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影の勇者の再冒険 ~~Re-Tale of the Brave~~  作者: ヒマジン
第98章 演習編

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第4031話 雷の試練編 ――復旧作業――

 瞬の強化のため、雷の聖域へと訪れていたカイト。そんな彼らがたどり着いた雷の聖域で待ち受けていたのはカイトも見た事がないという、とある世界を模したらしい宇宙港と、再びとなる地球側の面々との合流であった。

 そうしてたどり着いた遠未来の宇宙港の一角にある低温エリアに足を踏み入れたカイト達だったが、そんな彼らを待ち受けていたのはエリア全体に広がる氷塊であった。というわけでひとまず凍結した低温エリアの調査を進める一同であったが、イヴよりこの異常が予備の動力炉の非常停止に引きずられる形で引き起こされた可能性が示唆。凍結したエリアの回復を目指して、予備の動力炉の再稼働を行う事にしていた。


「イヴ。動力室への扉は開きそうか?」

『なんとか、であります……凍結が進んでいるでありますが、動力炉の喪失に備えて全手動で開閉出来るようになってるのが功を奏してるであります。んっ!』


 バリバリバリ。イヴが動力室への扉を強い力で押すと、何かが砕けるような音と共に扉が開く。


『開いたであります……おぁああ……こりゃまた酷いであります』

「あららら……なにか蓋みたいなのが開いているが、こりゃあれか? 安全装置か?」

『そうであります。安全装置が稼働して、内部のオーバーヒートを防いだであります。とはいえ、この装置が働いた所を見るに、相当な過負荷が生じたものだと思うであります』

「直せるんだよな?」

『や、やってみるであります』


 カイトの問いかけに、イヴは少しだけ自信がなさそうだ。とはいえ、これは仕方がなかったかもしれないだろう。そもそも彼女自身には修理機能がなかったし、彼女が使っていたサポートドロイドにも修理機能はなかった。本来やる事を想定されていなかったのである。


「……一応聞いとくけど、多分お前動力炉の修理作業とかやったことないな?」

『……お恥ずかしながら』

「だろうとは思ってたから、特に気にせんで良い。サポートドロイドが修理は出来るんだな?」

『それは出来るであります。ただそれを上手く扱えるか、という点が問題ではありますが』

「それは頑張ってくれとしか言いようがないな」


 イヴの返答に、カイトはとりあえずの激励を送る以外に手はなかった。というわけで彼女が少しだけ気合を入れて修理作業に取り掛かる一方で、カイトは浮上して動力炉を改めて確認する。


『にぃー、危なくない?』

「まぁ、停止してるなら大丈夫だろ。核分裂炉でもないらしいし。それに宇宙服は放射線も遮断するしな。魔導炉……ではないな、これは」


 ソレイユの問いかけに対して、カイトは動力炉を観察しながら呟いた。これにイヴが頷いた。


『そうであります……これも小型の反応炉であります……むぅ。やっぱり診断結果、無茶苦茶良くないであります』

「どんな塩梅だ?」

『反応炉を外部の衝撃から防護するシールド発生装置がオーバーロードにより破損。安全域を超過して稼働した影響で専用の燃料棒も残りわずか……燃料棒、貯蔵庫から新しい物を持ってきた方が良さそうでありますなぁ』


 どうやら最後は燃料を補充している余裕もなかったようだ。後にイヴ曰く、オーバーロードによる非常停止が先に来なくても最長でも1時間後には燃料切れで完全に停止していただろう、というほどには燃料は残っていなかったらしい。というわけで彼女の報告に、カイトが問いかける。


「燃料貯蔵庫は?」

『そこの奥の扉がそうであります。もし燃料棒が残ってれば、小型のカプセルがあると思うであります。それを持ってきて欲しいであります……今HMDにデータを共有するであります』

「了解」


 動力炉の確認をするべく浮かんでいたカイトは、地面に着地してイヴの指し示す扉へと移動。そうして燃料貯蔵庫を確認するが、やはりこちらの扉も完全に凍結していたようだ。扉の前に立ったカイトは苦笑いで呟いた。


「こりゃ酷いな……んっ! 駄目か……ま、そりゃそうか」

『手伝った方が良い?』

「いや、良い……お兄様の技を見せてやろう」


 手持ち無沙汰だったらしい浬の問いかけに、カイトは少しだけ笑いながら右手を凍結した扉に当てる。そうして彼が少しだけ目を閉じて深呼吸。一瞬の静寂が訪れて、次の瞬間。彼がかっと目を見開いたと同時に、扉に付着していた氷が砕け散った。


「……ふっ!」

『なにそれ!?』

「気と全身の力の移動を利用した粉砕ってところか。流石に上のエリアほど凍結してたら無理だが、この程度の凍結なら砕ける」


 驚いた様子の浬の声に楽しげに笑いながら、カイトは今しがた自分がしたことを教える。浬にはただ手を押し当てただけにしか見えなかっただろうが、実際には全身の力を移動させていき、氷を粉砕したようだ。

