55話「無垢なる異物」
エレシュティッシェ
雷属性の下級魔法
指先をわずかに痺れさせる
静電気を引き起こす
いたずら以外の用途はないが
すべての放電性の術式の基礎となる魔術である
――13紀 2109年 夏火の月 10日
「『切り裂く風〈シュトゥルツァイセン〉』!」
少年の澄んだ声が、静寂の広がる空き地に鋭く響き渡った。直後、突風が地表を駆け抜け、生い茂っていた雑草が一斉に刈り取られる。切断された葉が舞い散るとともに、青く湿った草の匂いが立ち昇った。
『シュトゥルツァイセン』――中級風属性に分類される魔術。それは、明確に他者を傷つけるために生み出された魔法であった。
「……“使える”のは、これくらいかな」
アオイは一冊の分厚い本を片手に持ち、ぽつりと呟いた。その使い古された表紙には、『スクルタス図書館』の文字と、貸し出しを管理するためのコードラベルが整然と貼られている。
「本当は『火』とか『地』の魔法で、根ごと消したいところだけど……」
背後で呆然と佇む老人に説明するように言葉を紡ぎながら、アオイは周囲に立ち並ぶ民家へ視線を巡らせた。
使えない……それは技術的な未熟さゆえではなく、あくまでも周囲環境へ配慮した上での合理的な結論。火の延焼や、地盤を揺るがすことによる建造物への損害というリスクを考慮すれば、この密集地で選択すべき手段ではなかった。
「まあ、芝生みたいでいいかもね。あとは……」
均一な高さへと切り揃えられた雑草が織り成す緑の絨毯……まるで粗悪なサッカーピッチのようになった場所へ、アオイはゆっくりと足を踏み入れた。
そして、空き地の中央に居座る重厚なコンクリート製の土管を見つめた。
「別に、壊してくれても構わんのじゃが……」
老人が引きつるような声を漏らした。
「うん……でも、それは“最終手段”かな。音も出るだろうし、後片付けも面倒そうだし……」
アオイは土管へ歩み寄ると、その冷たい表面に指をかけた。そして、持ち上げるように指先に力を込める。だが、土管はピクリとも動かない。
「……『強化魔法』かな」
強化魔法――正式には、『身体強化魔法』と呼ばれる魔術。
その名が示す通り、肉体に魔力を巡らせて身体能力を引き上げる技術。使用する魔力の属性や性質、魔力回路の許容できる魔力量には、個人の資質によって天と地ほどの差があるが、小学校を卒業する頃には誰もが感覚として身につけている初歩的な魔術である。
「火の濃度を上げるか……」
強化魔法において、火の魔力は主に『力』を司るとされる。その単純で使い勝手のいい性質から、多くの者が制御に挑み、そして挫折していく。
アオイは器用に片手で本をめくり、紙面を視界に収めながら小さく呟いた。そして、淡々と全身に魔力を流し込んだ後に、再び指先に力を込める。
――ゴゴ……
鈍い音を立て、土管の端がわずかに地面から浮き上がった。
「まさか……」
老人の乾いた声が響く。
しかし、アオイは一度首を傾げると、持ち上がりかけた土管を静かに元の場所に下ろした。
「……違うな。これじゃあ、効率が悪い」
ぼそりと漏れた言葉とともに、紙をめくる音が整然と響く。
「持ち上げる力だけじゃなく、そもそもの重量を軽く――必要な力を減らせれば……」
アオイは小さく呟きながら、次々とページをめくり続ける。
「……となると、『立ち昇る気流〈テルミーク〉』か、『引力を阻む霧〈ヒネーヴィタツィオーン〉』か――いや、それならそもそも……」
突然、ピタリと本を閉じると、アオイは手のひらを土管へと差し向けた。直後、巨大なコンクリートの塊がふわりと宙に浮き上がる。
アオイは目の前で起きた現象に満足したように頷くと、手のひらを空き地の端へと向けた。すると、土管もまたその動きに追従するように、滑らかな軌道を描いて指定された場所へと移動し、静かに着地した。
