あの人の為……
「えっ? な、何……」
ルン先輩は、上裸の土下座の体制で頭を地面に突っ込む最低のオークと本をペラペラめくりながらギザナを見る、トラリスにいる人を見て状況がよく分からなくなっていた。
「……ルンさんこれを着てください」
トラリスの男は、ポーチから出した男性用の服とズボンを渡す。
「あ、ありがとうございます……」
ルン先輩は、それをまたケイゴの時のように、訳もわからず受け取った。
「今、助け出してあげますから……待っていてください」
トラリスの男は、優しく言うとギザナに顔を戻した。
「…………」
(……私……助かるの?……またこの地面に埋まってる奴の様に……)
ルン先輩は、疑心暗鬼になっていた。
「誰だって聞いたんだ俺は、知らねー顔だ」
ギザナは、相手の力量を見ようとしていた。
「……君たちに名乗る名はないよ、でも悲しいなぁ……これでも、強いんだよ? 私は」
パタッ
トラリス男は、少し残念そうに言い本を閉じる。
「……はっ! 俺はこのライトセルで唯一のA級だ、戦闘の花嫁が居ない今、この町で一番強いのは俺以外いねー……意味わかるな?」
ギザナは、ニヤける。
「そうだね、職業、上級拳破士突っ棍のギザナ、A級……まぁ私の敵では無いよ……」
トラリスの男はそうつまらなそうに言った。
「ああっ?! 敵じゃないだと!」
ギザナは、顔を赤くして言う。
「私は、職業トラリス……と言うか多数と言えばいいのかな? 君はA級の先と言うのを見たのなら分かるだろ?
MTL級冒険者達はどう言うものかを……」
トラリス男は胸に本をしまい棍を取り出した……ギザナの棍に近い形と材質だった。
「……お、お前まさか……MTL級冒険者なのか……」
ギザナは、驚愕の顔をした。
「だから、君達に名乗るなはないと言っただろ? 私は、転職を君達に進めに来たんだよ……私が、久しぶりに外に出ている間にこんな事になっているとは本当ついてないよ……」
トラリスは、ギザナと同じ構えをする。
「……っ?! お、おまぇえーー!! 戦闘の花嫁の様な事しやがってーー!!」
ギザナは、血管切れたな、と言うくらい顔を怒らせかき消えた。
「<| 棍 弐 置 牙 |>!!」
ギザナは、トラリス男に接近し打ち込んだ。
「……がぁはっ……」
トラリス男は、その突きをもろに受けた。
「「「「「「………」」」」」」
(……あれ……弱いの?……)
ギルドは、困惑に包まれた。
「はっ! なんだ? 雑魚かよ、強者感出すからつえーのかと思ったが……やはり俺よりつよ 「なるほどね……つく瞬間に二発突きを入れて吹っ飛ぶ力を二発目に引き寄せる力に変え内部を破壊している訳だ……」…な……」
ギザナは、トラリス男を見る。
「……さぁ君の力を見せてくれ……知りたいんだ……君の職業を……」
トラリス男は、まるで戦闘の花嫁が見せる怖い笑みでギザナを見ていた。
「……くそっ! アイツみたいな顔しやがって!」
ギザナは、あの時の戦いを思い出していた。
「……ギザナさんのあの技食らってピンピンしてやがるぞアイツ……」
「何もんだよあいつは……」
「……トラリスにいた奴じゃないか? いつもニヘラとしてた奴……」
闘花群は、少し焦りを感じていた。
「…………」
(……あの人あんな風に笑う人だったんだ……それに……)
今、助け出してあげますから……待っていてください
ドクンッ……
「……っ?! 私……」
ルン先輩は、初めての感情を体感した。
「……私はね、あまり目立ちたくないたちでして、ずっと静かに暮らしていたかったんですよ……あの人の側で……なのに、魔王が現れ、あの人は遠くに行ってしまった……それに今、こんなイラつくことは久しぶりですよ、彼女の守るこのギルドを……ルンさんを傷つけた貴方達は、この私が、彼女に変わって知らしめてやりましょう……MTL級の強さを……」
トラリスの男は、怖い笑みのまま、怒りを全身から放っていた。
「「「「「「………」」」」」」
(……MTL級って今名乗った……)
冒険者達は、皆彼の言葉に期待が高まる。
「チッ! 舐めるなー!!」
ギザナは、トラリス男に接近し突く。
「……さぁ! 転職は早めにする事をお勧めします!」
トラリス男は、心臓を狙った突きを避け、ギザナの心臓を突く。
「当たるかそんなもん! ォラー!! 」
