焦りと悲鳴
緋絽です!
フッと息を吐いてドアノブに手をかける。
なんだかすごく久しぶりな気がする。気のせいかな?
ガネルの病室の前で少し躊躇っている。
なんとなく、怖い。もしかしたら自分の正体を見られてるかも―――――。
「おい、何してんだよ」
ギクッとしてカナタを見る。
「大きい声出すな!」
もしかしたらレナ達に正体がバレたかもしれないことを話す。
「ふーん?まあ……」
ぼくを見てニヤッと笑った。
「俺は大丈夫だから心配ねぇな」
「他人事だと思って!もしバレてたらカナタもバラしてやる」
「何!?ちょっと待て!!」
ガチャっとドアが開く。
「あら?2人とも何してるんですか?」
「わあ、リュカ、カナタ!!生きてる!!」
「おー!生きてる!!」
「なんだよ、生きてるって!」
「だって死んだかと思ったし」
「全然。完全なる勝利!」
Vサインを見せて笑う。
「リュカ君、指に何かついてますよ」
「え?」
手を見ると赤いものがこびりついていた。
しまった……!落としきれてなかった……!!
『血のようですね』
げっ、的をあてた答え!!
「あー、あいつにやられた時に切ったのかも………」
「大変っ!!血は止まってますか!?」
ガシッと手を掴まれる。
「――――え?う、うん。大事ではないよ」
「よかった…………」
リルがほっとした顔になった。
「え?え?あ、うん………」
「他に怪我はしてませんか?カナタ君も……」
「お、俺はもう病院行ってるから……」
なんだ。なんか過剰に反応されたような………。
「心配してたんですからねっ、本当に!!」
「すみません」
「本当……殺されるんじゃないかと………」
「大丈夫、それはないから♪」
「そうそう。俺達不死身だから」
部屋に入って椅子に座る。
それから雑談を繰り返した。
守れたんだなぁと実感する。
「…リュ、リュカ……」
レナに袖を引っ張られる。
「ん?何?」
少しためたってから何かを差し出された。
これ……指輪―――――!!
「リュカの、だよね」
「……………」
ご、誤魔化しがききそうにない!どうしよう……!!
「もしかしてリュカさっ、私達の部屋の前で――――」
「あっ、これっ、探してたんだ!よかったレナが見つけてくれてたんだ!!そっかレナの部屋で落としたんだー!!あ、でも割れてる」
「え……あ…違う……、リルの部屋……」
「あっ、そうなんだ。ありがとうレナ」
「うん」
ほっとした顔になって笑った。
ふう。切り抜けた。
ポンと肩を叩かれる。
「ん?」
「リューカーくーん、カーナーターくーん……。先生と少しお話しようかぁ………」
悲鳴が上がった。
次は夕さん!




