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影の勇者の再冒険 ~~Re-Tale of the Brave~~  作者: ヒマジン
第98章 演習編

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第4028話 雷の試練編 ――低温エリア――

 瞬の強化のため、雷の聖域へと訪れていたカイト。そんな彼らがたどり着いた雷の聖域で待ち受けていたのはカイトも見た事がないという、とある世界を模したらしい宇宙港と、再びとなる地球側の面々との合流であった。

 そうして数日の探索の後の小休止で行ったミーティングで各班の合流を目指すことになると、色々と探索を経て施設の外の輸送路を通って外側からの別エリアへの潜入を目指したカイトであったが、瞬達の側でゲートの開閉が出来ないどころかガレージ前まで到達が困難であると判明。別のルートとして隠された連絡路を介してなんとか合流に成功する。というわけで合流を果たしたカイト達はなんとか低温エリアへとたどり着いて、テレポーテーションルームを開通。翌日に宇宙服を着て、地下にある低温エリアへと足を踏み入れるべく、移動していた。


『……なんというか、今更なんだが』

「ん?」

『カイト。お前の宇宙服、えらくゴツいな。お前、そういうの嫌いだと思ってたんだが』

「こいつか」


 瞬の指摘に、カイトは楽しげに笑う。そんな彼の宇宙服だが、関節部以外は全体的に装甲板のようなもので覆われたものだった。それはいつもの彼とは違いかなりの重厚感があり、回避性能より防御性能に割り振った物のように思われた。


『確かお前、そういう重いのは嫌いじゃなかったか』

「嫌いは嫌いだ……だが必要性に応じて、という話でもある。実際、こいつは色々とやってはいるが決して重いわけじゃない」

『そうでありますな。実際、その宇宙服はアクチュエータやモーターの類は一切装着していない。単に上から装甲板を貼っつけただけの代物……おそらく瞬殿の宇宙服より総重量は軽いであります』

『そうなのか?』


 俺のより軽いのか。瞬は自分も回避主体だからこそ、かなり軽量の宇宙服を選んだつもりだった。だがそれ以上に軽量だと言われて目を見開く。


『で、あります。装甲板は単に宇宙空間での戦闘で生ずる飛来物を弾くためのもの。超高温、超低温環境から身体を保護するシールド展開装置の発振部を保護する装甲であります』

『なるほど……シールド展開装置を保護するだけもののか。だがそれでそこまで分厚くなるのか?』

『もちろんそれ以外にも様々な魔道具類を収納しているでありますが……各所のパーツはそれぞれバラバラ、でありますな。要は取捨選択であります。不要な機能を省いて、必要な機能と入れ替える。ただ乗せるではなく、というわけであります』

「そういうこと……ま、冒険者に必要なあれやこれやを手持ちに出来ない都合、防具に色々と入れておく必要があったってわけ」

『なるほどな……確かに言われてみればお前は割と色々な道具を持っているか』


 冒険者として活動した経歴が長ければ長いほど、色々な物を応用出来るようにはなるが、同時にどうしてもこれだけは必要という物が幾つか出てくる。そういった物をカイトは大抵持っているわけだが、宇宙空間で使えるか、そして宇宙服を介して使えるかは未知数だ。というわけで一部必要になりそうな物を宇宙服側に備え付けさせた結果、重厚感が出てしまったというわけなのだろう。


「そういうこと……その代わり、元々入っていたアクチュエータやらモーターの類は全撤去して軽量化。関節部の装甲板やらも撤去して、代わりに衝撃を全体に受け流す特殊な装甲材を……すまん。どうでも良いな」

『あはは……とはいえ、そうか。本当に色々な手があるな』

「そ……ま、ここらは見て知って学べ。何が最適解かはわからんし、何より先輩の場合はその内蔵型も手だ。装甲板というか内蔵の機器類が自らの雷で吹き飛ばされる可能性があった」

『あ、そうか……これは魔道具以外もあるのか』

「そういうことだ……よし」


 話している内に、低温エリアへとたどり着いたようだ。カイトがホログラフの前に立ち止まる。


「イミナ、先輩。二人とも開いた途端に、というパターンに備えろ。煌士、そっちの扉を」

『『了解』』

『はい』


 カイトの問いかけに、三人が一斉に動く。そうしてカイトと反対側のホログラフに煌士が手をかざし、瞬とイミナの二人が後ろに控える。更にその後ろにソレイユ達遠距離攻撃を担当する者が、という形だ。というわけで隊列が整った所で、カイトが一つ頷いた。