2人は、棍で突き合い、ギリギリを避けていく。
「すげー……」
「サイロ……あれが貴方の目指すとこよ……」
「僕……行けるのかな……あそこまで……」
「いけるさ! 君は一番にギザナに飛びかかっていったじゃねーか……カッコよかったぜ?」
「……そうよ……あそこに埋まってるクズなんかより全然マシだわ」
冒険者達は、2人の戦いを見て、自分達の弱さを知り、先は長く険しいと実感した。
2人の戦いの中心には、地面に頭が埋まっている上裸の男がいてお尻に白いフワフワが張り付いていた。
「………」
受付嬢ちゃんは、2人の戦いを見てはいない……ある男の姿をジッと見つめ、そして自分の机にある授業の日程表を見ると……目を閉じた。
(……どうして……そんな人じゃないと思ってたのに……)
目から涙が垂れる。
「…………」
ノエちゃんは、ブレイクがいる場所を見つめていた……
見つめる先にブレイクはいなかったが……
(……ブレイクさんがいない……どこに行っちゃったっすか……)
「……ボスが、か、勝つにき、決まってるですよ!」
後ろにいるデメリがそう言っていた。
上着とズボンを着たルン先輩は、2人の戦いを見ていた。
「……凄い……」
(……ギザナは雑魚じゃない……実力はあるけど、その性格の悪さから一部の後輩達に緑のノートに名を書かれ、ギルマスが成敗してくれた……それと互角にやり合える人だったのね……ずっとニコニコしてトラリスにいるから近寄りがたかったけど……私を助けようと戦ってくれてる……おこがましいかな私……でも、そう思いたい……私、勇者様に憧れてたの昔からずっと……お母さんに読んでもらって、今もたまに読み返してる勇者語り……この人は、私の……)
ルン先輩は、突き合うトラリス男に自分の思い描く勇者像を反映した。
「……なかなかやるな、だが!」
ギザナは、ケイゴの背を蹴り高く飛ぶ。
「 <| 棍翔三戦 |>!」
棍をトラリス男に向け三回の突きを行う。
「……なっ! くっ! 重い」
その突きは、三回中一回、突きが右太ももに入ってしまう。
「MTL級もそんなもんなのか?! 棍の使い方も全然なってねーな!」
ギザナは、更に攻めていく。
「やはり、あの人の様には行かないか」
トラリス男は、一旦飛び引いて、右太ももを抑えていた。
「……はっ! やはり俺は、つえー! 自称MTL級さんよ〜どうした? つまんないぞ?」
ギザナは、上機嫌だ。
「……そうですね……私は、MTL級といっても最弱ですからね……はぁ……」
トラリス男は、溜息を吐きながら言う。
「最弱だと?」
「ええ……私は、憧れた、最強と言う物に……でも、それは無理なんだと知らしめられたんですよ……貴方の様に」
トラリス男は、抑えていた手で胸から本を取り出した。
「…………」
ギザナは、無表情になると耳を傾けた。
「戦闘の花嫁は……私の初恋の人……そしてそう名付けたのは私です……
……自分の力に溺れて腐っていた私を、正気に戻してくれた……」
トラリス男は、悲しげな笑みをした。
「………っ?!」
ルン先輩は、トラリス男からもらった服の胸元を両手で強く握った。
「……だから、彼女の守るこのギルドを本気で守らせてもらう!
トラリスとして生まれ、トラリスに終わるこの人生に異議を唱える!!
<| 職転換 |> 魔戦士……ここからが僕の本気ですよ……転職は慎重にした方がいい」
トラリス男は、さっきとは違い、身体に魔力を帯び、明らかに筋肉が増していた。
「……今まで本気じゃなかっただと……クソが! あのクソ女も!テメーも! 俺様を舐めやがって! 許さねー!! ぶっ殺してやる!!」
ギザナは、更に殺気を高めトラリス男に立ち向かっていった。
「「「「「「………」」」」」」
ギルドにいる皆んなは、2人の戦闘の結末を見守るしかなかった……一部を除いて……
「「「「「「………」」」」」」
(……かっこいい戦闘なのに……真ん中に上裸の男が顔埋めてるの……やっぱおかしい……)
冒険者達と受付嬢達も皆その一点に不快を感じていた。
ケイゴはどうなってしまうのか……
トラリス男って前の出演でもう終わるつもりだったのに……なんか主人公に劣らないかっこいい人みたいな枠になってる事件が起きている……ケイゴの事じゃないよ? 他の作品の主人公だよ?




