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 放課後。空き教室に集められた私たち。黒板の前には、いろは先生と他初めて顔を見る先生が立ち並び、いろは先生が代表して、

「それでは、『異世界アラカタ』についての特別授業を始めます」

 授業開始の号令を出した。



「……ふへー……、終わった……」

 下校時間を告げるチャイムの音と共に、私は空き教室の机の上に上半身を投げ出す。私たちが“異世界への短期の交換留学”を承諾してより約一週間続いた居残り授業もこれにてお終い。だが、明後日の日曜日には、『異世界アラカタ』への出発日だ。承諾するまでは、咲夜に一時感化されて“異世界への交換留学”に胸をときめかせていたが、いまやそのときめきは遠い昔に同じ。

「おい、朝芽。明後日には異世界なんだぜ。なに辛気臭い表情(かお)してんだ?」

 ……うげー、自分と容姿も出で立ちも声さえも瓜二つな咲夜にそんな事を言われると余計に滅入る……。しかも、彼の目は、異世界への交換留学が明後日に迫り、その瞳に宿すキラキラがこれまでの限界を突破していて、眩しすぎる!

 今日まで居残り授業をしてくれていた先生たちは、私たちに激励の声援を掛けてから、

「交換留学に向けて、今日はもう寄り道せずに帰りなさい」

 と、いろは先生の〆の言葉を最後に、居残り授業をしていた空き教室を出ていった。

「朝芽さん、帰りましょう」

 帰り支度を終えた彩の言葉に、私は億劫を感じながらも筆記用具やらノートやらを鞄に詰め込み、座っていた席から立ち上がる。

「……ええ」


「如何したのですの? 朝芽さん、近頃、元気がありませんけど?」

 校門を出て茜色に染まる空の下を並んで歩く彩が声を掛けてきた。私は自分でもぎこちない笑みを張り付け、

「……いや、あはは、ほら、私って勉強嫌いだし、そういえば“交換留学も勉強”だったって気付いたら、なんか急に憂鬱になっちゃってさ……」

 胸の内を彼女に吐露する。ぶっちゃけ、話を受けたときは“修学旅行”的な気分だったが、“居残り授業をする”と聞いたときに夢見気分が一気に醒めた。そして、気付いた。それに、そもそも“魔法取扱いの『普通免許』と『魔工検 一級』を取ったのだって”、二学期・三学期・さらには学年が上がってからも資格取得試験を受けるのが億劫だったからである。なにしろ、魔法取扱い『普通免許』は五年更新で、『魔工検』は一度合格してまえば後は一生もの資格だし。

「……そういえば、朝芽さんはそうでしたわね」

 そう言うと、彩は私の手を取り、ちょうど通り掛かったコンビニのイートインコーナーに私を連れ込み、

「──コレはわたくしの奢りですわ。たんと召し上がれ」

 なんと、『イチゴ増し増しデリシャス・スウィート・ウルトラ・デラックス・パフェ』を奢って、私を元気付けてくれた。

 ──うは♡

「彩、ありがとう。」

 彩の好意ある厚意に甘え、私は彩からの奢りの『イチゴ増し増しデリシャス・スウィート・ウルトラ・デラックス・パフェ』をありがたく頂いたのだった。


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