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影の勇者の再冒険 ~~Re-Tale of the Brave~~  作者: ヒマジン
第98章 演習編

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第4027話 雷の試練編 ――研究エリア――

 瞬の強化のため、雷の聖域へと訪れていたカイト。そんな彼らがたどり着いた雷の聖域で待ち受けていたのはカイトも見た事がないという、とある世界を模したらしい宇宙港と、再びとなる地球側の面々との合流であった。

 そうして数日の探索の後の小休止で行ったミーティングで各班の合流を目指すことになると、色々と探索を経て施設の外の輸送路を通って外側からの別エリアへの潜入を目指したカイトであったが、瞬達の側でゲートの開閉が出来ないどころかガレージ前まで到達が困難であると判明。別のルートとして隠された連絡路を介してなんとか合流に成功する。

 というわけで瞬達と合流すると一同はひとまず研究エリアの地下にあるという低温エリアへと向かうために、一旦最寄りのテレポーテーションルームへのルート開通を目指して進んでいた。


「むぅ……やっぱり警備ドロイド共は本官を敵に認定しているでありますなぁ……」

「全部改変されてるんだから、そこは諦めろ」

「そうでありますけど……というか、今更ではありますが何故本官巻き込まれてしまってるんでありますかなぁ……」


 飛び交う無数の魔弾を浬が生み出した岩壁を用いて作った防壁の裏で隠れながら、カイトとイヴが軽い話を交わす。というわけで防壁の裏で呑気な会話を繰り広げていた二人に、瞬がため息を吐く。


「なんというか、お前ら慣れてるな……」

「慣れてるというか、こんなのいつものことであります。それこそデカい戦場だと塹壕に隠れて突撃とか普通にやるでありますし」

「結局、どれだけ高度に発展しても陸戦はさほど変わらないのか」


 宇宙船を何百何千と運用し、宇宙港まで建設出来ているのだ。にも関わらず、陸上での戦闘は現代戦と同じく至近距離に肉薄しての白兵戦がメインらしい。とはいえ、これは無理もなかったのだろう。


「そりゃそうなるであります。敵の攻撃が発展すればこちらの防御が発展し。こちらの攻撃が発展すればまた敵の防御は発展し、となるであります。そして距離で威力が減衰するのは変わらないであります。必然として、距離を詰めて戦わねばどうにもならんであります」

「大破壊で敵を殲滅、とかはならないのか」

「そんなの安易にやってしまえば味方も巻き添えであります。それに強大な攻撃は必然、大地も傷付けるであります。敵だけを殺す兵器は細菌兵器ぐらいなものであります……が、細菌兵器は連邦政府が指定する禁止兵器の一つであります。実際、十数年前にそれで星が一つ滅びかけた事があったらしいであります。禁止して正解でありますな」

「き、規模が……」


 イヴの言葉に瞬は頬を引き攣らせる。とはいえ、確かに星が半壊しかねたというのなら、禁止されるのも無理はなかっただろう。 


「そんなこたぁどうでも良いだろ……とりあえず二人とも、雑魚はこっちでなんとかする。イヴは向こうの指揮官型を。先輩は横の戦闘型を倒せ」

「了解であります」

「ああ」


 一番楽な相手を一番強いカイトが受け持つのは少し変な所ではあるが、今回の彼は主体的に動くつもりはない。そして後ろに浬らが居るため、それを守る事を優先とした結果だ。というわけで二人の反応を確認した所で、カイトが防壁を飛び越えて奥へと飛び込んだ。


「ほいよっと」


 防壁の先へと飛び込んだと同時に、カイトは一瞬だけ生ずる照準のズレを利用して小型の警備用ドロイド達へと切り込む。そうして一息に数体破壊すると、僅かに生ずる攻勢の低下を利用して瞬とイヴもまた飛び出した。


「ブースト! であります!」

「なにっ!?」


 着地と同時に飛び出した瞬が地面を蹴ると対照的に、数瞬だけ地面に停滞したイヴがヒール型のブースターユニットを展開。瞬を一瞬で追い抜いて、最奥にいる指揮官型へと肉薄する。

