奪取
カオス「では選ばれし者の心の臓を…」
拘束され身動きの取れないトウキに神官=カオスの持つ刃が迫る
カオス「ああ…今宵もまた、我らが神の御前に選ばれし人が向かってゆく…なんと素晴らしき…ん?」
トウキの着物から露出した胸元に刻まれたセイリュウの刻印。それを見たカオスの顔色は曇る
カオス「…違う。違う違う違う違う違う!ちがあぁあぁぁう!!これは我らが神の刻印ではない!我らが神の似姿をした異なる手の者の刻印!!なんと汚らわしい…何故です!?何故このような者を招き入れたァァァ…!?」
村人C「な、何のことですか!?我々は確かに刻印を持った人を連れてきたじゃあないですか…!?」
カオス「…アナタ、我らが神への供物は何でもいいと申しましたね?我らが神へ与えられる物は神がお選びになった物のみ!我々に選ぶ権利などないというのに…それなのににににに…」
村人C「そんな!何が違うっていうんだい!?私達はこれまで言われた通りにやってきたじゃあないかい!!」
カオス「許されぬ…神の怒りを受けよォォォ!!」
祭壇で狼狽える村人達を囲うように赤いエネルギーが渦を巻く。村人C達が悲鳴をあげた瞬間、
「グレネード・爆裂徹甲打!」
グレイの持つ銃は限界突破すると腕を覆うガントレットへ変わる。腕に負荷を与え一時的に使用不可にさせるデメリットはあれど、渾身の一撃はすさまじい破壊力を秘めている。左腕より放たれたその一撃は、利き手である右腕程ではないが凄まじい爆風を伴いながら一直線に放出された。そしてその爆撃はトウキに迫るカオスを掠め、祭壇を直撃する。
グレイ「く…ッ。よ、よォ…変態神官さん、今朝より随分元気そうじゃねぇか!」
カオス「アアアアア…!やってくれたなァ…よくも…ワタシノ依代ニ傷ヲォォォ…ヨクモ傷ツケテクレタナァァァ!?」
自身の一部ともいえる遺跡を壊されたカオスは初めての出来事に驚き、地団駄を踏みながら激昂する。その隙にシンが周囲の村人を逃がし、拘束されていたトウキを解放して背負って来た斬鮫を渡した。
グレイ「まぁそう怒るなよ。ほら、お前が大好きな心臓、持ってきてやったから…よッ!」
限界突破を使ったグレイの左腕は火傷を負ったようになる。それを隠しつつ、懐から取り出した臓物をカオスの顔に向かって投げつけた。それは以前シルバが仕留めた屍異奴の物。黒鍵を突き刺されて生み出されたオークの心臓であった。
カオス「…馬鹿ニスルノモ大概ニシロ!!…コンナ時間ノ経ッタ心臓ナド誰ガ喰ウモノカ…!」
グレイ「ちぇっ。せっかくシルバが屍異奴との戦いで手に入れたって言うから貰ったのになぁ…。それに今お前、“喰う”っていったよな?お供え物のハズがまるで自分で喰うみたいな言い方じゃねぇか!」
カオス「我ガ神トワタシハ一心同体。常に繋ガッテイルノダ!今コノ瞬間モズット…!」
グレイ「んだよそれ。答えになってないぞ?それにその言い回し、かなりペテン臭くなってきてるぜ?」
カオス「…?オカシイ…!我ガ神トノ繋ガリガ感ジラレナイ!?」
グレイ「ああ、それなら今頃…」
シルバ「ああ…汚い。でもグレイに協力して欲しいって頼まれちゃったワケだし…仕方ないかぁ…」
遺跡の最下層。ここには禊を行う泉からの水が引かれていた。そしてそこは龍脈のある場所でもある。
しかし今その場所は赤黒く染まった血肉が散乱しており、腐敗臭が漂うくうかんとなっていた。そして壁はまるで血管が張り巡られ、脈打つかのように収縮と膨張を繰り返していた。龍脈の力を遺跡自体が吸い上げ、カオスは自身の力としていたのだった。
シルバ「血の匂いを辿ってここまで来たけど、どうやらここが心臓部みたいね。それにここに漂う異様な気配…膨大なマナ。これが龍脈ってヤツなのかしら…?まぁ、どうでもいいっか〜!ゴーちゃん!やっちゃって〜♪」
脈打つ壁をゴーちゃんが叩き壊していく。龍脈の力を吸収できなくなったカオスは膝をつく。
グレイ「あまり人間舐めてるとヤケドじゃ済まねぇぜ?」
カオス「グゥ…我ガチカラノ根源ガ…我ガ…俺ガ、ワタシガ、ア、溢レル…!ギャアアアアア!」
グレイ「なんだ!?急に体から靄みたいなのが溢れてきたぞ!」
シン「シャマノさんの体に乗り移ってたカオスは死んだ人間達の怨霊みたいなものだ!おそらく龍脈のチカラが途切れたことで抑え込めなくなったんだ!」
シャマノの体から完全に離脱したカオスは、呻き声や叫び声が入り混じった靄の塊となり宙に留まる。
カオス「アア…ゥゥゥ…!ヨ、寄越セ…戦ウ為ノ体ヲォォォ!助ケテ!死ニタクナイ…!苦シイ…モウ…殺シテ」
グレイ「言ってる事がもうワケ分からないぞコイツ…」
シン「死んだ人間達の意識が…混在してる…!」
カオス「…大人シクシテイロ!我ガ内ナル者達ヨ!騒ゲ!苦シメ!黙レ!マズハ動ケルソノ強キ体ヲ…頂ク!」
左腕を抑えるグレイへとカオスが取り憑こうと迫るが…
トウキ「危ない!」
グレイを押し飛ばし庇うトウキ。カオスの靄はトウキを覆い尽くしてしまう。
カオス「コノ際何デモイイ…動ケル体デアレバ…コイツデモ…!」
トウキ「ぐあああああッ!な、流れ込んでくる…いろんな人の苦しみが…痛みが…何だこれ…?!?あああああ!!」
シン「トウキ!!」
グレイ「馬鹿野郎!何で庇うような真似を…」
トウキ「…助けてくれた…から…。そ、それに僕たちは…仲間…じゃないか…」
グレイ「!!(…違う。俺は…俺はただ…組織の命令でお前と剣を監視してる…それだけなのに…。)」
トウキ「…大丈夫!ほら…僕…体は妙に丈夫…だ、から…ぐあああああ!」
叫びと共に靄が散っていく。やがて姿が見えたトウキはまるで糸が切れた人形のように呆然と立ち尽くしていた。
シン「トウキ!」
グレイ「…無事だったか!トウ…キ?」
トウキ?「クククク…ヒャハハハ!!何だこの体!?すごく良い…!最高の“器”だ!ハハハハハ!」
グレイ「う、嘘だろ…!?」
シン「カオスが…、トウキの体を乗っ取った…?」
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