お母さん
「ハッチ?!ハッチなの?!あぁハッチ。小さくて可愛い子。」
キツくきつく抱きしめる母
その力強さに深い愛情を噛み締める子
「…こんなに立派になって…この子ったら…」
「おかぁさぁん。」
「ケガしたりしてない?」
ハッチを撫でまわす母。
「へーき。あのね、うんとね、……」
ここまでの冒険を精一杯伝えるハッチ。
拙い言葉を愛おしそうに頷きながら聞く母
お互いの涙が乾いた頃母が問う。
「あなた、役目は果たしたの?」
「うぅん、トンネルが途中でドカーンってなって…すごく迷って迷って…」
「まだ届けられてないのね。ハッチ。」
「だってボクこれっぽっちしかないんだよ。他のお兄ちゃん達が居ればボクなんて。」
「ハッチよく聞いて。」
真正面からハッチを見据える母。
「お兄ちゃん達はきっと先に行ってアナタの事を待っているわ。だって、アナタがいないと完成しないもの。」
「…う、うん。」
「さぁ、あなたの勇気をお母さんにみせて。」
ギュッと口をへの字に曲げる。
「…お母さん…、ぼ、ぼく、…」
ハッチの頬を両手で包み込む母。
優しく微笑みかける。
宙を泳いでいたハッチの視線が母を捉える。
「うん。わかった。早くお兄ちゃんたちに残りの8ビット届けるよ。」
「じゃあ、行ってくるね」
迷いなく飛び立つハッチ。
その後ろ姿に向かっていつまでも手を振る母。その頬を冷却水が濡らす。
「行ってらっしゃい」




