7
「────『桜花』 咲夜さん、ですわ。」
── ……………………。
「……へえー。」
『桜花』 咲夜ね。なる程。そういう訳か。
「あら? 朝芽さん、ドッペルゲンガーさんのお名前の“苗字が同じ”である事に、驚かれないのですわね」
「……いやいや、私は充分に驚いてるよ。ただ、──」
「“ただ”?」
「ほら、この前話したでしょ。“知らない相手から苗字を呼び捨てにされて声をかけられった”って。」
「……そういえば、そうでしたわね」
──そう。彩が齎してくれた情報で、その謎が解けた。即ち、私のドッペルゲンガーは容姿だけでなく、“苗字まで一緒という偶然”が、事態をよりややこしくしていたのだ。
さてと、正体が分かればあとはこっちのもの。昼休みにでも突撃でもかけるとしますか。
──キンコーンカーンコーン。
四時限目の終了を告げるチャイムが響き、クラス委員の号令で科目担当の先生に礼。そして、
「さあ、朝芽さん。参りましょう!」
「ええ!」
彩と共に私は教室から出ると風を切って廊下を歩き出す。目的地は当然、私のドッペルゲンガー──こと、『桜花 咲夜』が所属するクラスの教室だ。
私たちのB組からはほぼ対極の位置にある校舎四階の西端にある教室──J組の扉の前に一分もかからずに到着。
──すーはー。
一呼吸を入れて、いざ!
ガラガラとJ組の教室の扉をスライドさせ、J組の中へ一歩踏み込み、
「──このクラスに『桜花』 咲────」
「──あれ? 咲夜? 確か、今日も「風邪で熱もまだ引かないから、休む」って言ってなかったか?」