「……そんな魔術が……載っておったのか!?」
老人が怯えるような眼差しで、アオイへと問いかけた。
「いや……でも、『闇』と『風』、あと『地』の魔力を上手く合わせたら、できそうだなって思っただけ」
『念動力〈グラキネーツィオン〉』――対象の重力場へ干渉し、自在に動かす上級闇魔術に属するもの。アオイがたった今、行使してみせたのは紛れもなくその『グラキネーツィオン』であった。
だが、上級魔法が記載された書物が、公共の図書館の棚に並ぶことはまずあり得ない。上級魔法は本来、魔術を生業とする魔術師たちの専売特許。彼らの利権と検閲の網を潜り抜けて、一般に流出することなどまず不可能だった。
「とりあえず、準備はできたね」
独力で上級魔法へと到達したことなど微塵も気に留めず、アオイは出来上がった「広場」をぐるりと見渡す。
しかし、この程度の仕上がりで「天才」の心が満たされるはずがなかった。ただ雑草を刈り、障害物を退けただけの平地など、孤児院の庭と大差ない。
アオイが大切な姉へと贈りたいのは、彼女が全身全霊でサッカーに没頭できる至高の場所なのだから。
◆ ◇ ◇ ◇
――13紀 2109年 夏火の月 11日
雲ひとつない青空の下、アオイは大きなバッグを背負いながら、いつものように「広場」へと足を進める。
しかし、その背後には、異質な光景が広がっていた。長さの異なる硬質な金属棒が、まるで群れを成したように、宙を滑るように追従していたのだ。
「アオイくん、それは……?」
広場に現れたアオイに、老人が目を丸くして問いかけた。
「さっき、ホームセンターで買った棒だよ。ゴールに使おうと思って」
アオイは何でもないことのように振り返り、屈託のない笑みを浮かべる。
つい昨日、自らの感覚のみで編み出したばかりの『グラキネーツィオン』。それを当然のように使いこなし、アオイは重い金属たちを易々と運んでいた。
「ゴールひとつに8本……それがふたつ必要だから、全部で16本だよ」
アオイが手や視線で指示を出す素振りを見せずとも、宙に浮く棒たちは次々と、各々の行くべき場所に向かっていく。そして、空中で交差し、組み合わさって、瞬く間に二組のゴールの骨組みが描き出された。
ひとりでに金属棒が動く合間に、アオイは背中のバッグを下ろし、中から重厚な束となった巨大なネットを取り出す。
「クラスで、親が漁師をやってた子がいて。その子からもらったの」
地面に広げられたのは、荒波に耐えるために頑丈に編み込まれた漁業用の網だった。その独特な潮の匂いを残すネットを抱え、アオイはゴールの片側へと歩み寄る。
「まずは、くっつけちゃおうか……」
アオイが呟き、小さな手をかざす。
次の瞬間、組み合わさっていた金属棒の接点同士が、眩い赤熱を帯びて溶け始める。そして、互いの境目がなくなった刹那、ジュッと短い音を立てて急速にその温度が下がっていった。
金属を一瞬で溶解させるほどの高温を制御する『火』の魔術。それを間髪を入れずに冷却させる『氷』の魔術。まったく異なる魔術を、少年は当然のように同時に行使してみせた。
「……本当は、そのまま冷ました方がいいらしいんだけどね。でも、危ないから」
この金属の場合、熱加工を施した直後に急激に冷却すれば、内部構造にもろい欠陥が生じやすくなる。ボールが激しく叩きつけられるゴールであれば、本来なら時間をかけた自然冷却で強度を保つのが好ましい。
だが、乾燥した草が広がる街中の広場に、高温の物体を放置するのはあまりにリスクが高すぎた。
「まあ、補強はするけどね……『金属の支配者〈ベヘメルシェン〉』」
