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Dialogue Engage-ダイアローグエンゲージ-   作者: ZoRa
藍色の首【レヴィアタン】
22/49

船出。迫る影

港町ザーザスに着いた一行はフンゴと別れ船旅に向けた準備をしていた。朝焼けが妙に眩しく、空気は海風もあってか獣車の中で強ばった体に心地よく突き刺さる

そんな中で沈黙を破るようにグレイは言葉を発した


グレイ「突然だが、俺はお前たちの旅に同行させてもらう」


シン「こ、これはまた唐突だね…」


トウキ「それも…前に言ってた組織の指令ってやつ?」


グレイ「詳しいことは話せない。強いて言うなら、以前お前達と屍異奴を倒した事を報告したらそうしろと言われた…それだけだ。」


シン「なるほどねぇ…まぁ、屍異奴を根絶やしにする目的も今のところは一致してるし、旅は道連れっていうしね!よし!一緒に行こう!」


トウキ「え、シン、いいのかい?!」


シン「彼の持つ武器は強力だ。それにトウキが得意とする敵の懐へ飛び込む突破力を前衛、俺の雷撃を中衛とするなら…彼は後方から敵を射抜く後衛…といった感じになる。遠距離を得意とする仲間がいることは戦いの中でとても心強いんだぞ?」


トウキ「な、なるほど。確かにウラヌス先生の所でも少数精鋭の小隊…スリーマンセルを組むなら、個々の得意とする戦い方を活かすためのバランスを考慮するべきだって教わったしなぁ…」


シン「実際、何を企んでいるかはまだ分からないけど、それもそのうち聞いていこうよ。」


耳元でそう囁くシンの息が微かに耳に触れる

不意の行動に驚いたトウキは息のかかった方向を向くと、二人の目と目が合わさった。

無意識の行動だったのかシンも目を丸くし、頬を赤らめた


グレイ「何をコソコソと話している?」


シン「い、いや!ななな何でもない!!さ、さあ!さっさと船に乗る為の受付をすすす済ませてしまおう!」


グレイ「男同士で見つめ合って変な奴らだ…さっさと行くぞ」


シンが男の身なりをした女性であることはグレイはこの時はまだ知らない。

ノワール…ウラヌスからはその情報は知らされていないのだ。

ノワールにとって彼らはグレイを介して偶然知った存在…となっているからである。


船着場の受付場にて


受付嬢「はい。3名様ですね。シーザザール号は1時間後の出港となります!それまで当港にてお待ちください。あ、先程漁に出た船乗り達も戻ってきたので、新鮮な魚料理をぜひお召し上がりください!」


トウキ「魚料理ですか!僕山育ちだから食べてみたいかも!ねえ2人とも!食べに行こうよ!」


シン「そうだね!俺もしばらく海魚は食べてないから大賛成だよ!さ、グレイも行こう!」


グレイ「旅に同行するとは言ったが、ツルむつもりはない。俺は…」


グレイが立ち去ろうとしたその時、腹の虫が大きな声で鳴きだした


受付嬢「ふふふ。せっかくなので皆さんでどうぞ!実はうちの旦那、漁師と定食屋を兼業してまして…。ウチの店なら割引できるので…!」


グレイ「…銃の手入れのついでだ…。どうしてもっていうなら一緒に…その…食いにいってやる。」


トウキ「素直じゃないよなぁ…それに、ここにもいたよ…商売上手が。」


シン「よし決定〜!旅は道連れ、世は情け!旦那の店に殴り込むぞ〜!」


シンは2人の肩を組み、足並みを揃えて受付嬢の旦那が営んでいるという店に向かった


受付嬢「仲良し3人組って感じね…灰色のコートを着たグレイ君…だっけ?ちょっと若い頃の旦那に似てたかもっ。さて!仕事仕事っと!」


受付嬢に導かれやってきた店…頬張り食堂。

店内は朝方だというのに賑わっていた


客A「おいおい!旦那ァ!今日も大漁だったみてぇじゃねぇか!」


店主「おうよ!最近、近海の海におかしなくらい魚が集まっててなぁ!

網を投げれば一網打尽、糸を垂らせば入れ食い一本釣りってね!

