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Dialogue Engage-ダイアローグエンゲージ-   作者: ZoRa
藍色の首【レヴィアタン】
32/49

手引き

レヴィアタンと名乗った女性…レヴィはトウキの手を握り話を始めた


レヴィ「私達はかつて1つの存在だった。意識も思考も感情も全てがまとまっていた。でもある時、私達は地に堕ちた。そして世界を支える大樹に噛み付いたの。それを止める為に遣わされた存在に私達は斬られていった。私達は再び上に戻りたかった…それだけだったのに。斬られた私はもう一度空に登った。でも私は堕ちた。今度は地よりも深い、深い海の底に…。

それからしばらく経ったある時、ヒトが近くの地に立った。そのヒト達は死にかけていた地でも懸命に生きようとしていた。私はそんなヒト達を見て面白いって思い、協力を申し出た。

しばらくしたらアイツ(ネプチューン)が現れた。声に誘われて来たアイツもかつてはこの地に生きる小さな存在でしかなかったけど、私を守る為にとアレ(龍脈)に触れたら急に変わった。そして私に代わって全てを任せろと言い始めたの。それから私は行く末を見守るだけの存在になった。許されるのは器の限界が来た時の乗り換えのみ。姿ある物はいずれ崩れるから…。」


トウキ「僕の中にいるセイリュウと同じ存在なんだよね?」


レヴィ「そう。でもちょっと違う。あなたの中にはまだ居ない。いるのは…」


レヴィは背負われた斬鮫を指差した。


レヴィ「刻印は私達の力の一部を与えるもの。私のは声を聞いた相手の意識を惹く“色欲”。」


トウキ「セイリュウが言っていたのは“怠惰”だった…。」


レヴィ「あなたと背負う剣には同じ刻印が半分ずつ刻まれている。それは封じる何かが似ているから。じゃないとそんな器用な事、絶対出来ない。」


トウキ「何故だ!?何故僕たちにそんなものを刻んだ!?」


レヴィ「私達を束ねる為。あなたは選ばれた。そして…」


『1つになる為』


そう言った瞬間、レヴィの瞳の色が藍色に変わると、目元や手の部分から鱗が露わになっていく。掴まれた手を離そうとするトウキの力も及ばぬまま下半身がヒレのように変貌した彼女により海の中へ引きずり込まれる。


シン「トウキ!どうした!?って俺たちの体も動かない!!」


グレイ「く…。さっきの歌を聞いたからか…」


一方海に連れ込まれたトウキは、不思議なことに海の中でも呼吸ができていた


レヴィ「アクアリウムコーティング。これで呼吸できてるの」


トウキとレヴィは薄い膜で覆われていた。それにより地上にいる状態と変わりなく、目も開けていられるようだ


トウキ「どこへ向かうつもりなんだ?」


レヴィ「着いた。これ以上近づくとアイツに気付かれちゃうけど…。あそこ、見て。」


2人の目の前には岩の間からエネルギーが泡のように湧き出る龍脈が見える


レヴィ「これが私。私という魂が抜けた…抜け殻。だけどコレは膨大なマナの塊だから…自然にとっては力の根源。アイツをどうにかするのならアレを破壊すればいい…」


トウキ「もしも…破壊したら君はどうなるの?」


レヴィ「消える。本来の魂の器が無くなる以上、存在を保つには別の器が必要になる。だから今入っている器、セレンの体が朽ちる時に…一緒に」


トウキ「?!」


夢に出てきたセレンが実際に存在し、その体を使っているレヴィが消える可能性を示唆されたトウキは絶句する


レヴィ「…。」


トウキ「…ねぇ、もっと人間を見ていたいんじゃない?」


レヴィ「…うん。あなた達をここに呼んでからずっと見てた。村の人達の支え合う姿も、あなた達が守ろうとしてくれたのも。私にとってはすごく興味深い出来事だった。たとえこれが現でなかったとしても…」