アオイは、溶接されたそれぞれの接点に手をかざしていく。外見上では何ひとつ変化は起きなかったが、少年は満足したように大きく頷いた。
「あとは、網をかけて固定するだけで……完成!」
出来上がった枠組みに漁網を被せ、金属の破片を釘のように打ち込み固定する。
アオイが広場に足を踏み入れてから、十分もしないうちにサッカーゴールは完成してしまった。
「……スゴイじゃないか! 本当に、本当にサッカーができる広場が完成してしまったじゃないか!」
老人は言葉を失ったように、感嘆の声を漏らした。
しかし、完成した「遊び場」を見渡す少年の瞳に、達成感は宿っていない。風に揺れる青い草の上で、アオイはただまっすぐに、まだ見ぬ至高の領域を見つめていた。
「……これじゃあ、学校のグラウンドと変わらないよ」
アオイの口から漏れたのは、冷めた呟きだった。
最低限の準備が整った今、もう一度目標を立て直す。「姉」が求めているサッカーは、ただボールを蹴るだけの遊びではない。味方がいて、敵がいて……連携と駆け引きが交錯するギリギリの真剣勝負。
そして、それを成立させるために絶対的に必要なのは「人」――一緒に試合をしてくれる者が不可欠。だが、孤児院の幼い「弟妹」たち相手では、ハルカが全力を出し切れるはずがない。同学年、あるいは自分たちよりも年上……すなわち、近所の子供たちを、このピッチへと引き込まなければならない。
だが、ただゴールを設置しただけの整っていない遊び場では、校庭や公園の魅力に到底勝てるはずがない。
子供たちの心を惹きつけ、集いたくなるような場所を作らなければ……
(『本物』を再現したらどうだろう……?)
脳裏に、かつて見た画面の中の光景が鮮明に浮かび上がる。湧き上がる大歓声、巨大なデジタル掲示板、そして選手や観客を包む快適な環境。
サッカーを愛する誰もが息を呑み、胸を躍らせる『本物』のサッカースタジアム。それをここに再現できれば、他の遊び場との“競争”に勝てるのではないか。
(なら……何が足りない?)
スタジアムの光景を一つひとつ分解し、必要な要素を頭の中で吟味していく。
「……うん、工夫次第では作れるね」
小さく呟くと、アオイはゆっくりと立ち上がった。
「今日はもう帰るね。また明日!」
傍らで見守る老人に手短に言葉をかけ、荷物をまとめると、アオイは足早に「遊び場」を後にする。その足は新たな知識を求めるように、スクルタス図書館へと向いていた。
◇ ◆ ◇ ◇
――13紀 2109年 夏火の月 12日
早朝の静寂が広がる「遊び場」。ゴールネットの内側で、アオイは本を片手に地に腰を下ろしていた。
――α1、α2……α7、α8の八点に囲まれた領域を『Goal α』とする
――『Goal α』内で、『Definition 1』が付与されたオブジェクトが検知された場合、『Board 1』の『α Team Score』に1ポイント加算する
――β1、β2……β7、β8の八点に囲まれた領域を『Goal β』とする
――『Goal β』内で、『Definition 1』が付与されたオブジェクトが検知された場合、『Board 1』の『β Team Score』に1ポイント加算する
サッカーにおける最も基本的なルール――球体が枠を超えた瞬間に得点となるシステムは、すでに自動化できた。
試合の開始前に、使用するボールに『Definition 1』を付与しさえすれば、ゴールと同時にホログラム式の掲示板――『Board 1』へ即座に点数が反映される。
他にも、得点時に楽器音を再生するシステム、花火が打ち上がったような演出の術式……そして、それらの音が周囲の民家へ及ぶのを防ぐための防音結界を構築する予定である。
「あとは、『温度検知〈テルモメータ〉』の魔法陣か……」