とにかく漁れる漁れる!いやあ、捌ききれなくてもったいねぇから!じゃんじゃん食うなり買うなりしてってくれ!」


トウキ「…すごい盛り上がりっぷりだね」


シン「そうだね〜。いやあ、清々しい海風に漁師町の活気…美味い魚…完璧だねぇ〜」


トウキ「ハハハ…ちょっと元気すぎる気もするけどね…。なぁグレイ、さっきから静かだけど、大丈…ぶっ?!?」


口に含んだご飯を吹き出した先には一心不乱に食べ尽くしているグレイの姿があった

先程までの冷たくあしらったような態度とは一変、何かに取り憑かれたかのようにご飯を口へ運んでいた…


トウキ「じ、銃の手入れは…?」


シン「それどころじゃないみたいね…」


・

・

・


店主「まいどありぃ!」


食事を済ませた一行は船に乗って出港の時間を待っていた


シン「それにしてもさっきの漁獲量…正直言って大漁すぎた気がしないか?いくら店が大きくないとはいえ、厨房からはみ出るくらい魚が積み上げられてたぞ…?」


トウキ「そうなの?でもさっき旦那さん、最近妙に魚が集まってるって言ってたね…」


グレイ「“最近”って所が妙に気になるところだが…うう…お腹痛い…」


シン「食べ過ぎだよグレイ…まぁ、アンタに人間らしい面があるのを知れてちょっと安心したよ。」


グレイ「う、うるさい!食える時に食っておかなくちゃいざって時に力が出なくなっちまうだろうが…」


アナウンス「皆さま、大変お待たせいたしました。当船はまもなく出港します。穏やかな海の旅をぜひお楽しみください…」


アナウンスと共に煙突から黒い煙が立ち上がり、船は動き出した

甲板から眺める景色はトウキにとっては新鮮な光景である。海の青さ、風、波の音…海の大きさを初めて知ったのであった


トウキ「なぁ、シン?」


シン「どうした?」


トウキ「海って…いや、世界って広いんだなぁ…」


シン「ああ…。でもこれからさ!」


そんな話をしながら景色を見続ける2人を乗せた船はゆっくりと進んでいく…

その様子を海底から見つめている1つの巨影があった。

そして水面に泡が浮かべながら徐々に近づいていくのであった…


乗客A「おい!アレは何だ!?」


乗客B「デカイぞ!?こっちにくる!!」


近づく巨影に気づいた他の乗客達が慌てふためく。

その様子をみてシンとトウキ達は甲板から水面を覗いた


トウキ「あ…あれは…?!」


シン「巨大な…イカ?!」


水面から姿を現した巨大なイカは甲板に乗り上げ、長く伸びている2本の触腕を船に絡ませて行手を阻む。

そして煙状のスミを吐き散らして視界を奪い始めた


乗客B「ま、前が見えない…ってう、うわあああ!」


さらに伸びた残りの腕にある無数の吸盤から小さな触手を出して乗客を絡め取り始めた


乗客C「きゃああああ!」


暗く包まれた周囲には悲鳴とパニックになった人達の叫び声が響き渡る


トウキ「シン、まずいよ!このままじゃ…」


シン「ヤロー…俺たちをエサにするつもりだ…皆さん落ち着いて!!とにかく船内へ!扉の近くにいる人は声を出して場所を教えてやってくれ!グレイ、あの触手を射抜けるか?!」


