絶望に立つ者……
「……なんでてめーがここに!」
ギザナは、トラリス男を睨み吠える。
「…………」
トラリス男は、こちら側を蔑んだ目で見てただ姿勢のいい状態で立っていた。
「ギザナ、この方に完膚なきまで負けたそうじゃないか? 君の方が雑魚のクソゴミなんじゃないか?」
ケイツは、ギザナを挑発する。
「……くっ! 次は絶対ぶち殺す! 俺の棍性でな!」
ギザナは、鎖に繋がれた首輪を握りつぶす勢いで掴む。
「……そうですか、出来るといいですね……
私はいつでもお待ちしておりますよ? 生きてる限り」
トラリス男は、ギザナに近づいていき正面に立つ。
「……俺は今まで最強だったんだ……お前みたいな変な力に頼らず腕だけで勝ち進んできたんだ!」
ギザナは、トラリス男にひるむ事なく目を見て言う。
「……それは素晴らしい事です。
貴方は強い、でも力に溺れた……昔の私……」
トラリス男は、ギザナに手をかざす。
「……では儀式を受けてもらうのは……ギザナ君からだ……」
ケイツは、そう冷たく言い放つ。
「……あっ? 儀式……何をする気だ」
ギザナは、一歩下がろうとした時……
「 [ トラリス 職を拒む者に永滅の権利を行使する……無職
重ね
最底辺に堕ちる者に転職を……囚人 ] 」
トラリス男の声が響き、ギザナを中心として白い魔法陣が浮かび下から上にスキャンするかのように動くと消えた。
「……なっ?! か、体が重い……何しやがった!!」
ギザナは、トラリス男に殴りかかり
ガンッ!
トラリス男の顔にパンチを食らわした。
「……やれ……毎回殴られるのどうにかしてほしいよ……囚人」
トラリス男は、殴られ頬に拳がめり込んでいるに関わらず対して効いている様子がなかった。
「は?! なぜだ……なぜ全く……効いていない……」
ギザナは、上級拳破士の自分の力に絶対の自信があった……その拳は相手の骨を砕くほどに強いと、しかし、今トラリス男は傷もなく全く微動だにしなかった。
「……儀式を始めよう……ギザナ♪
雑魚と言っていた私達に……勝てない絶望を」
ケイツは、肩をグルグルと回し首をコキコキ鳴らしながら近づく。
そして、シビュターの男達もそれに追従する形でギザナに近づいていく。
「……私はやめておきましょう……こう言う事は、あまり好きではないので……」
トラリス男は、ギザナ以外の人に同じように魔法を唱えていく。
「……力が……出ない……」
「や、やめろー!!」
「ボス! 来るなー!!」
闘花群は、逃げたくても鎖の効果なのかその場から動くことが出来ず魔法陣が次々と展開されて行った。
「おめーら!! クソ!! 俺1人でもやってやる!!
<| 破浪旋脚 |> 」
ギザナは、地面に右手を置き低い姿勢で自分の戦闘スタイルを取る
「……なっ!? なぜだ! スキルが……」
スキルが発動しなかった。
「……やれ! 知らしめてやれ己の罪を!」
「「「「おう!」」」」
ケイツが号令を出すと、一斉に飛びかかるシビュター達。
「……くっ! スキルが無くたって……なんだ! なぜこんな俺は遅 ガハッ! グッ!!」
ギザナは、回避行動を取ろうとするが体が思い通りに動かず、普段なら避けれる攻撃も避けることが出来なかった。
「……オラ! どうした?! 雑魚が襲ってるだけだぞ? 避けろ避けろ♪」
「シビュターの中で俺は中の下だぞ! 遊んでんのか♪」
「……この時がやっぱ一番楽しいぜ! 早くお前の泣く姿が見たいぜ♪」
シビュター達は、皆楽しそうに、ギザナを適当に殴ったり蹴ったりして遊んでいるようだった。
「……うっ! クソッ! クソッ!クソーー!!」
ギザナは、反撃を食らわすも、避けられ当たったとしてもそれは相手にとって全くダメージにならない……そうただのリンチにしか見えない状態だった。
「……A級ギザナ……そいつらはC級とB級だ……お前なら瞬殺できるほどの実力だろう……だが今どうだ? そいつらに遊ばれてるのはどう言う気持ちなんだ? 聞かせてくれよ♪」
「…俺は、ギザ ガッ! 俺様は グフッ! こんなとこで負 ゲッ!」
ギザナはとうとう地面に這いつくばる。
「……そろそろ死ぬな……回復瓶を持ってこい……」
ケイツは、シビュター1にそう指示を出す。
「…………」
……惨すぎる……あの強いギザナが……B級冒険者一撃の……あの人はきっと……
「……種明かしと行こう……ギザナ……お前は今ここにいる誰よりも、弱い……お前のステータスはレベル1、それも職業の中で一番最弱の囚人となった。
ステータスは全て初期値……1000だ!」
「……くそがぁ……」
ギザナは、息も絶え絶えでその目は何もかもを諦めたるような目をしていた。
「……え? じゃあ俺もそうなのか?」
「そんな事って……ありかよ……」
「ポ、ポク……も、もですか?」
闘花群は皆絶望したように膝をついたり手をつき嘆き涙を流した。
「…………」
……あれ……俺999……だよね?
もしかして俺が弱かったのって……
「……なるほど……だから勝てないわけだ、ロッパーに」
ケイゴはただ1人、絶望せず納得のいく表情でポンっと手を打ち合わせた。
「……だって俺だぜ?」
ケイゴにとって皆が抱く絶望は……全く現状の変わらないものだった……
ここに来てケイゴが……かっこよく見えたのは私だけでしょうか……そして初めて気付く己の弱さの秘密……呆気なかった……
囚人ケイゴいや、618番はまだ始まったばかりだ!




