対決!斬鮫VS星の使者
星の文書庫…ウラヌスが管理する星達の記憶が文字となって書き記された本が果てしなく並ぶ巨大な書庫。
ここへ入るにはウラヌスからの許可を得た証として生成される鍵が必要なのである。
ウラヌスから鍵を受け取ったシンは夜空に向かってその鍵を掲げると、現れた鍵穴に挿入する
すると何もない空間に穴が開き、シンはその中に引き込まれていった…。
シン「さてさて…。星の鍵よ、我の欲する本の在処を指し示したまえ。」
鍵の持ち手を額に当てると持ち手に埋め込まれた碧い石が光り輝く。
そしてレーザーポインターのような一筋の光を放ちはじめる。
シンはその光の先へ向かって歩きはじめた
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トウキ「…先生、フィリアやシンはどこかへ向かったようですが、僕たちもどこへ行くのですか?」
ウラヌス「そう急かすでない。お主はまず剣との対話と同調をしやすくするために、こうやって年寄りがわざわざ準備をしておるんじゃよ…」
杖を使い地面に五芒星を描くウラヌス
ウラヌス「ほれ、ほれ、この陣の真ん中にお入り。では行くぞ…。包みたまえ…星陣!」
トウキ「星形の陣が周りを囲って…うわああああ!」
眩い光に包まれた次の瞬間、トウキとウラヌスは天球儀の中のように丸く、広い空間へと転移する
トウキ「う、うわっ、…地面が…足場がないっ…!」
ウラヌス「この場所はちょいと特殊な空間での。衝撃が外に漏れることは無いから好き勝手に暴れられるぞい。それに…ほれ、ほれ、こうやって自由にふわふわ浮かべるぞい。」
トウキ「ほ、ほんとだ…。まるで水の中みたいだ…おっとっと…。バランスを取るのはそんなに難しいはなか…それに不思議だ…息も普通にできるぞ…」
ウラヌス「ここでさっき伝えた“対話”と“同調”をしてもらうぞい。この空間であれば星達もお主達にも多少じゃが干渉することができるのじゃ。そして儂はその星達の“声”を聴き、サポートをすると言った寸法よ。」
トウキ「なるほど…分かりました…」
ウラヌス「では、では…こちらも練習相手を呼ぶとしようかの…限界突破!星詠…ペルセウス!」
陣の中で頭上に輝く星々が星座を描くように結ばれていくと一際輝いている星…最輝星からこちらに向かって一筋の光が降りてきた。
ペルセウス「…マスターウラヌス。お久しぶりでございます。ペルセウス、ただいま参りました。」
ウラヌス「久しいのペルよ。今回はそちらの少年の相手をお願いできるかな?」
ペルセウス「承知しました。…力の加減が如何致しましょう?」
ウラヌス「1。こちらから手出しは不要じゃ」
ペルセウス「1…?手出し不要と??うーむ…。手を抜くなど…、私に務まるでしょうか…。」
ウラヌス「平気じゃ。今まで手合わせをお願いしたどの者よりもこやつは非力じゃ。」
トウキ「そ、そんな…いくらなんでもそれは…」
ウラヌス「シンから聞いておるぞ。その剣で屍異奴を斬り損ねたとの。」
ペルセウス「まるでナマクラですな…」
トウキ「く…バカにして…今に見てろよ…」
トウキは斬鮫を力強く握った
トウキ「斬鮫…居るか?」
斬鮫「アホか。居るも何もコレは俺だ。気軽に触って話掛けんなニンゲンめ。」
トウキ「あ、そっか…。ってそれよりも力を貸してくれ。アイツをギャフンと言わせたい」
斬鮫「ケっ…まぁ気に食わんが、ナマクラ呼ばわりされたのは腹立たしいからなァ。」
トウキ「聞こえてたのか?!」
斬鮫「不本意だが、持ち主に触れていると感覚は共有されんだよ。まったく嫌だぜ…。とりあえず俺を構えな。血肉の臭いはしねぇが、ナマクラじゃねぇことをあの身に斬り刻み込んでやるぜ」
トウキ「よーし…じゃっ…行くぞ…
ってうわあ!?」
アラクネ戦の時のようにトウキの精神エネルギーであるマナを吸収し、勝手に斬鮫が動き始めてしまう。まるで水を得た魚のように宙を泳ぎながらペルセウスに突進していく斬鮫と、柄を握ったまま引っ張られていくトウキの姿を見てウラヌスは驚愕する
ウラヌス「(なるほどのぅ。拾いモノとはよく言ったモンじゃが、既に対話を果たしているのはシンから聞いた通りじゃな…。
もともと魂は宿っておっても、モノもヒトも互いを“認知”し、
ヒト側のモノを扱う“熟練”とモノ側が持ち主を認める“信頼”の先に“対話”
そして“研鑽”、最終的には“一体化”というのが定石なのに、
こやつらは“対話”に至るプロセスをすっぽかしておるなぁ。それにあの剣の異様なほどの拒否反応…。互いを“認知“して“対話“ができても、その過程が無ければ、出来ることも出来なくなってしまう。文字通り歯が立たなくなってしまうよのう…。じゃが不思議じゃ。
かの大戦時に人喰いの剣とまで言われたあの剣に宿る魂ならばもっと殺戮本能の塊のような恐ろしいモノになっていただろうに…何故ここまで落ち着いている…?それに別の何かがまだ剣の中に居るような気配もする…)」
トウキ「なんでだ!なんで勝手にいくんだ!」
斬鮫「っるせぇ!話しかけんな!ったくオマエ!何度も何度も…目障りなんだよ!!俺の中から出ていきやがれ!」
