頃に頃に……
ケイゴが生死を彷徨っている頃、ある豪邸では……
「ルナお姉ちゃん、これってどうするの?」
「……それはね〜こうするのよ〜♪」
「わ〜♪ 星出来た!」
ここはマニュロ男爵の豪邸の一室、リルスィーちゃんとルナは、何やら作業をしていた。
「リルスィーちゃんは、直ぐに出来るようになるから、私も負けられないわね〜♪」
ルナは、ゆったりとした口調で楽しそうに言う。
「そんな事ないです、先生にもよく言われましたけど、分かりやすく教えてくれるので出来るんです」
リルスィーちゃんは、そう嬉しそうに言う。
「先生?」
「……はい、薬ソウネの選別の仕方を教えて頂いたんです……色々な事も……」
リルスィーちゃんは、少し落ち込むように見えてたが、直ぐにいつものように戻る。
「……それは凄いわね〜♪ さぁ! 仕上げに入りましょうね〜」
ルナは、ニコニコで言う。
「はい! ルナお姉ちゃん」
ルナとリルスィーちゃんが仕上げに入ろうとしているのは……クッキー作りで、リルスィーちゃんの少し形の悪い星と、ハートやダイヤなど様々な形があり、綺麗なのがルナのだった。
「よ〜し、後は焼けるまで待つだけね〜♪」
「うん♪」
リルスィーちゃんは、ワクワクしていた。
リルスィーちゃんは、マニュロに、この豪邸は、自由に行動していいと言われていたので、ルナお姉ちゃんにべったりと付き添っていた。
外に出ることは許されなかったが……
「……仕事……出来そうにないわね〜」
ルナは、オーブンの中をじっと見て動かないリルスィーちゃんを見ながらそう呟いた。
「ダメダメだよ〜ケイゴだめ〜!!」
「……す、すいません……」
「戻ってくるの早すぎ〜!! 私困るよ〜」
「……本当すいません……ごめんなさい……」
「照らすに照らせないよ〜私困るよ〜」
「ごめん……」
リルスィーちゃんがクッキーを焼いている頃ケイゴは……土下座させられていた。
「もう! フプン! 私フプンだよ? おこってるよ〜」
光の人は、俺の頭をグーでポンポン殴る……全然痛くない……
「……言い訳を言わせてください」
「ダメ〜〜! 聞きたくな〜い、ケイゴ直ぐネガティブだも〜ん、私聞きたくな〜い」
「……そこを何とか! お願いしますよ〜」
……言わせてくれ! あれはどうしようもないからさ! ね?! ね?!
「……フプンだよ」
光の人は、殴るのをやめる。
「起きた直後にもう死にかけてたみたいなんだ……死んじゃった……ごめん、君との約束守れなくて……」
ケイゴは、頭を下げた。
「…………」
光の人は、黙っていた。
「……誰も助けられなかった……でも、君のおかげだ……また生きたいと思えたのは……今まで生きる理由がなくて、適当に生きてきたけど、ありがとう……永光傍仁って言ってくれたの嬉しかった」
ケイゴは、笑う。
「……少しポジティブだけど〜だめ〜!!」
光の人は、俺をまた殴る……ではなく頭を撫でた。
「……えっ?」
撫でられている……
「ケイゴは、まだ死んでないよ〜ケイゴの事を一番そばで見守ってくれてる人が助けてくれたよ〜だからケイゴ……生きるんだよ〜
絶望は、生きてないと味わえない……そして……絶望に打ち勝つにも、生きて立ち向かうしかないよ〜ケイゴは、生きなきゃダメ〜ダメダメでダメダメなんだよ〜♪」
光の人は、嬉しそうに、力強く言い、撫でるのをやめた。
「そ、そんなにダメなの? 俺って……」
ケイゴは、名残惜しそうに頭を触る。
「うん♪ ダメなんだよ〜ダメダメ〜♪」
「そうか、分かった……ダメな俺を照らしてくれ! そして……また尚更ダメになった時は……ダメと言ってくれ♪」
「……やだ〜♪」
光の人は、光の粒子となり、消えていった。
「……お、おう……」
……そこはうん♪って言ってくれるもんじゃ……まっ♪
「……いくか!」
ケイゴは、目を閉じる。
「……これどう起きるの?」
ケイゴは、ポツンとその場に立っていた。
「……本当ダメダメだよ〜私困るよ〜」
「……ごめん……」
ケイゴは、謝った途端世界が変わり、覚醒した。
「……う、ううん……」
ケイゴは、起きる。
「俺……生きてるのか?」
ケイゴが手を地面に付けると……
ベチャッ!
「うおわ! げっ!! これ全部俺の血?」
ケイゴが手に少し生暖かい水に触れたと思いすぐさま起き上がると……ケイゴを中心として、血溜まりが広がっていた。
「…………」
……やば……何で生きてるん?
ケイゴは、立ち上がり血溜まりから出る。
「……腹……痛くない……ここは、シャワー室か……」
ケイゴは、自分のお腹をさすり、周りを確認した。
「……あ、盾……」
ケイゴが寝ていた頭の直ぐ近くに、盾師匠から頂いた盾が置いてあった。
「……何であるん? ……まっいっか……俺が吹っ飛んだ時一緒に飛んだんだろう……」
ケイゴは、ローブを脱ぐ。
「血で赤いローブになってるし……脱いで置こう……よし、タオルは頭に巻き……お守りさ、効力はないけどね……」
ケイゴは、花柄の可愛い手拭いをねじり巻き付けた。
「……盾師匠も力を貸してください……」
ケイゴは、盾を装備した。
「……絶望に打ち勝つには、ヒロインの応援が必要だろ?」
ケイゴは、シャワー室の一番右端の奥から出てくる。
「ここ……受付嬢ちゃんが使ってたとこ……」
……あなたを守ってみせる……
ケイゴは、シャワー室を出る……ズボンに手を突っ込みながら……
「……その手で盾を触らないで欲しいのだけど……」
盾師匠は、ジト目でケイゴを追う。
その手には……回復瓶の最高値、上級回復瓶の空瓶が握られていた……彼女がどういう思いでそれを使ったのかは、彼女しか知らない……
リルスィーちゃん元気でよかだー!!
ルナさん居てくれてよかだー!!
ケイゴのダメダメな所がダメだとダメダメ言う光の人……




