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魔法少女転生 〜魔法少女になったのに初陣で死んだ私、異世界で残機5の魔王討伐を開始します〜  作者: 罪木葛士


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第28話 魔法少女、気づく

 ゴリラ魔獣との狙撃合戦は……地味な上に、ひたすら私の精神を疲弊させるものだった。


「『クリスタルランサー』!!」


 破壊光線は狙ったつもりの場所の遥か右斜め上に着弾する。


「『クリスタルランサー』! ……あぁくっそ、当たらないっ!」


 指先を左下にずらしたら、今度は遥か左斜め下に当たる。そして石が飛んでくる前に逃げる。以下繰り返し。


「お、終わる気がしない……」


『このままだと、どっちかの初弾がまぐれで当たりでもしない限り堂々巡りモヒ』


「ゴリラ魔獣、疲れてへばったりしないかなぁ……そしたら安全に乱射できるのに」


『魔獣は通常の生き物とは違うモヒ。その気になれば、一週間くらいは休まずに戦い続けることが可能なくらいタフだモヒ』


「うへぇ……確実に私の方が先に力尽きる……」


 相手の方が命中精度も非常に高いことを考えたら、長期戦になればなるほど不利だ……次は当てないと……!


「『クリスタルランサー』! ……あぁもう!」


 ゴリラ魔獣の狙いを外すために、私は常時移動し続けて、狙撃ポイントを変更し続けている。けれどそれは、同時に私の狙いも毎回リセットされるということで……。


「どうやったら当たるの〜〜〜!?」


 せめて惜しいと思える一発があればいいのに、何発撃ってもカスリもしない。

 どちらかというと、精神的な疲弊で先に参ってしまいそうだ。


「うがーっ! とりゃーっ!」


 ヤケになって、『クリスタルランサー』を構えたまま6連射する……と、そこで不思議なことが起こった。

 6発撃ったうち、4発目だけがゴリラ魔獣の右、だいぶ惜しいところを掠り、それ以外は大きく右に逸れたのだ。


「へ? 今の……」


 ドゴォン!


 至近距離で石が炸裂し、慌てて壁の裏へ逃げ込む。相手が外してくれて助かったけど、下手したらまた残機が減っていたかも……。


「モヒちゃん、今のって……」


『待て……別口の魔獣が接近中モヒ』


「えぇっ!? マジで!?」


『右方向、およそ400メートル……まだこちらには気づかれていないが、気づかれたら相当マズいモヒ』


「踏んだり蹴ったりだぁ……しょうがない、このまま壁に隠れながら、もう一匹の方から先に倒す!」


 望遠鏡を覗くと……確かにいた。牛みたいな見た目だけど、背中に羽が生えている魔獣。


「くっ……『クリスタルランサー』!」


 放たれた破壊光線は、ほんのわずかに直撃を逸れ、ウシ魔獣の角をへし折る。


「はれ? く、『クリスタルランサー』!」


 少しだけ指先を下げて撃つと、今度はきれいにウシ魔獣の顔に命中し……頭の上に輪っかを浮かべ、羽がパタパタと舞い上がり、ウシ魔獣は光に包まれて消滅していった。


「え? 簡単に当たった? はれぇ???」


『何か掴んだかモヒ』


「いや、まったく……今、何であっさり当たったの?」


 そういえば、ゴリラ魔獣相手に6連射したときも、何でか一発だけ惜しい位置に飛んでいった……。

 思い出せ、あの時私はどう撃っていた? ゴリラ魔獣は、何をやっていた?


「あの時私は、飛び出した直後にやけくそで構えて、着弾位置の補正とか考えずに6連射した。ゴリラ魔獣はこっちを見て石を投げて、次の石を拾って……」


 4発目を撃ったときだけ……ゴリラ魔獣は石を拾うために下を向いていた……?


「ねぇモヒちゃん、もしかしてさ……今までのは当たらなかったんじゃなくて、ゴリラ魔獣の能力で当たらないようにされてたんじゃ……?」


『その可能性はあるモヒ』


 私は検証のため、一度飛び出て投げさせたあと、石を拾うタイミングを見計らって撃ち込んでみた。

 ゴリラ魔獣が下を向いているときに放った破壊光線は……魔獣のやや左上、さっきまでよりだいぶ近い位置に着弾する!


「ビンゴだよ! こっちを見てるときは逸らされるんだ!」


『ふむ……よくぞ自力で、そこまで気がついたモヒ』


「へっへ〜ん、私だってやるときはやるんだよ〜☆」


『調子に乗るのはまだ早いモヒ。結局のところまだ当てられていないことに変わりはないモヒ』


「そーなんだよねぇ〜……どうしよっか……?」


 基本的に、チャンスと呼べるタイミングは……私が飛び出し、魔獣が一投目を投げた直後。石を拾うときに下を向く、その瞬間だけ。

 このあいだに一発撃って、アジャストして二発目を撃つ余裕はほぼない。相手が二投目を外してくれればチャンスができるけど、死ぬかもしれないのに相手のミスに賭ける余裕はない……。

 結局、アジャストなしで即ぶち当てる以外に勝ち目がないんだ。これはキツい。


「何か、アイツの気を引く方法はないかな……」


『待て……さっき会った人間、あいつがこっちに近づいてきてるモヒ』


「はっ!?」


 直後。


 ドゴォン!!


 私が顔を出していないのに、投石の音が鳴り響き……


「ひえぇぇぇっ!?!?」


 甲高い悲鳴が鳴り響いた! ラジーさんだっ!


「ヤバいっ! 『ライトシールド』!」


 急いで盾を展開し、正面に躍り出る!


「早くこっちにっ! ラジーさん、走って!!」


「ひぃっ!? れ、レイカさんっ!」


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