トウキ「…?とにかく、君をあの中に戻すよ!話はそれからでも遅くないでしょ?」


レヴィ「出来っこない…。そんなこと…」


トウキ「出来るさ!僕には心強い仲間がいるんだから!見ていてよ…。」


レヴィ「本当にすごいのね。ヒトって。力もマナも私以下なのに力を合わせればすごく心強く感じられる…。不思議で興味深いイキモノ…」


トウキ「私以下って…。ちょっと言い方にトゲがあるなぁ…まぁでも任せてよ!」


レヴィ「うん。じゃあ、戻ろっか」


トウキ「うん!でも1人で戻るよ。レヴィはここで隠れてて。ネプチューンに隙が出来たら一気に龍脈へ…君の体へ戻れるようにね!それに…僕も試したいことがあるんだ。」


トウキは斬鮫を握り、心象空間にてセイリュウとの対話を試みる


トウキ「セイリュウ…話せるかい?」


セイリュウ「なんだ〜い?…眠いんだから寝かせてよ…」


斬鮫「おいおい、オマエの片割れがいるんだぞ…寝てる場合かよ。」


セイリュウ「まぁ…そうなんだけどさぁ〜。僕が持ってる怠惰ってのはダテじゃないってことさぁ…。」


トウキ「だったら少しだけでいい。力を貸して欲しい。」


セイリュウ「んー?どういうことー?」


トウキ「僕の中に刻んだ刻印を解いて欲しいんだ。」


セイリュウ「無理だね〜。一度刻んだ刻印は消せない。…まぁ緩めることはできるけど。完全に消し去るには死にでもしないと消えないだろうけどね〜」


トウキ「分かった。だったらやれることは…」


斬鮫「どうするつもりだ、トウキ?」


トウキ「僕なりにやってみようと思うんだ。僕の限界突破をね。」


トウキはそう言うと心象空間を後にする。


斬鮫「なんだってんだ?…すごく嫌な予感がする。」


セイリュウ「冷静だね〜。僕が入ったことで刻まれた刻印の半分がようやく作用してきたのかなぁ〜?」


斬鮫「黙れヘビ野郎。まぁ…否定はしないが…」


セイリュウ「ふふふ〜。愉快だね〜。これからもいっぱ…い…お話しよ…う…ね。」


そう言いながらセイリュウは霧散していき、斬鮫は再び心象空間で1人佇む。


斬鮫「また取り残された…か…。おかしいぜ。ずっと1人で慣れてたはずなのに、何だか俺の中が広く感じるぜ。」


トウキ「じゃあ僕、行くね。」


レヴィ「…うん。でも、ちょっと…もうちょっとだけ…このままで。」


レヴィは繋がれた手を結び直すように指を絡めた。


レヴィ「暖かい…初めて触れる感覚…すごく心地いい。」


トウキ「(ずっと遠くから人を見守っていたレヴィにとってこれが初めて触れる人の温もりなのか…でもレヴィ自身は…)」


レヴィ「…死んだ人の体を使ってるから冷たい…よね。それに他人の体を使ってこんなこと…」


トウキ「僕は君がしたいって思う事をすればいいと思うよ。」


レヴィ「ありがとう。救われる。そう言って貰えるだけで…。見守ってるうちに欲しいなぁって思ってた物…これなのかな。大切にするね。この気持ち。」


トウキ「うん。じゃあ…」


レヴィ「じゃあ…」


トウキがレヴィの手を離すと2人を覆っていた膜は破れ、水泡と化した。そして水面に向かい上へ上へと泳いで行き、再びグレイとシンの元へ戻っていく。


レヴィ「右肩の付け根、身を守る物が無くなった時…そこが弱点。」


レヴィは静かに囁いた。


・

・

・


グレイ「トウキ!大丈夫か?!」


トウキ「うん…さすがにちょっとびっくりしたけど。」


シン「そりゃこっちのセリフだよ…。一体何だったんだ…?急に歌が聞こえて来たと思ったら体が動かなくなるわ、トウキは1人で海に入って行くわ…。挙句、戻って来たら俺たちの体はちゃんと動くようになるわで…。まったくワケがわからなかった…。」


トウキ「…実は、龍脈の中に居た存在…レヴィっていうんだけど、その子と話をしていたんだ。それで、彼女の体である龍脈の中に戻してあげる為に…。その為に龍脈の力を横取りしてるあのネプチューンってやつを出来る限り引き離したい。頼む!2人共、もう一度力を貸して!」