 と、そうして彼女が通り過ぎた事で左右で指揮官型を補佐する形を取って砲撃を行っていた戦闘型のドロイド達が、前のカイトと後ろのイヴのどちらへ攻撃を仕掛けるべきか、一瞬だけ逡巡する。

 それはわずか一瞬。他のドロイドと共に最適解を導き出すわずか1秒にも満たない時間だが、それでも瞬には十分過ぎた。


「ふっ!」


 一突きで一体。瞬が人型の戦闘ドロイドを軽く貫く。そして一体を貫いた事で、ドロイド達は再度次の最適解を導き出すべくわずか数瞬の思考に入る。が、そこに更に瞬が攻め込み、として呆気なく敵集団は壊滅するのだった。




 さて研究エリアを守るドロイド達を蹴散らして進んだ一同であるが、エリアそのものが切り替わったわけではないからか敵が一新ということはなく、瞬らが戦った情報がそのまま使えた。というわけで一同そこまで苦労することなく、低温エリアの近郊までたどり着いていた。そしてそこで、カイトが違和感に気がつく事になる。


「……これは」

「ここらからかなり冷気が漂い出したんだ。おそらくだが、どこかで温度管理装置が暴走しているんだと思う」

「なるほどな……こりゃ確かに警戒せにゃならんか」


 まだ水を垂らせば凍るほどの寒さではないが、周囲には冬の寒さにも近い寒さが漂っていた。というわけで冷気が強まる方向へ進んでいく一同だが、しばらく歩くとついに冷気により空気中の水分が凍り付き、床に白いモヤが漂い出す。


「イヴ、ここらの冷却システムはどうなってる?」

「異常であれば出まくりでありますが」

「だろうな……で、先輩。この先にテレポーテーションルームがあるんだな?」

「ああ……下へ続く階段の手前にテレポーテーションルームがある」


 カイトの問いかけに、瞬が一つ頷いた。なお、そういう事なのでここから先はテレポーテーションルームまで敵は出ないらしい。というわけで特に敵も出る事なく進むが、ある所でふと浬が立ち止まる。


「どうした?」

「さっきより……暖かくなってませんか?」

「ああ、それか……あっちから熱気が漂ってるんだ。あっちは高温エリアに繋がっている」


 浬の問いかけに、瞬は苦笑を滲ませながら自分達が進んでいた方角と別の方角を指さす。そんな彼の言葉に、カイトがイヴを見る。


「高温エリアも当然、ぶっ壊れてるであります……というか、あっち大丈夫と思えないんでありますが」

「俺達も無理だった。まぁ、そういった事からほぼ行き場がない状態になってしまった、というのがこの間だ」


 イヴの言葉に続けて、瞬が苦笑したまま首を振る。わかりやすい変化で高温や低温になっているわけだが、実際にはそれ以外にも各種の実験エリアがあるようで、そこの大半が部屋の手前あたりから破損してしまっていたらしい。なのでそもそも近付く事もほぼ難しい状況も多く、権限もありカイト達に協力を求めた、というのが瞬らの流れであった。

 というわけで道中熱くなったり寒くなったり、はたまた冷気を含んだ強風が吹き荒んだり、と様々な環境の余波を受けつつ進むことしばらく。瞬が一つの重厚な機械的な扉の前で立ち止まった。


「ここだ。ここが地下の低温エリアへ続く扉だ」

「これか……なるほど。確かに認証キーが二つ居る様子だな」


 瞬の言葉に、カイトは扉の横の表示を確認。そんな彼に、表示を確認していたイヴが告げた。


「……確かに入場には軍の護衛を要する旨が記載されているであります。これは瞬殿らだけでは絶対に無理みたいでありますな」

「なるほどな……分かった。で、こっちがテレポーテーションルームか?」

「そうだ」

「よし……じゃ、全員今日の探索はこれで終わり。明日からはこの低温エリアの調査だ」


 とりあえずこれで目的としていたテレポーテーションルームまでは到着。宇宙服を着た状態でここまで来る事が出来るようになった。というわけで、一同は今日の探索はこれで終わりにして、明日からの低温エリアの調査に備えてしっかり休む事にするのだった。

 お読み頂きありがとうございました。

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