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 六月に入り、初めての魔法工学の実技実習の授業。これまでの座学だけの授業はクラス別に行われいたが、実技実習が入るようになり複数クラスが合同で授業を受ける。それに伴い、時間割りも変更された。

 さて、私らB組は、なんと、J組と合同!

「あらあら、朝芽さん、これって運命かしら?」

「そんワケ、無いでしょ、彩」

 魔法工学専用の教室がある別棟に行く為の渡り廊下を歩きながら、彩の言う運命論を私は一蹴して否定する。渡り廊下を渡り終え、別棟に入った私たちは、真っ直ぐに魔法工学専用の教室へ。

 教室に入ると、五月までの座学では広いと思っていた魔法工学専用の教室は、いまやB組とJ組の生徒でごった返していた。そんな中、

「──よう!」

「──こっちだぜ、朝芽さん、彩さん」

 私と彩を呼ぶ声。見れば、咲夜と上村くんが並んで座り、更には私たちの席を確保していてくれたようだ。私たちは彼らが席を確保してくれたところへ。

「まあ、ありがとうござますわ」

「席を確保してくれてたんだ、ありがとう」

 二人に感謝を述べ、私たち二人も席に着く。授業開始まで、あと数分は余裕があるので、咲夜たちと駄弁っていると、

「──お、お、お、桜花さんが、ふ、二人いるーっ!?」

「──ドッペルゲンガーだ!!」

 おそらく、B組の誰かであろう狂乱の叫び声が複数上がる。

 そして、パニックが起きた。

 ──理由は、私と咲夜の存在だ。J組は私と彩が咲夜と邂逅した現場に遭遇していたので、パニックは起こしてはいないが、B組がパニクった。混乱の坩堝と化した教室内は“ドッペルゲンガーの聞いたこともない逸話”に因って阿鼻叫喚の様相を呈した。

「B組の皆さん、落ち着いてくださいまし!」

 彩が座った席から立ち上がり、収拾に進み出るも焼け石に水。結局、チャイムが鳴って、魔法工学の担当の先生たちが来るまで収まることはなかった。


「──では、分かってはいるだろが、君達には今日から魔法工学の実技実習の授業を受けてもらう。────」

 授業が始まると、いまだにB組の“ドッペルゲンガー騒動(パニック)の残響”があちらこちらに見られる中、黒板を背にした教壇に立った一人の教科担当の先生の説明がたんたんと進む。ちなみに、他の教科担当の先生たちは、授業に使う道具が入った段ボール箱を準備室からせっせと運び出していた。

「──それでは、いま説明した通り、まずは四人以上のグループをつくってくれ。」

 先生のその声に、教室内がざわめきだす。

「んじゃ、オレらでグループになろうぜ」

 いの一番に咲夜がそう言い出す。彼の意見に彩も賛同のようで、

「そうですわね。先生も、「──違うクラス同士で、グループをつくった方がいい──」と、仰有られてましたし……」

「オレっちも、異存はねーぜ」

 上村くんも同意。そして、最後に三人が私に視線を向ける。三対の瞳の視線を受けた私は、

「……はいはい、私もそれでいいわよ」

 今更、わざわざ他の人たちとグループを組むのも面倒いので、“いつもの面々”であることを了承。

「それじゃ、オレ、先生に報告してくるぜ」

 意気揚々と、教壇のところにいる先生に報告しに行こうとする咲夜。が、

「──ぐげ!?」

 彩が彼の制服の襟を掴み、引き止めた。

「待ってくださいまし、咲夜さん。グループ結成の報告は、先程配られた『この用紙』にグループ内全員の名前を記入して提出するのですわ」

 そして、手早く彩は『用紙』に名前を記入、次いで私、その次は上村くん、最後に咲夜が名前を記入し終えると、

「じゃあ、今度こそ、先生に報告してくるぜ」

 『用紙』を持って、咲夜は教壇のところにいる先生へと報告に向かった。


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