グレイ「力を貸すのは当然問題無いが…。レヴィ?龍脈?俺たちにはお前が誰かと話をしている様子は見えていないのに、何故お前にだけ見えていたんだ…?」


トウキ「それは…。きっと僕と斬鮫の中にも似た存在がいるからかも…」


グレイ「そうなのか…。

(だいたい分かってきたぞ…!ノワールは人斬りの剣だけを危惧していたんじゃない…。その中に居るもう1つの存在を察知して、管轄を持っていない俺に監視なんて指令を言い渡していたってことだよな…。まぁ鬼みたいな角を生やしてとんでもない力を引き出したトウキに、ヤツの持つ人の血肉を求める人斬りの剣、そしてその中に居る得体の知れん存在…。そんな危険物盛り合わせセットが居るんじゃこの先何が起こるか分からんし、監視せざるを得ないよな…。)」


シン「(ただのマナの塊であると言われてきた龍脈に、意思があるとでもいうのか…?いやしかし…トウキと初めて出会った時に見たビジョン…。そして星の文書庫で見た星の記憶…。わたしが思うに龍脈は正真正銘、八つの首を持っていたオロチの斬られた首だ。なら当時の意識や感情があってもおかしくはない…。)」


グレイ「つまり龍脈を元のあるべき姿に戻す…そういうことなんだよな?」


トウキ「ああ。それさえ出来ればきっと…」


シン「やってやろうじゃん。こんな体験普通じゃ出来ないことだぜ?!」


グレイ「妙に張り切ってるな…。まぁ、いずれにせよあのネプチューンとかいうヤツをどうにかしねぇとこの島は…あの村が無くなっちまう。それを阻止できるなら俺も…!」


ネプチューン「レヴィだと?!…そんな者はいない。これは…我の力…我の物…!我の…我の…!」


レヴィの名を聞き取り乱したネプチューンは姿を現すと襲いかかってくる。その姿は海藻やフジツボなど無数の貝が付着しているだけでなく、船の残骸といった人工物すらも身に纏った悍ましい姿であった


トウキ「グレイ、シン、少し試してみたいことがあるんだ。もしも失敗したら…僕もろともアイツを貫いて欲しい。」


シン「何言ってるんだ?!もう1人で無茶はすんなって言ったばかりだぞ?!」


グレイ「…分かった。思う存分やってこい」


シン「おい、グレイ!アイツが何しでかすか分からないのに、そんな無責任なことぬかしてんじゃねぇよ!」


グレイ「アイツなりにケジメをつけようとしてるんだよ。それを止める権利はいくら仲間でも野暮ってもんさ。それに…」


グレイはシンにトウキを見るよう伝える。2人の目には決意に満ち溢れ、目前の巨体にも恐れない姿があった


グレイ「やってのけてくれる。なんとなくそんな気がするだろ?」


シン「…ったく。分かったよ。好きにしやがれ!」


シンとグレイはトウキの背後で得物を構えつつもトウキを見守る。


トウキ「…いくぞおお!」


斬鮫を握り、トウキは足に纏った水のマナでネプチューン目掛け飛びかかる


トウキ「水刃斬!」


研ぎ澄ました水の刃をでネプチューンを直接斬りつける。ダメージを受けたネプチューンの体に付着している物は海へと落ちていくが、気にした様子もなく手に持った槍で薙ぎ払う。トウキは斬鮫で受け止めようとするが勢いに押し負け吹き飛ばされてしまった


トウキ「く…でも、まだまだ!」


斬鮫にマナを与え、宙に放つ。斬鮫はトウキの意を汲んでか海中に飛び込んで行った


ネプチューン「得物を捨てるとは…早くも諦めたか!」


トウキ「どうかな!ここからさ…ここから!」


トウキは胸に手を当て再びネプチューンに歩み寄っていく


ネプチューン「笑止!先に冥土へ送ってくれようぞ!」


ネプチューンは体中から無数のマナの塊を放つ。放物線を描きながらトウキに向かって銃弾の雨のように降りかかる


グレイ「く…まだ撃てない…か!」


シン「あれは流石にまずいだろ! …雷刃斬!」


グレイは銃を構えるが、先程放った一撃の反動で動けずにいた。シンは雷のマナを石の剣に注ぎ、空を切るように斬撃を飛ばすも、全てを相殺することはできなかった。そして残ったマナの塊はトウキの周囲もろとも土煙を舞わせる


