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Dialogue Engage-ダイアローグエンゲージ-   作者: ZoRa
深緑の首【ケッツアルコアトル】
35/49

上陸!アスティルカ!

朝日が昇る頃、舟は新たな地へ辿り着いた。


トウキ「…2人とも、見て。星証が…」


シン「俺の星証から出た舟は消えたけど、トウキの方に出た羅針盤はまだ消えてないな…。

つまりこの方角に進めってことか?」


トウキ「そうだね…。でもさっきよりもだんだん薄れていってる気がする…。」


グレイ「なぁ、それって星の力?ってやつを借りてるんだろ?夜じゃ無くても使えるのか?」


トウキ「多少は力が減少するけど、大丈夫みたい。でも僕たちが意識して使うってよりも星証が勝手に反応して召喚するみたいだし…、ある程度目的が達成されると消えるみたいだけど…。」


グレイ「ふーん…。なんか、便利なようでそうでもないな…。」


トウキ「ははは…。でもコレ自体は本来、ただの中立都市の使者の証だから…。それ以外でも役に立つようにしてくれたウラヌス先生には頭が上がらないよ。」


グレイ「ウラヌスねぇ…。俺も噂には聞いたことある。確か星の声を聴く事ができる賢者だとかなんとか言ってたか……。出来ることなら俺もいつか会ってみたいもんだ…。」


シン「星都に戻った時に会ってみるといいよ。先生はああ見えて結構暇してるから」


ウラヌス「…ヴァックション!!!」


フィリア「先生?風邪でも引かれたんですか?」


ウラヌス「んむぅ…いや、何処かで誰かが儂の噂でもしとるのかの…。」


遠く離れた星都では徹夜明けの老人のクシャミが1つ響き渡った…


そんなこんなで話をしながらトウキ達一行は鬱蒼とした森の中を進んでいく。しかし歩みの早さに対し、掌に乗せた羅針盤は徐々に薄れてゆく。


シン「羅針盤の力がさらに消えかかってるな…。」


グレイ「でもまぁ…この調子ならこのまま真っ直ぐ進めばそのうち着くんじゃないか?」


シン「どうかな…。この深い森も龍脈の影響で異常に繁栄してると考えたら、下手に進むと逆に迷う可能性がある…。どうしたものか…」


トウキ「うーん…ん?」


消えかかった星座が再び現れないかと星証をノックしたり、覗き込んでいたトウキが星証を耳に近づけた時、表情を変えた


トウキ「(…歌が…聞こえる?)」


レヴィ「トウキ、トウキにしか聞こえないよ。この声は。刻印を持つ者にしか…ね。これはやまびこの歌。耳を澄まして。他の私が近くにいた時、この歌に呼応するように反応するから。」


シン「トウキ、どうかした?」


トウキ「い、いや、何でもない…。こっちの方に行ってみよう!!」


星証を持ち走り出すトウキ。グレイとシンは疑問を感じながらも彼を追いかける


木々の間を縫うように進んで行った先には、ピラミッドのように石を積み上げて造られた建造物が立っていた。

その頂上には何かを奉納する為の祭壇が用意されている…。


トウキ「これは…?」


シン「遺跡…のようだ。…石を積み上げるだけでここまで大きな建造物を造ることが出来るとは、たまげたなぁ…。見たところ造られてかなり時間が経っているみたいだし、ここにも何か伝承があるかもしれない…!」


グレイ「見ろ!奥に集落があるぞ!話を聞けるかもしれんぞ!」


3人はその集落に向かう。

しかしそこは暗く、物静かで重苦しい雰囲気に包まれていた。


シン「…。おーい!誰かいないかー!?」


シンが大声で声を掛けると


村人A「…旅の者かね。こんな辺鄙な村に何用かな?」


扉を少しだけ開いた村人が手招きをしながら返事をした。


シン「俺たちは海を超えた地にある中立都市、星都から来た使者です。龍脈と呼ばれる地について各地を旅しながら調べているのですが、つい先程あちらに古い遺跡を見かけたので、どのような物なのかを尋ねたくて…」


