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真説・公園の魔法使い  作者: 弐逸 玖
実法学院うつくしヶ丘高校 普通課一年B組
22/66

初めての下着選び

「かえって動きやすくなるんだね、何か楽になった気さえする。動かないように締め付けるだけなのかと思って居た。だから大きくないから必要無いと」



 怒濤の学校初日を終え、更には少し遠回りしてお買い物を済ませて、やっとの事で晩ご飯の片付けまでたどり着いた。

 なんて濃い一日なんだろう。

 ……全く。この子は今までどうやって生きてきたんだ? 常識が無いにも程がある。



「そうでしょ? キチンとサイズがあってれば、かえって楽になるんだってば。初めからそう言ったじゃない。――制服はハンガーに掛けた? あとブラウスは、これから洗っちゃうからお洗濯のかご、……うん、洗濯機に直接でいいや。入れておいてね?」


 お米をとぎながら答える。

 二人分って結構ボリュームあるなぁ。

 華ちゃんはやりたがったが、先ずは買い物袋の中身を全て開けるように言ってある。



 身の回りの物のお買い物。取りあえずは使う物だけ。

 とは言え、華ちゃんの場合は何ももってない。その上、下着が全滅で、総入れ替えが必要。

 なので、お買い物は思った以上に時間がかかった。

 七万円なんて大金を貰ったが、結構無くなった。

 あやめさん、金額までほぼ掴んでたな? 結構意地悪だなぁ。




「着る前にタグ切ってね? ファッションショーが終わったら、パンツとブラも着る前に一度洗っちゃうから一緒にかごに……、って、どうしたの? 聞いてる?」

「桜ほどでは無いにしろ、私のレベルでも邪魔にはなるのだなぁ、と思って……」

「私もそんなに大きくないでしょうに」


「……私は、桜ほど大きく無いし」

「実はそんなに変わんなかったじゃ無い。サイズの読み方、教えたでしょ? なに、それ? 私がデブだって言いたいわけ?」

 ――基本的に無駄なものが一切ついていない華ちゃんであるので、そう言われても一切の反論が出来ないけどね。


「も、もちろんそんな事は! ……昨日も言ったけれど、女の子らしくて桜がうらやましいと、そう思って、いる。だけ……、ぷっ……。あの、その。うふ、ふふ……」

 ……笑ってくれるように成ったのは良いけれど、前途は多難だ。



 ちなみに彼女がブラを嫌っていた理由は締め付けられて苦しそうに“見えた”から。

 普段から見ていたのがあやめさんやアイリスさんなら、まぁむべなるかな。

 ブラウスのボタンとか、はじけ飛びそうだもの、アイリスさん。


 華ちゃん用に買ったお弁当箱の、ビニールを外して洗いながら思う。

 あまりにも規格外のものを毎日見てるから、気が付かないうちにコンプレックスになっちゃったんだな。


 だから結局。ブラジャーというものの機能を理解したうえで、動きを規制されるのを嫌った彼女は、スポーツブラばかり3つ購入した。

 でも、それってかえって窮屈なんでは?


 私が言うのもなんだけれど。

 標準にちょっと足りないとは言え。あなたも決して小さいわけじゃないんだよ?



 そしてボロボロの半分すり切れたスリップ。

 個人的にそれは一応好きで着ていたらしく、どうしても。と私を押し切る形でキャミを2着買った。

 しかも、元から持っていた物も絶対捨てないと言いきった。

 華ちゃん初めての自己主張。


 そして今、家に帰って来てご飯を食べ終わり。

 タグを切って下着と、そしてパジャマの試着中。と言う次第。



「それにパンツはお尻が全部隠れないと落ち着かない、確かに桜もそうだけれど。本当にみんなこんなのをはいているの? 確かに他のタイプものはあの店にはあまり売っていなかったけれど」

 ――女子高生向けのランジェリーショップで、それが一押しだったらビックリするわ!


 ショーツの好みだって色々あるんだろうけど。

 何故超絶美少女が肌色で、しかも完全にお尻が隠れて、おへそまであるパンツを好むのか。

 下着に限らず、実用的なものを好む傾向のある彼女ではあるが、美少女女子高生が履いていて良いものでは無い。


「……あ、そう言えば、桜。後ろがヒモのようになっているヤツも売っていたけれど、アレはどうやってはくものなの? おしりに挟まったら邪魔なようにも思えるけれど。普通のパンツの上からはくのかしら? ちょっと私には意味がわからないけれど……」


 形は機能に従う。華ちゃんの哲学はそう。

 Tバックだって一応、意味はある。だから重ねて履いたりはしないんだよ。

 説明したら、理解してもらえるとは思うけど。

 果たして下着の線、と言う言葉に羞恥を感じるだろうか。この子。


 知らない内に購入して来ちゃうと困るから、説明はいずれしないといけないだろうな。


「……いろいろ言いたい事はあるけれど、取りあえず今は今日買ったヤツに慣れて頂戴。いろいろは、その後ね。――みんなの下着は見ようと思えば明日見られるから」


 って言うか、今まで履いてたヤツはどう言う経緯で手に入れたのか。それを聞きたいくらいなんだけど!

 いずれにしろローライズブリーフさえ嫌がった彼女を、ごく普通の、いわゆる一般的な“パンティ”に誘導するのがどれだけ大変だったことか……。



「普段見えないし、見せてくれとも言えないけれど、他の人の下着にはとても興味が湧いたわ。桜は明日。と言ったけれど、どうやったら見られるの?」

 あのぉ,華ちゃん? 

 盗撮で捕まった変態のおっさんみたいなんだけど……。


「その、ジャージに着替える時に下着くらいなら見えるんじゃないかな。――あのさぁ、平均的な女子高生的な感じにしたいわけでしょ? 華ちゃんは。……なんて言うか。一応は潜入工作員なんだし」

「えぇ、まぁ……」

「だったら明日、私のチョイスで間違ってなかったって思うはずだよ」



 本人の好みはもちろん優先してあげたいが、明日は体育の実習がある。

 着替えの時には下着を見られるのが確定してる以上、肌色でお腹まであるパンツを、しかも華ちゃんが履いていたら。必要以上に目立つのは想像に難くない。


 彼女の身の回りは、できる限り普通にしておかなきゃいけない。

 アヤメさんからの依頼のことはあるけれど、それ以前に。

 悪目立ちするのは華ちゃんの性格を考えても避けてあげないと。

 ほっといたって目立つんだから。




 あやめさんのレベルまで。見た目だけで無く、性格的にも突きぬけているならどうにでも成るのだろうけどね。


 もし仮に。彼女の下着がひらひらフリルのいっぱい付いた、黒でセクシー系の如何にもなヤツだったとして。

 おまけにスカートの中身はガーターベルトで、あの清楚な白いストッキングを吊っていたとしても、それはそれで周りもなんか納得しそうだ。


 少なくても私は納得する。

 そこまで行かなくたって、レースの地味なガーターリングなんかはホントに付けてそうだしね。

 ハイソックスがたるんでる姿を、想像さえ出来ないあやめさんである。

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