The Sacrifice
カオス「コのトウキとかイう者ノ体ハ素晴ラしい…!我ガ力を…受け止める器としてこれからも使っていってやる…!」
グレイ「させるか!意地でも引っ張り出してやる!」
カオス「やってみせるといい…。我が神からの御力を得ずとも、この者の体には溢れんばかりの力がある。まずはお前達を八つ裂きに…!?」
トウキの体を掌握したカオスは内在するセイリュウの気配を感じ取った。
カオス「ほほぉ…成る程。既にワシ以外に別の者が入り込んでおったとは…!よかろう。この俺の一部として取り込んでやろう!」
グレイ「何ワケの分かんない事言ってんだ!この野郎…!」
シン「待てグレイ!今のまま攻撃したらトウキを傷ついちゃう!」
グレイ「…くそ!じゃあどうすりゃいいってんだよ…!く…ッ俺なんかを庇ったせいで…。トウキ…!」
カオス「傷つけたくなければ簡単なことよ…!このまま大人しく嬲り殺されるがいい!」
ドス黒い靄を口から発しながら斬鮫を片手で軽々と振り回す。
グレイ「…クソッ!こうなったらもう一度俺の限界突破で…。」
シン「だから落ち着けって!利き手で放ったらいくらトウキの体が丈夫でも丸焦げになっちまう!…なぁ、ここは俺に任せてくれないか?」
グレイ「だ、だが…。」
シン「頼む…。」
グレイ「…わ、分かった。」
シンは麒麟剣を構えカオスと対峙する。
シン「麒麟剣…タテガミ!」
グレイ「シン!まさかお前、本気でやるつもりか!?」
シン「いや…、まずは動きを止める。トウキの持つマナの属性は水、そして俺のは雷。相性ではこちらに分がある!」
シンが限界突破を行う間、グレイは構えた銃から火のマナを込めた弾丸を発射しカオスを牽制する。対してカオスは斬鮫を振り回して斬りかかろうと距離を詰めていく
シン「こぉのッ!」
刀身が雷のマナで覆われた麒麟剣で応戦する。交わった刃からは火花が散る
シン「くぅ…!」
しかし華奢なシンの力ではカオスの力に押し負けてしまう
グレイ「シン!…マナの相性関係ないじゃねぇか!力負けしてるぞ!」
シン「くぅ…マナを肉体強化に回す余裕が…」
カオス「ハハハ!どうした!どうしたァ!?」
麒麟剣を叩き折る勢いでガンガンと斬鮫を何度も斬りつける
シン「こうなったら…!く、くらえ…!帯流電!伝駆」
刀身に纏う雷は線香花火のようにパチパチと弾ける。そして斬鮫が麒麟剣に触れた瞬間、斬鮫を通してトウキの体に電流が走る。しかしその余波はシン自身にも広がり感電してしまう。
シン「ぐああああっ!…く…これで動きを止め…!!」
カオス「クハハハハ!効かぬ!効かぬわ!痛い…痛い痛い痛い…!アアアア!…死ねえぇ!」
シン「しまっ…!」
満身創痍、膝をついてしまったシンの頭上に斬鮫が振り下ろされる
シルバ「ゴーちゃん…パーンチ!」
シルバの指示で動くゴーちゃんの拳がトウキの体を吹き飛ばした
シルバ「ねぇ、なぁにこの状況?急いで来てみたけど、仲間割れにしてはちょっと派手にやりしぎじゃな〜い?」
グレイ「シルバ!」
シルバ「グレイぃ…私、もうそろそろお風呂入りたいんだけど〜」
グレイ「すまない!もう少し、力を貸してくれ…」
シルバ「まぁ、あなたに頼られるのは悪い気はしないし何より…報酬のためだもんね!いいわ。協力してあげる!…で?何すればいいわけ?」
グレイ「トウキの中に入り込んだカオスを追い出す!その為に動きを止めたい!」
カオス「うおォォ…痛てて…キョアアアアア!殺す殺す殺す…!!」
起き上がったカオスは奇声を発しながら斬鮫で斬りかかる。
グレイは赤熱弾光を放ちカオスの動きを止めた
シルバ「ふぅん…それで暴れてたわけね…。まったく、身投げしたり取り憑かれたり…。忙しい子…ね!」
その隙にシルバは巨人拘束弾を放ちトウキの体を固める。
グレイ「シン!今だ!」