グレイ「トウキ…!」


風で土煙が払われていくとトウキの姿が徐々に見えてきた。身体中はボロボロになっているが歩みを止めることなく一歩ずつ進めていく


ネプチューン「小癪な!!」


シン「一体何を考えているんだ?! あれじゃあただの的になるだけだぞ?!」


グレイ「まさかアイツ…あえてダメージを受けているのかも」


シン「な!?そんな自殺行為を…なんで…?」


グレイ「試したいこと…。あの力をもう一度目覚めさせようとしているのかも…」


シン「鬼のようなツノを生やしたあの姿…」


ネプチューンの槍がトウキを突き刺そうと迫る。しかしトウキはその身より大きな槍を両手で受け止めた。ゆっくり吐き続ける息はやがて白くなり、両手で掴んだ槍も徐々に凍りついていく。そして力を込めると槍の先は砕け散っていった。


グレイ「これがアイツの限界を突破するってことなのか?」


シン「いや…きっと違う…。わたしには…あれが逆に限界へ…終(つい)に向かっている…そんな気がしてならない…。」


トウキの額には徐々にツノが生え始めてくる…が、


トウキ「怠惰の…氷ッ…!」


トウキの目元を氷が仮面のように覆っていく。そして額より出始めたツノも凍りつき、代わりに氷柱のような氷が伸びていった。


トウキ「ウォル・ヒョウガ!」


掌をネプチューンに向けるとウォルターが放たれる。そして命中するとその部分は凍りついた。トウキはネプチューンの動きを止めるために体中にソレを放った。


シン「限界突破は主に精神面の働きかけによって開花し、体内のマナを活性化させ増大させる。プラスに作用するその力は武器を介したものならばグレイの武器と拳のように掛け合わさった力は何倍にも跳ね上がる…。でも、今のトウキのアレはまるでその逆だ。マナの力がマイナスに作用して水の力が氷に変化している…。」


グレイ「確かに水の特性は自在に形を変えられることにある…。凍りついて固めてしまうってことは、それも活かせなくなる…。だが…アイツ、この間とは少しだけ雰囲気が違うようにも見える…!」


トウキ「斬鮫!いけ!」


トウキの掛け声を聞いた斬鮫は海中より飛び出し、凍りつき脆くなった右肩を噛み砕いた。するとネプチューンの生身と思われる部分が露出した。


シン「意識が…ある!?」


グレイ「あの仮面みたいに顔を覆った氷…アレが暴走を抑える役割を果たしているのか…?」


トウキ「グレイ!右肩!崩れて露出した部分にぶっ放せ!」


そして何より氷の仮面をつけたトウキは性格が少し強気になるようだ。そんなトウキは声を荒げグレイに指示をする


グレイ「な…!?し、しかし今の俺は…」


トウキ「腕もう1本あるだろ?!そっち使え!!」


トウキの言葉を聞いたグレイは豆鉄砲をくらったかのように呆気に取られる


グレイ「確かにな…利き手以外で撃つなんて今まで試したこともなかった…!でもこれなら…」


左手で銃を持ち直し、再び限界突破を試みる


グレイ「…アイツが身を削って作り出したこの好機…絶対無駄にしない…!限界突破!武装転身(メタモルフォース)!ガントレット・レイオ!!!」


腕に纏った籠手は熱気を帯び、構えた左拳にマナを集積させていく


グレイ「グレネード!爆裂…徹甲打ァァァ!」


一気に解き放たれたエネルギーは狙い通りネプチューンの右肩を貫く。

ネプチューンは声にならない叫びを轟かせながら体を崩壊させていくのであった

お読み頂きありがとうございました。


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皆さんに見て頂けること自体が嬉しいことですし、これからも貴重なお時間を共に過ごせるよう頑張って書いていければと思いますので応援よろしくお願いします_(:3 」∠)_

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