続けて話そうとするシンの口を塞いだ村人は周囲を警戒しながら一行を建物の中へ招き入れる


村人A「…いきなりすまなかった。だがあまり外で遺跡に関する話はしないで欲しい…。」


グレイ「何故だ?誰かに監視でもされてるのか?」


村人A「…。とにかく奥へ。」


部屋の奥へと案内される一行。坂道を下るように進んでいった先はどうやら地下室のようだ。照明魔石などはなく、質素な松明を照明代わりにしているようで、壁も床も石を積み上げて造られていた。大広間の先にある石畳の部屋には、正座をして祈りを捧げる白装束の少年がいた


トウキ「あの…あの人は何を?」


村人A「最期の…祈りじゃよ」


トウキ「最期?」


村人B「…調べ物をしているんだってな。だったらあんたらは運がいい。なにせ儀式の当日にこの地へ来られたんだから。今日はちょうどこの後その遺跡の頂上で数年に1度行われる儀式が執り行われるんだよ…。」


グレイ「すごいな!まったく、そりゃラッキーだ!」


しかし周囲にいる村人達にめでたそうな雰囲気は感じられない。むしろ涙を拭う者がいる程、物々しい雰囲気が漂っていた


グレイ「…ってわけでもなさそうだな…ハハハ…。」


興奮で腕を上げたグレイも、それを見るや苦笑いをしながら腕を下ろした


村人A「口を慎め。本人の前だぞ…。さあ、そろそろ禊の時間だ。移動するよ…。」


そう言いながらと村人Aは祈りを捧げる少年の肩に触れる。少年は作り笑いを浮かべながら立ち上がり、村人Aの後をついていく。移動する少年の手が小刻みに震えている姿を見たトウキは疑問の表情を浮かべていた。

集落の奥に続く道の先には泉が湧いていた。陽の光が当たって五色に輝く泉の中に少年は白装束を着たままゆっくりと身を沈めて行く。

そしてしばらくすると少年が泉から上がり、用意された神輿に乗せられると遺跡へと向かっていった。


トウキ「あれは…!!」


濡れた白衣装は少年の肌を透けさせる。トウキが見た少年の上半身は下腹部から胸部に向けて、まるで蛇が這うようなアザがあったのだ。


トウキ「…刻印だ。」


シン「なんだって?刻印?」


トウキ「シン、ここにも居るよ。いや…在るよ。龍脈が…」


シン「どういうことだ?」


トウキ「あの少年にあるアザ…。アレは龍脈として存在しているオロチの首が与えたものにそっくりなんだ…。あの島で…レヴィが…、いや、セレンの首筋にも同じようなアザが刻まれていたように…。」


トウキは自身の胸を押さえながら言う。


グレイ「だとしたらこの辺の樹木が多いってのも納得できる…。だが何でわざわざ水に浸かったんだ?そして何であんな運ばれ方をする?

舟ん中で聞いた限りじゃあ、その子の中に龍脈から離れた首…レヴィアタンだっけか…ソイツの魂みたいなのが入ってたんだろ?そのセレンって女の子は詳しく知らん。強いて言えばあの時は俺らに姿すら見えなかった。だが今は彼のこともアザみたいなのもハッキリ見えてるぞ?」


