俺達は違うよ➂
「どうして、彼は解雇したんだよ。あいつのお蔭で、このパーティーは大発展しただろう?」
「それに、剣士とか、絶対A級になって、戦う付与術士・万能支援職になるわよ、彼なら。」
「いや、もうなっているよ。」
「そんなら。」
「すまん、大言壮語したが、やっぱり駄目だったんだよ。」
とゼウスは頭を下げた。そして、説明を苦しそうな声で始めた。
彼には問題はなかったし、謙虚が服を着ている性格は全く変わらなかった。ハルマゲドンは、さらに躍進した、この約2年間。どんな困難なダンジョンも、真ドラゴン級の魔獣も、美少女ゴブリンやお嬢様オーガ等の群れの壊滅も犠牲者なしに速やかにやり遂げた。得た魔石・聖石や魔獣の骨などの加工、さらに錬金術で回復薬なども作った、最高級のやつだった。それはハルマゲドンで使われただけでなく、冒険者ギルドを通じて他のパーティーに売却され大きな利益を受けたし、ここの冒険者ギルド全体の発展にすら尽くすことになったのである。
その彼に対して、
「俺達が二つも三つもレベル上げて仕事ができるんだからいいんじゃないか?更なる高みにいけるようにがんばればいいんじゃないか?勇者になって大活躍しようじゃないか?そこまでいけるように精進しようじゃないか?」
とディオニソスは言ったが、彼のような考えは極めて少数派だった。大半は、
「私だけで十分やれたんだよ。あいつの力なんか必要ないのよ。」
というアテナやアステミス達は、自分達の実力が低く評価されている、評価されると不満を大きくしていた。
へバイトスやハーデスは、
「俺のやることなんか・・・。」
と意気消沈している始末。
この2つがハルマゲドンの彼に対する気持ちの主流だった。それがどんどん大きくなっていてどうすることもできない状態になって来ていた。ディオニソスも、反対することはなかった。彼もどうしようもないと感じていたのである。
「というわけなんだ。どうしようもなかったんだよ。」
と涙がこみ上げてくるような声で言った。
「俺も、所詮は屑だったと言うことだったんだ。」
とさらに付け加えた。
「俺じゃないよ、リーダー。俺達、ハルマゲドン全員の尻の穴が小さかったってことだよ。余計なことをしたとは思わないけどさ・・・俺が彼をハルマゲドンに連れてきたことは・・・。でも、彼には悪いことをした思っているよ、解雇してしまったことについては。」
と後ろから声をかけてきたのは、ディオニソスだった。
「それでさ・・・ちょっといまごろになって思いついたんだけど、彼さ、このままだとこういうことの繰り返しでかわいそうじゃないか?せっかくの能力も無駄になっちゃう。だから、ギルドにかけあって、重要な、危険が伴う仕事とか、信じんパーティーとかに同行してもらう、ここ一番の装備とかを作る、調整してもらう、回復薬等をつくってもらうということでギルドの直属の支援要員とかになってもらったらどうだろうかな?」
ディオニソスの突然の提案に。ゼウス以下唸った。いい考えのようでもあるし、そうでもないようにも思えた。とはいうものの、彼のためを思っても、他の案が思いつかなかった。ディオニソス本人も、これがいい案だとは思えなかったが、これしか出てこなかったのである。
「う~ん。」
全員が唸った。当のディオニソスは、他のもっといい案を出してくれないか、半ば期待していたのだが。
「悪いが、今までの話を聞いた上て背のことなのだが、彼には私の国の仕事を依頼したいのだが。」
と言い出す声が聞こえた。ゼアスに、ハルマゲドンへの仕事を依頼相談にきた人物だった。




