達は追放したんじゃなくて去ったというのが事実で、屑では・・・やっぱり屑だよな。」
「屑と認めるしかないわね。」
「屑で分からなかった、というのは分かる。彼の力が分かっていて、どうして去ることになるんだ?」
「怖くなったんだよ。」
「は?」
「はじめはさ、俺達で3つ目のパーティーだと彼は言っていたよ、彼を解雇した、追放したパーティーは馬鹿だなと思ったものさ。彼と一緒なら俺達は頂点に立てるぞ、と本気で思い上がって有頂天になったもんさ。それがある日、彼がパーティーに入って数か月くらいたった頃かな?順風満帆以上に全てが進んでいた時だった・・・。」
「私達は突然気が付いたのよ。S級に、いえ、SSS級になってなれる。でも、それって本当に私達の実力なの?彼がいなくなったら私達どうなるの?ってね。怖くなったのよ。今なら間に合う、一からやり直せる。自分達の努力で、自分達自身でつかみ取れるところがいいんだ、とね。そして、彼を置いて去ったのよ。やっぱり、本当は屑ね、私達も。」
「まあ、そのなんだあ・・・俺達は屑だったから、パーティーメンバー全員、奴の貢献が分からずね自分の力だと思って、邪険にして、こき使ってよ・・・あいつがいなくなれば分け前が増えるくらいに考えて追放したったわけよ。全く屑、屑の見本だよな。そんな俺達のことを心配してくれて・・・あいつは本当にお人好し過ぎるぜ・・・今こうしていられるのも奴が助けてくれたおかげさ・・・追放したやつをさ・・・。心を入れ替えて・・・今の俺というところさ。」
「ああ、あいつさ俺達を助けてくれたな。」
「人知れずに・・・すぐわかっちゃったけどね。だからさ。私達にはもったいないくらいの人なのよ、彼は。だから、私達がこんなこと言うのはおこがましいけど、彼を大切にしてあげて頂戴。あんないい人、役に立つ人いないからさ。お願い。」
「絶対、あんたがたのこれからの新しい躍進に貢献する人材だよ。しかも、いい奴だし、努力家で勉強家で勤勉・・・勤勉過ぎるから無理やりにでも休ませてやってくれよ。彼のことは頼む・・・頼みます。」
「あんたらなら、大パーティーで上級冒険者がいっぱいいるから、彼の使い道はいっぱいあるはずだよ。あいつを持て余すことはないはずだ。どうか、彼のことをお願いします。ハルマゲドンのリーダーのゼウスのだんなよ。」
「スキルもないのに、剣とかも一生けん命練習してEクラスになっていたんだ。」
「攻撃魔法は転でダメだったけど、防御魔法や剣も何でも全てなんでもできたEクラスになっていたわね、それも凄すぎるけど。」
「俺の時はDクラスの上級、Cクラスも夢じゃないところだったなあ。」
「じゃあ、Bクラスも近いんじゃないの?」
「いや、もうBクラスだよ、全て。」
とゼウスはぽつりと、彼らのセス賛歌?に呆れたように漏らした。
「すげーじゃないか、やっぱり。Aクラスだってねもう夢じゃないかも?ここからは段差が大きいから難しいか?」
「いーえ、彼なら大丈夫よ・・・と思うわ。とにかく、もう自分の身は守れる付与術士じゃなくて、戦える付与術士ね。」
「全く凄いやつだよ。」
とひとしきり褒めると、互いに頷きあってから、立ち上がり、ゼウスの方を向いて姿勢を正して、
「彼のことよろしくお願いします。」
と一斉に頭を下げた。
「わかったよ。君達の気持ちはちゃんと受け取ったよ。」
とゼウスは慌てて答えたものである。
心の中で、
「俺達ハルマゲドンは、お前達のように尻の穴が小さい連中はいないしくずもいないさ。彼のことは、ちゃんと使いこなせるんだよ。」
と心の中で胸を張って、彼らのことを見下して思ったものである。
「結局俺達も変わらなかった、同水準だったてわけだな。」
と心の中では肩を落としていた。