シン「…あの、まさか…」


村人「何も言わないでください。…お願いですから何も…。」


そんな話をしていると、森の木々が風もないのにざわめき始め、どこからか声が聞こえて来た。


声『身を清めし我らが神の印を刻まれしヒトの子を豊穣の祭壇へ…』


その声を聞いた瞬間、少年は神輿の上で気を失うかのように意識を失った


グレイ「何だ今の声は?!」


シン「…トウキ、どうやらこの間とは状況がかなり違うみたいだ…」


トウキ「それってどういう…!?」


村人A「…申し訳ないが、旅の方たちよ、我々はこれより先へは行けませぬ。」


グレイ「なぜだ!?」


村人A「周囲を見てくだされ。」


村人達を囲うように黒い影人が揺らめきながら接近してくる


シン「黒い影人…。屍異奴だと!?」


グレイ「囲まれたか…一体どっから湧いて出て来やがった?!」


シン「どこだっていい…根絶やしにしてやる…!」


グレイ「やってやるぜ!」


トウキ「斬鮫!僕たちもいこう!…斬鮫?」


シンとグレイは得物を手にし、それぞれ屍異奴に攻撃を仕掛ける。

しかしトウキは、斬鮫にマナを与えても斬鮫が反応せず困惑していた


トウキ「斬鮫!?!返事をしてくれ!!」


シン「トウキ、どうした!?」


雷属性のマナを纏った石の剣で屍異奴を斬り倒しながらシンが問う


グレイ「目の前の敵に集中しろ!コイツら…あの神輿を狙ってやがるぞ!」


トウキ「…やるしかない!」


返事をしない斬鮫に水属性のマナを纏わせる。


トウキ「(今まで無意識のうちに斬鮫を頼りきっていた…。話しかければ答えてくれる…そんな斬鮫に。僕の水属性のマナを斬鮫が調節してくれていたからなんとか戦って来られた…でも今は僕自身の力だけでやるしかない…。村の人達を…みんなを守るんだ!」


トウキ「研ぎ澄ますんだ…マナを。鋭い刃をイメージするんだ…!水刃斬!」


横一線に放たれる水の斬撃は複数の屍異奴に命中するが、致命傷を負わせるまでに至らなかった。


トウキ「き、斬れない!?そんな…。」


グレイ「く、何やってんだ!トウキ!コイツらはまだ素体の状態ザコだ!他のモンに寄生されたり、合体される前に確実に仕留めないと面倒になるぞ!!」


グレイは火属性のマナを凝縮した弾丸を放つ。


グレイ「(この間の戦いで分かったことは2つある。…1つは多量のマナを一度に集中するとオーバーヒートを起こす。赤熱弾光(レーザー・バレット)を1回撃つのもまだ慣れちゃいない俺の[熟練]が足りていない証拠だ。

もう1つはそんな未熟な状態で限界突破をすれば、当然力は出せても後がなくなる。1発逆転ができる局面でも来ない限り、今は使うに使えない…。だから今は…少しでも負担を分散するんだ。

ノワールが言うリボルバー式というこの武器はありがたいことに6つまで弾を装填できる。今までは屍異奴を仕留める為にストックする事はあまり考えて来なかったが、こうも相手が複数になるんじゃそうは言ってられない…。弾を絶やさないようにマナを装填していくんだ…屍異奴を狙いながらも冷静に…。)」


シン「雷刃斬!」


雷撃を纏った石の剣を振るい1体ずつ確実に屠るシン。


シン「(広範囲に攻撃できる帯電流を使えばこんな奴らワケないけど…範囲を広げればそれだけ周囲に散らばってる村の人たちも巻き込んでしまう確率も上がる…。トウキも何故か調子が悪そうだし、わたしが…1体でも多く、早く倒さなきゃ!)」


神輿に向かう屍異奴達は、周りを一切気にせず前進していく

しかし数の多さに圧倒されているシンとグレイは目の前に迫る屍異奴達を対処することで精一杯だった


トウキ「…くそっ!こうなったら…あれを試してみるしかない!」


トウキは周囲の屍異奴を押し除けながら泉に向かう。

そして斬鮫を畔に突き刺すと泉の中に身を投じた。自身を限界へ追い込み、再び死にかけることで額にツノを生やす鬼と呼ばれる力を解放しようと試みる為だ。息が続かなくなっても耐え続け泉の底へと沈んでいく…。瞼の奥にふとイメージが浮かぶ。水中で目を開くとそれは遠くから龍の影が迫って来ていた


トウキ「(アレは…セイリュウ?それともレヴィ?)」


どちらとも判別できない別の姿をしたその影はトウキすり抜けていく


影「…違う。お前ではない…」


そう言ってその影は消えていくのであった。


トウキ「…何だったんだ今のは…っ!?そ、そろそろ息が…。この体の感じ…初めてなったあの時と同じ…ア、アアアア!」


泉から飛び出したトウキ。突き刺した斬鮫を引き抜いたその額には島で戦った時に現れた氷で覆われた仮面は無く、ただただ一本のツノが生えているだけであった…。

お読み頂きありがとうございました。


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皆さんに見て頂けること自体が嬉しいことですし、これからも貴重なお時間を共に過ごせるよう頑張って書いていければと思いますので応援よろしくお願いします_(:3 」∠)_

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