 ちなみにだが。こんな芸当をしなくても普通に拳で破砕出来る。こんなことをやったのは単に妹に力をひけらかしたい、という自己満足であった。


『そんなアニメとか漫画みたいな芸当できるの?』

「出来るんです、お兄様は……ま、伊達に勇者は名乗ってない。この程度は出来んとな……それはそうと、お前らはこっちをこのまま頼む」


 ぱりぱりぱり、と残った僅かな氷が砕け散る音を聞きながら、カイトは燃料貯蔵庫への扉を押し開く。そうして同時に、イヴから送られてきていたデータを開封。燃料棒のデータを確認する。


「これか……えらく小さいな」

『大型の燃料棒は調整が難しいでありますからな。それは謂わばスターターとでも言うべきもので、再稼働時のエラーをチェックするための低出力を安定して出すためのものであります』

「なるほどな……燃料貯蔵庫も暗いな。照明が破損している様子はないが……」

『そこもシステムエラーを生じている様子であります……大丈夫とは思うでありますが、注意して欲しいであります』

「あいよ」


 イヴの言葉を聞きながら、カイトは宇宙服のヘルメット部分に内蔵されている投光器を起動させる。そうして暗闇の中に一筋の光が生じて、周囲を確認出来るようになる。だがそうして彼はすぐにため息を吐く事になる。


「あっちゃぁ……コンテナ開きっぱなしだよ。イヴ。一応聞きたいんだが、極低温環境下で放置された燃料棒って大丈夫か? 保護のスポンジみたいな物はあるが……」

『しょ、正直本官にもわからないであります……ただ一応やめておいた方が良いと思うであります。燃料棒を保護するカプセルは燃料の変質を防ぐ機能はあるでありますが……念のためであります』

「だよな……このコンテナは横に退けておくか」


 やはり出力が高ければ高いほど、燃料の消費は激しくなる。なので本来より遥かに高頻度で燃料を投入していただろう事が容易に想像出来たが、だからこそ撤退が決まった際も保管用のコンテナは開いたままになっていたのだろう。

 そして撤退が決まったというのにわざわざコンテナを閉じる余裕があったとも思えないのだから、仕方がなかったのかもしれない。というわけでカイトは開きっぱなしになっていたコンテナを持ち上げて、部屋の片隅に移動させる。


「よし……さて」


 とりあえず邪魔なコンテナを片付けて、カイトは改めて燃料貯蔵庫を確認する。貯蔵庫の広さとしては大体20メートル四方という所だろう。そしてそんな貯蔵庫には、サイズ違いのコンテナボックスが幾つか積まれていた。と、カイトはそんな中に一際小さなコンテナボックスを発見する。


「イヴ、貯蔵庫に2箱だけメンテナンス用と書かれた小型のコンテナボックスがある。これか?」

『多分それであります。メンテナンス後に再稼働をする場合に使っている燃料棒を使って稼働を開始。その後通常の燃料棒で安定供給、という塩梅であります』

「了解」


 先にイヴも言っているが、今回再稼働に使う燃料棒は低出力かつ少量だ。それで動力炉のエラー等をチェックし、問題ないとなった所で本来の燃料棒を投入。長期的かつ安定した出力を、となるのであった。というわけで一際小型かつ量も少ないだろうと考えたのだが、案の定だったようだ。そしてそんなコンテナを開いて中を確認すると、少し大きめの水筒程度の金属製の筒が収められていた。


「……えらく小さいな」

『あくまでスターターでありますからな。逆に量が多すぎても今度は本稼働への時間が長くなるだけなので、その程度で十分なのであります。本来の燃料棒ならカイト殿で一抱えするほどのサイズになるであります』

「それはそれで取り回しが悪いが……まぁ、良い。とりあえずこれを持って行く。本来の燃料棒は再稼働後に、で良いな?」

『それで良いであります。持ってきてうっかり壊してしまうと二度手間になるでありますし』


 とりあえずスターターの燃料棒を回収してしまうか。カイトは中に収められていた幾つかの燃料棒の一つを取り出して、コンテナを完全に閉じる。幸いコンテナはまだもう一つあったし、そちらは未開封の様子だったのでいくらか無駄に浪費しても大丈夫だろうが、この文明同様に途中でなにかがあって1ボックス丸ごと無駄にしたくはなかった。


「戻った……これをどこに突っ込めば良い?」

『前のこの位置にセットするであります』

「横の大型のカバーは本来の燃料棒をセットする部分か?」

『そうであります。なので間違えないように注意して欲しいであります……まぁ、間違えようもないとは思うでありますが』


 カイトの問いかけに、イヴは彼のヘッドマウントディスプレイに今度は動力炉のデータを共有。燃料棒のセッティング場所を指し示す。


「ここか……これ、燃料棒は中を取り出さなくても良いのか?」

『大丈夫であります。保護具ごとセットすると、後は自動で動力炉側がやるであります』

「わかった」


 ということはこの水筒をそのまま突っ込めば良いのか。カイトは動力炉に刻まれた刻印に従って上下を合わせて、燃料棒をセットする。そうして、この後もしばらくの間カイトはイヴの指示に従って動力炉の修理作業を行う事になるのだった。

 お読み頂きありがとうございました。

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