シン「2人が作ってくれたチャンス…無駄にはしない…トウキは絶対…俺が…“わたし”が絶対に助ける!!」
シンがそう叫んだ瞬間、握っていた麒麟剣が強い光を発する。
グレイ「何だ!?…シンの剣が光って…」
シルバ「変わっていく…?」
シン「…そう。応えてくれるのね。麒麟…ありがとう。」
『限界突破!麒麟剣・麟角!』
剣先が二又に割れ、形が変化する。シンはその麟角を手にすると舞を始める
シルバ「舞…?」
シン「どうしてだろう…今、何で舞ってるのか全然分からない…。けど、こうする事がすごく正しいって気がする…。体が勝手に動いてるこの舞は…!!“退魔の舞”!アルマリアでずっと…練習していた舞の1つだ…!これなら!」
シルバ「なんなのこれ…?目を逸らしたくなるくらい綺麗…。何なのよコレ…ってゴーちゃん!?どうしたの!?」
舞いを始めた瞬間、ゴーちゃんは苦しむようにうつ伏せになりながらシルバの影の中へと逃げ込むように身を潜めてしまう。
グレイ「…!見ろ!トウキの体から靄が…」
カオスは龍脈の力を利用する。そして自身をさらに混沌とさせる為に地下に屍を並べ、周囲のマナに悪影響を与えていた。さらに生贄として寄越された者の魂すらも自分の一部としていた。対してシンの舞は、本来故郷アルマリアにて祀られていた麒麟に捧げる為のもの。それは周囲のマナを浄化し、神聖な物へと昇華させる力を持っていた。
カオス「グアアアア…ヤメロ…ヤメテ…止マレェェェ!」
シン「これで仕舞いだ!トウキぃ!!お願い…。戻ってきて!」
動けないトウキの胸元に麟角を突き立てる。
すると胸に刻まれたセイリュウの刻印を上書きするように上半身には×字の印が刻まれていく。全身から黒い靄が溢れ始め、完全にトウキの体から離れるとカオスは再びシャマノの体へ戻っていく。
グレイ「トウキ!無事か!!」
グレイは駆け寄りながら拘束していた土の塊を撃ち抜き解放する。そしてトウキは力なく地に倒れた後、彼の手を掴むと肩に支えられて立ち上がる。
トウキ「う…うん…。大丈夫…。かなり身体中がズキズキするけど。それよりも僕は…今まで何を…?」
シン「…よかった。」
どうやらカオスと同化していた間の記憶は無かったようだ。安堵したシンは疲労を感じ膝から崩れ落ちる。
トウキ「(?…セイリュウの気配が感じられない…?)」
グレイ「…おい!変態神官!逃げんな!」
夜闇を松明の火が照らす中、見えたシャマノの体は急に時間が加速したかのように腐食が進んでおり、まるでゾンビのような姿へと変貌していた。ふらつきながらも隠し穴を開け一気に遺跡の地下へと飛び降りる
シン「…ま…てっ!」
限界突破が解除され麒麟剣は元の石の剣へと戻る中、満身創痍のシンを制止するようにシルバが胸元へ抱き寄せる。
シルバ「その体じゃ無理よ…。」
豊満なシルバの胸に埋められたシンは懐かしい温もりを感じつつ、落ち着いた表情を取り戻しシルバに身を任せた。
グレイ「奴は俺が追う!あの様子じゃもう抵抗する力もないはずだからな!」
シルバ「待って!深追いは危険だわ!」
グレイ「詳しいことは知らん!でも強いて言うなら今ヤツを仕留め損ねたら…今度はもっと恐ろしいことになるかもしれない!」
グレイは銃を構えカオスを追う。穴に飛び込みしばらくすると銃声が響き渡り、周囲を静寂が包み込んだ。
トウキ「…やった…のか?」
シルバ「…ッ!?」
トウキがそう言いこぼした次の瞬間、シルバの目を疑う光景が目の前に広がる。
カオスが逃げた穴からゆっくりと姿を見せるグレイ。その体を長く伸びた鋭利な棘が串刺しにしていた
シルバ「嫌ァァァァァァッ!」
シルバの叫びが祭壇に響き渡るのであった…
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