「スタジアム」全域に、気温を検知する『魔法陣』を設置しておく。スタジアムの温度が指定範囲から外れた場合に、連動して組み込まれた『温風を送る魔法陣』と『冷風を送る魔法陣』が自律的に起動し、気温を調整するのだ。
快適な避暑避寒の場としても機能すれば、プレイ目的以外の人間も自然と吸い寄せられ、やがて歓声を送る観客層となり得る。
「あとは、人を呼び込むだけ……」
術式の構築を終え、アオイは静かに息を吐いた。
クラスメイトや街道を行き交う同年代の子供たちに、声をかける自分の姿を思い浮かべる……
「……使える魔法、ないかな」
最後にして最大のハードル。最も重要な工程――他者へ歩み寄り、言葉を届けるその一歩だけは、魔法の力ではなく、己の内にある「勇気」に頼るしかないのだろうか……
◇ ◇ ◆ ◇
「暑い……おかしいな。冷房はちゃんと動いてるはずなのに……」
教壇に立つ教師が、不審そうに呟きながら壁際の冷房設備へと手をかざした。吹き出し口からは間違いなく冷たい風が吹き出している。それなのに、教室の暑さは一向に和らがない。
「なんでこんな、クソ暑いんだよ!」
隣の席に座る姉が、不機嫌さを隠すことなく毒づく。他のクラスメイトたちも同様だった。教科書をうちわ代わりに扇ぐ者、持参した小型扇風機を必死に顔へ向ける者……教室全体が、逃げ場のない熱気に侵食されていた。
「ね、ねぇ……おかしいね。こんなに暑いなんて……」
ハルカの言葉に合わせるように、アオイは気弱げな声を漏らした。しかし、次の瞬間、不自然なほどに朗らかな大声を張り上げる。
「そ、そういえば! 三丁目のはずれに、すっごく涼しくて『サッカー』もできる広場があるんだよね!」
静まりかけた教室の中に、その声は異様なまでに明瞭に響き渡った。
「アオイ……お前、急にどうした?」
ハルカが不審げな視線を向け、眉をひそめる。
だがアオイは、その問いかけには取り合わず、ちょうど再開した授業に集中するフリをして、教科書へと視線を落とした――
――やがて授業の終わりを告げるチャイムが鳴り、10分間の休み時間が訪れる。
「ねぇねぇ、アオイくん。さっきの『涼しい場所』ってどこ?」
暑さに耐えかねた様子の女子が、縋りつくような眼差しでアオイの席へと駆け寄ってきた。
「三丁目だよ! 『サッカー』でも何でもできちゃうくらい、広くて快適なんだ!」
ここぞとばかりに、アオイは再び教室中に届くほどの声で答える。
「マジで!? 本当にサッカーできるの?」
その魅惑的な響きに吸い寄せられるように、ぞろぞろと同級生が集まってくる。
「本当だよ。『サッカー』できるよ!」
群がるクラスメイトたちを前に、アオイは親切な『優等生』の笑みを張り付かせた。
冷房をつけても暑い……当然の話だ。なぜなら、現在進行形でこの校舎全体の気温を5℃ほど上昇させているのだから。
この逃げ場のない酷暑の中で、「涼しい」というキーワードを人の耳が聞き逃すわけがない。
「友達とか兄弟も誘って、みんなで遊びに来てよ」
わざわざ一人ひとりの元へ話しかけに行く必要などない。圧倒的な「需要」さえ作り出してしまえば、飢えた者たちは勝手にすり寄ってくる。
そして噂話というものは、恐ろしいほどの速度で尾ひれを付けて広がっていくものなのだ。
◇ ◇ ◇ ◆
「こっちだよ、ハルカ姉!」
放課後の青空の下、アオイは帰路に就こうとしていた「姉」の袖を引いた。
まずは近所のスーパーマーケットへと寄り道し、「割り箸」の束と「ザラメ糖」の袋を買い揃える。
そして今度こそ、自らが作り上げた「目的地」へと足を進めた。
「なんだよ! こんな暑い日に……いや、そんなに暑くねぇか……?」
授業中の酷暑に比べ、外の気温は不気味なほどにいつも通りだった。その差に戸惑いつつも、ハルカは前を歩く「弟」の背中に従った。
