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魔法少女転生 〜魔法少女になったのに初陣で死んだ私、異世界で残機5の魔王討伐を開始します〜  作者: 罪木葛士


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第23話 魔法少女、再び旅立つ

 山越えには相応の準備が必要ということで、支度を整えるために、私はヤーマフ・モートの街に3日ほど滞在した。


 まずは市場で周辺の地図を購入したけど、山の裾野までしか載ってなかった。次に望遠鏡を購入し、街で一番高い物見櫓ものみやぐらから山を観察して、モヒちゃんと相談しながら、険しい場所を避けて山向こうに到達可能なルートを1日かけて考えた。


 次に、大きめのザックを買い、食料と水、布団代わりのタオルとシートを購入した。異世界冒険譚だと、『アイテムボックス』とかいう便利なスキルでなんでも楽に運べるのが定番だけど、私にはそんな便利スキルはないので、全部背負っていくしかない。とほほ。


「モヒちゃん、タヌキソヴァ要塞まではどのくらいかかるかな?」


『可能な限り『グロリアスロード』と『フラッシュジャンプ』を駆使して突っ走ったとして、厄介な障害が無ければおよそ10時間程度モヒ』


「理想でそれだよね? 普通に魔獣もいるだろうし、2日はかかると睨んでいいかな……」


 魔獣がいる山の中で野宿するのかぁ……何かあればモヒちゃんが知らせてくれるだろうけど、怖いなぁ……。


『野宿に不安があるなら、オリハルコンを用意しろモヒ。洞穴に入って入り口にオリハルコンを敷いておけば魔獣避けになるモヒ』


「そっか、元々魔獣避けに使われてるって言ってたよね」


 というわけで私はロロネア様に頼み込んで、屋上にあった例の箱からオリハルコン箔を剥がし、それをいただくことにした。

 高価なものらしいけど、快くタダでくれて良かった……。


 次の日は1日オフの日にさせてもらった。ずっと緊張にさらされているというのも、健全な中二女子としてあまりよろしくないと思ったからだ。

 ステイシー邸の広すぎるお庭にて、コトちゃんとピクニックごっこをして遊んだ。芝生の上にシートを敷いて、二人で座ってサンドイッチを食べた。フルーツとバタークリームが挟まれた、甘くて美味しいコトちゃんのフルーツサンドは、なんとコズールさんが作ったものだと聞いて、目ん玉飛び出るほど驚いたものである。私より女子力高いのかよ……。

 その後は、山を観察するのに使った望遠鏡で、二人で一緒に街のいろんな風景を覗いて遊んだ。面白いものを見つけるたびに、ひまわりみたいに喜んでくれるコトちゃんが可愛くて可愛くて……とても楽しいオフの時間を過ごさせてもらったのだった。


「あはは、楽しいねっ! コトちゃん!」


「うんっ、おねーさん、だいすき!」


 幸せだぁ……。




◆ ◇ ◆ ◇ ◆




 オフが終わって3日目の朝。

 街に入ってきたのとは反対側の出口、山の裾野へと続く道の上に私は立っていた。


 郊外だというのに、旅立つ私を見送るために、ロロネア様、コズールさん、メイドさん、そしてコトちゃんが集まってくれていた。


「もう行ってしまわれるのね。あなたの道に祝福のあらんことを」


「ありがとうございます。魔王討伐、頑張ります!」


 ロロネア様と暖かい握手を交わし――


「俺から言えることはシンプルだ。死ぬなよ、魔法少女」


「ありがとうございます。コズールさんのフルーツサンド、美味しかったですよ!」


 照れくさそうなコズールさんに手を振って――


「れ、レイカどのぉ……ご達者でぇ……うぅ、グスッ……」


「ありがとうございます、メイドさんもお元気で!」


 泣きじゃくるメイドさんの肩を優しく撫で――


「おねーさん……また、あえる?」


「……魔王を倒したら、絶対にもう一度、会いに来る! 約束だよ!」


 不安そうなコトちゃんを抱きしめて約束を交わし――


「それじゃ、行ってきます! 『グロリアスロード』!」


 ステイシー邸の皆さんに別れを告げて、私は走りだした!


「頑張れよーっ!」

「お元気でーっ!」

「またねーっ!」


 皆さんの応援を背中に受けて……魔法少女クリティカル・レイカは今日も行く!






「うぅぅぅ~……コトちゃぁ〜ん……さみしいよぉ〜〜っ!!」


『あんだけカッコよくお別れを決めたのに、誰もいなくなったらこのザマかモヒ』


「だってぇ……さみしいもんはさみしいんだもん」


『とっとと魔王を倒して、戻ってくれば良いだけのことだモヒ』


「それもそうだね、よし! 最速で最短で、まっすぐいってぶっ飛ばす! 一直線にぶっ飛ばす!」


『そのいきだモヒ。……っと、山に入ったモヒ』


 気がつけば、周りの風景はガラッと変わっていた。

 手入れされてない低木林、数多に転がる苔むした岩。赤茶けた土が剥き出しの道を走っていると、人里を離れたんだという実感が湧いてくる。


「よしっ、ここを左にいけば、厄介な草むらを避けて、比較的平坦な道を」


『止まれモヒ』


「無慈悲だねキミッ!?」


 ドギャギャギャギャッ!!


 土煙をあげて私は急停止する。落ち着いて耳を澄ますと、遠くから何か声みたいなのが聞こえてきた。


「なんだろう、誰か叫んでる?」


『前方から何者かがこちらに走ってくるモヒ。反応的に……どうやら魔獣に追われているようだモヒ』


「それはまずいね、助けなきゃ!」


 いつでも『クリスタルランサー』を撃てるように指を構えながら、前方に目を凝らすと……


「たっ、助けてぇーっ!!」


 亜麻色の長い髪をポニーテールにまとめた、若い女性がこちらに走ってくる!

 そして、その女性を追いかける魔獣はといえば……


「ダチョウ……なのかな?」


 後ろ姿は確かにダチョウ……ダチョウがこちらに尻を向けて、ムーンウォークの要領で爆走しながら女性を追いかけていた。


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