トウキ「中から出て行く?一体何を言っているんだ?!」
斬鮫「お前じゃない!オマエだ!オマエ!俺の中で俺を抑え込んでるオマエ…!チクショウ…チクショウ…チクショウ!もっと…もっと血を…肉を斬り刻ませろォォ!」
さらにマナを吸い上げ、剣先がサメのアゴのように開く。マナをほとんど奪われたトウキは力尽き、手を離してしまう
ウラヌス「ほう…やはりの。大戦時に人を斬り続けた事で生まれた魂が求める殺戮衝動はホンモノじゃな。じゃが様子がおかしい。
…殺戮衝動を抑えるモノが剣の中にいるのか?1つのモノに魂が2つ宿るなど聞いたことがない…。じゃが、もしも…それが”後から入れられたモノ“なら…?」
斬鮫「喰わせろ…キサマを…斬らせろォォォ!」
ウラヌス「ペル!4じゃ!警戒せい!盾の使用も許可する!」
ペルセウス「承知!メデューサ…開眼!」
ペルセウスの左腕に絡み付いた無数のヘビが蠢き、隙間から見えた紫色の隻眼が光る
トウキ「…斬鮫の動きが…と、止まった?」
ペルセウス「ひ、ひとまず…止め…ました。マスター…今のうちに策を…」
ウラヌス「うん。うん。さすがじゃの。じゃが、相も変わらずメデューサの盾を使うとお主の動きも止まってしまうんじゃのぉ…」
ペルセウス「め、面目ない…です…が、かつては30秒が限界だったこの力も、マスターとの繋がりが深まったことで1分まで止められる…いえ、止まるようになりました…。」
ウラヌス「ほう。ほう。覚えておこう。ではその間に…。星詠…ヘラクレス!」
閃光と共に新たな星座の遣いを召喚する。
星詠…星座の持つ形をした使者を様々な形で使用することができる能力。
ジェミニのように星座の力を一時的に行使するものを以外にも、ウラヌスは星の“声"を聴くことで対話、調和を果たしている為、最大5つまで星々の使者を同時に召喚することが出来る。…ちなみに頭部には常に借りている力が乗っかっている為、厳密に言うと召喚できるのは4つだけである。
ヘラクレス「…んお?ここはー?ありゃ?親方!久しいなー!」
ウラヌス「…すまんが挨拶はまたの機会に…。それよりも今は…」
ヘラクレス「…ああ。“上”で見てたからだいたい分かってる。ここからは、ペルセウスのオジキに変わってこのヘラクレスが戦うぞいっ!」
ウラヌス「念のため装備も呼ぼう。星詠!タウラス!スキュータム!」
おうし座とたて座を描いた頭上の星から牛の頭部を模した槌と巨大な盾が落とされ、ヘラクレスはそれを受け取った
ヘラクレス「重ね星!タウラスハンマー&スキュータムの大盾!!んー!懐かしい星合わせだー!ここまでするなんて相当ヤバいのなー!」
ウラヌス「今のヤツは持ち主のマナを吸って暴走して何をしでかすか分からん!ペル!一度下がるんじゃ!」
ペルセウス「ぎょ…御意!」
ペルセウスがウラヌスの後ろに下がった瞬間、メデューサによる束縛も解けて斬鮫は再び暴れだす
ヘラクレス「んーっしょっと!タウラスゥゥゥ…ドーン!」
地がない空間であるが、タウラスハンマーを足元に叩きつけると衝撃波が斬鮫に向かっていく。そしてそれは見事に直撃した
斬鮫「ガッ?!…んなもん…効くかァァァァ!」
衝撃波を受けても怯まない斬鮫はヘラクレスに向かって突進するが、スキュータムの大盾が斬鮫を跳ね返す
ヘラクレス「からのー…スキュータムゥゥゥ…ドーン!」
そして掛け声と共に盾を構えたまま斬鮫に突進…シールドチャージで追い討ちをかける
ヘラクレス「オジキ!さっきの眼は使えるー?」
ペルセウス「すまない…長く使えるようになった分、メデューサの眼が乾いてしまって…まだ発動できん!」
ウラヌス「うーむ…次からは街でよく効く目薬を用意しようかの」
ペルセウス「マスター…揶揄うのはよしてください!その分は私が動きますッ!」
右手に持った剣で斬鮫にダメージを与え、斬鮫の柄を握り動きを止める
ペルセウス「トウキ殿!今のうちに!」
トウキ「ありがとうございます!うおおおお!」
ウラヌス「トウキ?!」
トウキは斬鮫のアゴのように開いている剣先にわざわざ腕を咥えさせた
トウキ「く…」
すかさず斬鮫はその腕に噛み付いた
トウキ「ど、どうだ?!お前の…欲しがってた血だぞ!」
斬鮫「?!」
トウキの血を口にした一瞬、斬鮫とトウキの意識が繋がった
斬鮫「またお前かよ…お前の血、前にも一度喰ったけど…変な味なんだよな。なんていうか…今まで喰ったことがない味だ。」
トウキ「それで大人しくなってくれるならいくらでも喰わせてやるよ…だからひとまず落ち着いてくれ。」
斬鮫「…次は腕ごと喰っちまうかもしれないぜ?」
トウキ「どうだろうね。こう見えて僕、体だけは妙に丈夫だからなぁ…」
斬鮫「…言うじゃねぇか」
トウキ「なぁ、話を聞かせてくれないか?どうしてそこまで拒むんだ?人間を。」
斬鮫「はぁ…興醒めしちまったし、いいだろう。ちとだけ話してやろう…」
ペルセウスは大人しくなった斬鮫の柄を離す。ヘラクレスは盾を構え防御態勢を取り、その背後で星々を通してウラヌスは様子を伺うのであった。
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