にいちゃんVSお兄ちゃん
ガルガは被っていたフードを脱ぐとフィリアと同じ耳が露わになる
トウキ「フィリア…よかった!生きてたんだよ!家族が!!」
フィリア「で、でも…にいちゃんはあの時…」
ガルガ「ああ、そうさ。突然やって来た人間たちに住処は荒らされ、俺たちは捕まり、首の脈を切られた。
地に伏し、死の淵を彷徨っていた時、声が聞こえた!『生きたいと強く願えば救われる。そして生きるために望みを託せ。共に望みを叶えよう』ってな!」
フィリア「でもこの臭いは…にいちゃんなのに、にいちゃんじゃない…」
ガルガ「俺は俺だよ。さあ、フィリア、一緒に行こう。みんなも無事だったんだ。また一緒に暮らそう…」
にじり寄るガルガを前にフィリアはトウキの袖を掴んでささやいた
フィリア「しぃー…ど…」
トウキ「なんだって?!くっ…なんでこんな時に…」
ガルガ「さあ行こう。もう一度みんなの住処を作るんだ」
フィリアは考え込むように俯く
ガルガ「さぁ、行こう」
フィリアの手を掴もうとするガルガの手をトウキは咄嗟に払った
ガルガ「…何だい?せっかくの家族再会の邪魔をしないでくれるかなァ?!」
払われた手でガルガはトウキを殴る
亜人である獣人の力は凄まじくトウキは吹き飛ばされ、墓標に当たると倒れて動かなくなってしまう
フィリア「お兄ちゃ…ん?!」
トウキの元へ向かおうとするフィリアの腕を掴み頬を平手打ちをする
フィリア「にいちゃんはこっちだよ…どこを見てんだァ?」
頬を叩かれた時、フィリアの記憶が蘇る
連れてこられ無理矢理働かされている時、失敗をすると毎回叩かれた。何度も何度も…。頬が腫れ、口内が切れ、血を出してもずっと…
フィリア「いや…痛い!痛い!痛い!」
ガルガ「…?!?!…ごめん!ごめんよォ!いい子にしてたらもう叩かないから!ごめんよォ!」
ガルガはフィリアを抱きしめ頭を撫でる
忘れかけてた記憶、兄の温もりと頭を包み込むように撫でるおおきな手…
多少臭いは違えど、自分を包むそれはかつての兄のものであった…
ガルガ「さァ…行こう」
フィリア「でも私、まだ…」
ガルガ「行こう」
ガルガは威圧的に目を見開き、力いっぱい腕を引っ張りフィリアを連れて行こうとする
が、次の瞬間、ガルガの後頭部に向かって水が一直線に飛んできた
ガルガ「グルルルルゥ…冷てェ…なァ…。なァ!?まだ生きてたァ…のかァ?!」
トウキ「…あいにく、体だけは妙に丈夫でね…。それに、覚えたてのマナリス…ウォルターも成功したみたいだ…!
せっかくの家族再会に水を差して悪いけど…ちょっと無理矢理すぎないか?」
ガルガ「これは“俺たち家族”の問題だ。邪魔しないで欲しいなァ?!」
トウキ「彼女の意思をまだ聞いていないだろ!」
トウキは立ち上がり声を荒げる
トウキ「フィリアは勉強も覚えて立派に頑張ろうと前を向いている…!
それを叩いて無理矢理連れて行こうとするなんて…本当の兄妹のすることなもんか!
フィリア!君はどうしたいんだ?!屍異奴の…屍異奴になった兄と一緒にいきたいのか?!」
フィリア「わ…私は…フィリアは…」
ガルガ「黙れ。黙れ黙れ黙れ黙レ!!一族ノ繁栄のタめにメスのコイツは必要不可欠なんダよォ!」
おそらく人間に斬られた時のものであろう首の傷を伸びた爪で掻きむしる
そこから血ではなく黒いドロドロとした物体が溢れて流れる
トウキ「なんだと?!お前…それ…どういう意味だ…?」
ガルガ「メスノコイツハ、オレタチノ子ヲ孕ム大事ナ存在ダ…“俺タチ”ヲ増ヤシ、モウ一度繁栄ヲ…ソシテ、オマエタチ人間ニ…復讐ヲォォォ。…ウォォォン!!!」
本性を現したガルガは月に向かって遠吠えをする
すると同じようにフードを被った複数のオオカミ型獣人たちが集まってきた
その数約10体。
トウキ「?!こんなに…」
ガルガ「コンナニ?ダト?
オレタチ一族ハ、モットイタ。声ヲ聞キ、助カッタ同士ハ…タッタコレダケダ!殺セ!コノ男を血祭リニアゲ、コノ街ヲ奪ウ狼煙ヲアゲルノダ!」
獣人達「ウオォォォォ!」
言葉にならない咆哮を上げながらオオカミ達をはトウキに飛び掛かる
四方を囲まれ逃げ場のないトウキは防ごうと腕を前に出す
凄惨なリンチをくらうトウキ
殴る、蹴るを繰り返され倒れると
顔を踏みつける
フィリア「トウキお兄ちゃん!ねぇ!もうやめさせて!トウキお兄ちゃん何も悪いことしてないのに!!」
ガルガ「黙レ!…俺達はあレ以上に酷イことヲされたンダぞ?!ニンゲンは敵ダ!コレは俺タチの復讐なんダ!」
フィリア「でも…でも!…っ!!」
ガルガは言葉を遮りフィリアの頬をさらに平手打ちする
ガルガ「メスは黙っテ子を作レバいいンダよ。口答エ…するならもっと…」
フィリア「…嫌だ!行きたくないッ!」
ガルガの手が止まる
フィリア「私は…ここにいたい!もっと勉強して…先生になりたい!
それに…私は!トウキお兄ちゃん、シンお姉ちゃん、ウラヌス先生と一緒に…一緒にいたい!」
フィリアの思いの込もった叫びを聞き入れたかのように枷は外れる
その様子を見たガルガはさらに激昂した
ガルガ「…黙レ!黙レェェェ!」
握られた拳がフィリアに襲いかかる瞬間
ガルガ「グェっ?!?」
斬鮫が飛んできて体当たりをした
トウキ「…よく言った…よく頑張ったね…フィリア。」
フィリア「お兄ちゃん…?!」
戦闘訓練をしていたもう1人のトウキがその場に駆けつけていたのであった…
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