グレイ「ううう…すまん…上手く狙いが定まらん……それに船酔いで…気持ち悪い…うぇぇぇ…」


シン「…トウキ、どうやら今は2人でどうにかするしかないようだ」


トウキ「みたいだね…よし、修行の成果を見せてやる!まずは斬鮫で船にくっついた腕を切り落とす!はあぁぁぁっ…いけっ斬鮫!」


シン「待て!早まるな!今はまだ斬鮫を動かすな!」


マナを注ぎ込まれ、水を得た魚のように斬鮫は宙を泳ぐように動く…が、


斬鮫「ま、前がよく見えん!!」


視界の悪い中では、斬鮫にとっても不利な状況であった

そして得物を手放し、文字通り手ぶらになってしまったトウキ目掛けて触手が迫る


トウキ「し、しまった!うわああ!」


そして抵抗する間もなく、トウキは触手に捕まってしまう


シン「トウキ!!くそ…やらせるもんか!」


シンは宙へ連れ去られそうになるトウキの手を反射的に掴み、雷のマナを注いだ石の剣で触手を即座に斬り落とした


トウキ「あ、ありがとう…助かった…!?シン、後ろ!」


シン「ん?後ろ…!?うわっ…」


助けたのも束の間、今度は逆にシンが触手に絡め取られてしまう

次は抵抗されまいと幾つもの触手はシンの腕や足、そして華奢な体を這うように蠢き、感覚をじっくり愉しむように締め上げながら徐々に宙へと上げていく


シン「うっ…ううう…」


トウキ「シン!!斬鮫!頼む!シンを…!」


斬鮫「すまねぇ…トウキ…ウネウネが絡まって上手く動けねぇ…」


斬鮫もまた触手に自由を奪われていた


トウキ「くそ…ここで終わりなのか…?皆、ここで死ぬのか…?

旅を始めたばかりだっていうのに…?先生に…フィリアにまた会うって約束したのに…。クソっ…チクショォォォ!」


力を失い膝をついたトウキにも再び無数の触手が迫っていたその時、


「諦めるな!」


背中から聞こえた言葉と共に一筋の赤い光弾が物凄い速度で横切っていった。

暗闇を照らす一筋の光のように辺りに立ち込めるスミの煙をも吹き飛ばしながら進んでいったその弾は、シンを捕らえている触手の奥に佇む巨大なイカの目元へ見事に命中した


グレイ「項垂れるヒマがあるなら少しは足掻いてみせろ!

お前の力はあの剣1本じゃないはずだ!」


トウキ「グレイ…ああ!足掻いてやる…今の僕が持つ…僕自身の力で!」


グレイの一喝で我を取り戻したトウキは、迫る触手を水属性のマナを纏った腕で弾き返しながら斬鮫の元へ向かう。

斬鮫に絡み付いた触手を力いっぱい引っ張って引き千切り、再び柄を握るのであった


シン「わたしよりも先に他の人を!」


グレイ「周りが見えればこっちのもんだ!トウキ、サポートは任せろ!お前の力で皆を助けるんだ!!」


トウキ「ああ…分かった!水刃斬(すいじんざん)!」


斬鮫に纏わせた水のマナで構成された斬撃を飛ばして、乗客達の触手を断ち切っていく。巨大イカは捕縛を諦めたのか触腕でトウキを叩き潰そうとするが


グレイ「次は外さん!…くっ…連続だとさすがに銃がいつも以上に熱い…。

だが、いける!射抜け!赤熱弾光(せきねつだんこう)・レーザーバレット!」


グレイが放った赤い光弾は眼を射抜いた

絶叫にも近いうめき声を上げながら巨大イカはバランスを崩し、乗り上げた船から離れ海へ潜ろうとする


シン「2人のおかげで拘束してた触手も緩くなった…よし、今なら…くっ!?」


ダメージを受け、拘束が弱まった隙に触手を自力で振り解いていくシン。

だが、足首に巻きついた触手だけが絡みつき離れなかった


トウキ「嘘だろ…シン…シーーーーン!!」


シンもろとも巨大イカは海の中へ消えていってしまった…

と思われた次の瞬間、海面貫く程の雷の柱が立つ


シン「っはッ!…間一髪だった…」


トウキ「シン!よかった…これに捕まって!!」


トウキはブイを投げ、海から引き揚げるのであった


グレイ「無事だったようだな…それにしてもあのマナの放出量…。ただのマナリスってワケではなさそうだが…」


トウキ「確かに!初めて僕の村で屍異奴と戦った時以上だったよ!」


シン「ああ…。すまない…少し…休ませてくれ…」


トウキ「シン?!」


グレイ「大丈夫だ。マナを出しすぎて疲弊はしているが、眠ったようだ。部屋まで運んでやろう。」


トウキ「わ、分かった…」


巨大イカの撃退に成功したが、ダメージを受けた船は一度港へ戻るのであった…

お読み頂きありがとうございました。


もしも

・面白い

・続きが気になる

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皆さんに見て頂けること自体が嬉しいことですし、これからも貴重なお時間を共に過ごせるよう頑張って書いていければと思いますので応援よろしくお願いします_(:3 」∠)_

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