「……開け」

『っ』


 ピー、という電子音と共に軍と研究員の資格認証が完了。扉のランプが開いて、重厚な扉が開く。そうしてそれと共に冷気が一気に溢れ出して、通路を侵食する。それを見て、カイトは左腕に取り付けられたコンソールを操作して内部の温度を計測した。


「おっと……こりゃ宇宙服を着用しておいて正解だ。中は氷点下の極寒だ」

『あ、カイトさん。ウェアラブルデバイス、ありました?』

「あったぞ、普通に……あれ? なかったか?」

『見付けきれませんでした』


 カイトの返答に煌士が少しだけ恥ずかしげに笑う。とはいえ、そんな風に呑気には出来る程度には安全ではあったらしい。まぁ、氷点下の極寒状態らしい。その時点で内部の冷凍状態は保たれていると考えて良いだろう。


「後でカタログは送る。今度の休みの時にアップデートしちまえ」

『ありがとうございます』

「さて……」


 呑気に話しているのもこの程度で良いだろう。カイトは刀を浮かせて手を空けておく事にする。


「イヴ、お前低温環境下は問題なかったよな」

『でなければ本官こんな着の身着のままみたいなこと出来ないであります……まぁ、高温環境下はマズいので、その場合はバリアスーツを持ってこないと駄目でありま……ありま……』

「どした?」

『バリアスーツ、全く考えてなかったであります……』

「それは後で考えろ。今の所、高温エリアには行く予定はない」


 低温環境下に問題がない事は宇宙空間で問題がなかった時点で分かっていたが、高温環境はやはり別だったらしい。が、今は問題ないのでカイトは完全にスルーする事にしたようだ。というわけで一歩踏み入れると同時に、カイトの周辺に極寒を防ぐバリアに似たシールドが展開される。


「……よし。先に進もう」


 シールドが万全に動作している事を確認し、カイトは低温エリアへと一歩を踏み出す。そうして同様にエリアに入ったイヴへと問いかける。


「イヴ、周囲の敵影は?」

『今の所見当たらないであります……どうやら保存が働いている間は、ドロイド達もこのエリアでは攻撃行動を禁じられているであります』

「なるほど、当然か」


 冷凍保存状態になっている所に攻撃してしまい、温度を制御するシステムが誤作動を起こせばどうなるかわかったものではない。なのでそこらの判断も出来るように、軍の護衛を要しているということか。カイトはイヴの返答にそれが当然と判断。ひとまず攻撃が生ずる事はないと警戒を僅かに緩める。


「さて……それでとりあえず安全だと分かったわけだが。それはそれとして……こりゃひどい。そこかしこが凍結しちまってるな」

『どうにも温度制御プログラムが誤作動を起こしている様子でありますな』


 凍結エリアは地下に続いているということで階段が見えているわけだが、その階段まで続く通路はところどころに大きな氷塊が出来上がっていた。それはどうやらイヴ曰く温度を管理するプログラムのエラーらしく、エリア一帯が本来の設定温度より遥かに低く設定されているらしかった。


「誤作動か……実験体達は?」

『……この様子だと大半は死んでると思うであります。設定が安全域を大幅に下回ってるであります』

「そうか……ならここでの戦闘はない……と思いたいが」

『まー、そんな楽になるとは思わないでありますな』

「ですよね」


 イヴの返答に、カイトは楽しげに笑う。極所環境に優れた改造など別に誰でも考え付く程度の話だ。それこそかつての共和国連合であれば宇宙空間を生身で活動出来る改造も施したという。流石に冷凍保存状態は話が別になるだろうが、それでも生きている可能性は十分にあり得た。

 というわけでカイトが先陣を切る形で低温エリアを地下へと進んでいく。が、そうしてたどり着いた地下エリアでは、エリア全域が完全に氷漬けされた状況だった。


「……やれやれ……こりゃもうルートが見え透いてるな」

『とりあえず温度をなんとかしろ……だな、これは』

「だろうな。扉も各所が氷漬け……はぁ……こりゃもう嫌な予感ビンビンだ」


 苦笑いしながら口を開いた瞬に、カイトもまた同様の様子で笑う。地下に広がっていたのは謂わば保管庫や低温状態で行うのだろう実験体への解剖などの各種実験の様子だったが、酷いものでは通路全体が完全に氷漬けにされて通れないようになってしまっていた。


「とりあえず先輩の班、こっちの班で手分けしてエリアの探索を行おう。行ける範囲で、だが」

『それが一番か……連絡は取れるか』

「ああ……トラブル発生時はすぐに連絡を」


 瞬の返答に、カイトはヘルメットをトントンと叩いて通信機を指し示す。そうして、一度二つの班は再び分かれてエリアの探索を開始するのだった。

 お読み頂きありがとうございました。

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