やがて、路地の角を曲がった先に広がった光景を視界に収めると、ハルカは身体をこわばらせ、目を見開いた。
不格好な二つのゴール。荒れた地面が透けて見える緑のピッチ。それらとは対照的なまでに、美しく空間を彩るホログラムの数々。そして、その光の合間を埋め尽くすように集まる子供たち。
「ハルカ姉のために作ったんだ、『サッカースタジアム』」
アオイは、誇らしげに胸を張った。
「本当に、お前って奴は……『バカ弟』だな……」
ハルカは空を見上げながら、アオイの頭へ無造作に手を置き、その長い黒髪をクシャクシャと何度も撫で回した。
「ちょ、ちょっと。やめてよ、ハルカ姉!」
頭が揺さぶられる感覚に、アオイは思わず目をつぶって抵抗の声を漏らす。
「……たく。しょうがねぇから、ちょっとだけ遊んでやるか!」
口では悪態をつきながらも、ハルカの足取りは軽やかだった。期待に胸を躍らせるように、弟が設えたピッチへと足を踏み入れていく。
「みんな! ハルカ姉も入れてあげて!」
アオイは、ピッチの上でボールを追っていた子供たちへ向けて声をかけた。
「もちろんだよ。……ただ、それよりもアオイくん。このスコアボード、ゴールを決めても動かないんだけど……」
汗を拭ったサッカー少年の指摘に、アオイはすぐに納得したように頷いた。
「待ってね、今、準備するから……」
アオイは膝を折り、足元のボールへ静かに手をかざした。
「うん、準備できたよ。ハルカ姉、試しにシュートしてみてよ」
アオイはボールを、ハルカの足元へと置いた。
「ああ……」
ハルカは短く答えると、助走をつけるためにゆっくりと数歩下がる。そして、一気に地面を踏み込むと、右足でボールを蹴り抜いた――
――暴風がピッチを駆け抜け、アオイの長い前髪が吹き散らされる。普段は隠されているおでこが、一瞬だけ白日のもとに晒された。
直後、空気を震わせて「ピピ―!」と鋭いホイッスルの音が鳴り響き、ファンファーレのラッパが打ち鳴らされた。虚構のホログラムが描く花火が空へと打ち上がり、スコアボードの数字が刻まれる。
「すっげぇ!」
子供たちから怒涛のような賞賛の声が上がった。
アオイは、すべてのシステムが問題なく動いているのを確認すると、静かにピッチの外へ出る。
そこにも、暑さを避けるためか、あるいは目新しいホログラム演出に惹かれたのか、子供たちが集まっていた。
「どうも、みなさん。よかったらなんですけど、『わたあめ』食べませんか?」
アオイはレジ袋の中から割り箸とザラメ糖の袋を覗かせ、人懐っこい笑顔で話しかけた。その提案に、子供たちは一斉に瞳を輝かせる。
砂糖と割り箸さえあれば、“簡単”にわたあめは作れる。
砂糖を液体へと溶かす「火魔法」。その液体を制御し、空中へ少しずつ細く押し出す「闇魔法」。そして、解き放たれた砂糖液を冷やし、糸状へと変形させる「風魔法」。たったこれだけで、すぐに出来上がる。
もっとも、その手軽さだけで「わたあめ」を選んだわけではないが……
(砂糖で報酬系を刺激して、依存させちゃお……)
糖分を摂取することで脳内に充満する快楽物質。この場所に来れば甘美な快楽が得られると脳に学習させ、条件付けを行うことで、この「サッカースタジアム」への“常連”を着実に獲得していく。
「ちゃんと全員分あるから、大丈夫ですよ」
アオイは笑顔を張り付けながら、作り出された白い雲のような甘い快楽を、群がる子供たちへ次々と配っていった。
ベヘメルシェン
地属性の中級魔法
金属に干渉する術式
その対象は、結晶構造にまで及ぶ
鉱石系と呼ばれる魔術は
地属性の中で極めて異質な位置づけで
それゆえに習得できる者も極めて限られている




