なにこの茶番!?
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事件が起こったのは、その2日後のことでした。
いよいよ冬祭りを2日後に控え浮足立つ空気の中、生徒会だけは目の色を変えて準備に追われている……そんな日の午後の授業が終わった直後でございました。
突然の全校放送で、わたくしが学長室に呼び出されたのは。
「アリアドネ様?何か……」
「さあ……わたくしにも心当たりが…」
心配そうに聞かれても、首を振るしかありません。通常ならば教授からの呼び出しは、直属の従卒が伝えに来るか、気軽なものならば守護精を飛ばします。こんなふうに、全校に呼び出しをかけるなんてことは今まで……まさか、お兄様の身に何か?!
こちらも驚いている担当教授に断りを入れると、わたくしは急いで学長室へ向かいました。
扉の前で息を整え、軽くノックすると、すぐに学園長先生の声がして入室を促されます。
「失礼いたします」
そう言って扉を開け、顔を上げたわたくしは、室内で待ち受ける面々に、少しだけ目を瞠ってしまいました。
正面の執務机に座る学園長先生、執務机の前のソファに座る副学園長先生、監督官のバスター教授……このお三方が揃うということは、結構な大事ですが、まだ判ります。
ですが、副学園長先生たちの対面に座る主任作法教師のハドリー先生とその隣のベアトリス様……このお二人は何なのでしょう?
「お呼びでしょうか。学園長先生」
不審に思いつつも学園長先生に向き直ったわたくしに、学園長先生が口を開くより早くハドリー先生が厳しい声を上げました。
「アリアドネ・ランバウム!あなたに問い質したいことがあります」
まあ!なんて不躾な!
作法教師とは思えないその行動に、思わず息を飲みます。この部屋の主も、わたくしを呼び出したのも学園長先生。それなのに、その学園長先生を遮って声を上げるだなんて!
「問い質したいこと……でございますか?」
「ええ!心当たりがおありでしょう!?」
「まあ、待たぬか、ハドリー先生。藪から棒にそれではランバウム嬢も訳が分かるまい」
あくまでも居丈高なその態度に、わずかに眉を顰めていた学園長先生が割って入りました。不満そうに黙るハドリー先生を確認し、わたくしに座るよう促します。
「さて、ランバウム嬢。聞いての通りだ、きみに、下級生を辱め学園行事であるリキエシタを妨害したとの嫌疑がかかっておる」
「はっ?」
思いもよらない言葉に、わたくしはおよそ淑女らしくない声を出してしまいました。
妨害?辱める?いったい何の話?
「ふむ……。その様子からすると、身に覚えはないようだね?」
「当然ですわ!寝耳に水です!なぜわたくしがそのような疑いを!?」
「んまあ!白々しい!」
わたくしの反応から心当たりがないことを汲み取ったのでしょう、穏やかな学園長先生とは対照的に、ハドリー先生はわたくしの答えを聞いて憎々しげに吐き捨てました。
「往生際が悪くてよ!アリアドネ・ランバウム!あなたの所業に関しては、わたくしの許へ告発が届いているのです!殿下の婚約者だからといって、なんでも許されるとお思い!?」
「少し落ち着きたまえ、ハドリー君」
「いいえ!このような思い上がった生徒は厳しく罰するべきなのです!王妃殿下や陛下の前ではしおらしい顔をしておいて、陰では下級生を虐げているなんて!!」
顔をしかめた副理事長先生が窘めるものの、ハドリー先生はなおもいきりたちます。
「だいたい、先生方はこの娘に甘すぎるのです!先日も従者様を貶めようとしてあんな騒ぎを起こしたばかりではありませんの!侯爵家の威光を恐れずあの時に放校処分にしておくべきだったのですわ!」
きっちりと結った髪を振り乱し、青筋を立ててがなり立てるハドリー先生は、いつもの取り澄ました先生とは別人のようで……わたくしは口をはさむこともできず、唖然と見つめるしかありませんでした。
……正直言って、この先生によく思われていないのは感じていました。
わたくしにだけあたりがきつかったり、些細なことを注意されたり。でも、それはわたくしが将来『国の顔』となる立場であるから―――次期王妃であるからこそだと、そう思おうとしていたのです。
「ハドリー君!あの件ではランバウム嬢はむしろ被害者ではないか!」
「いいえ、いいえ!!被害者などとはとんでもない!すべては人前で下級生を辱めようという、この娘の性根の悪さが引き起こしたこと!!でなければ、殿下があのような振る舞いをするものですか!!」
声を荒げるバスター教授に怒鳴り返し、ハドリー先生は大きなため息をつきました。
「そもそも、アリアドネ・ランバウムのような底意地の悪い、傲慢な娘を殿下の婚約者に据えたのが間違いなのです。殿下の周りにはこのベアトリス嬢のような、弱い者のために立ち上がる優しさを持った令嬢がいらっしゃるというのに。ねえ?」
「まあ!恐れ入りますわぁ、ハドリー先生」
まるで人が変わったかのように隣のベアトリス様に声をかけるハドリー先生と、嬉しそうにしなを作るベアトリス様……さすがのわたくしもイラっとしてしまいます。
いったい何なのでしょう。この集まりは?わたくし、何のために呼ばれましたの!?
「……そろそろ、本題を伺ってもよろしいでしょうか」
わたくしはまっすぐに学園長先生を見つめてそう言いました。
「わたくしに何やら嫌疑がかかっているとのことですが、先ほども申し上げました通り、わたくしには全く身に覚えがございません。せめてどのような嫌疑なのか教えていただけなければ、申し開きのしようもございませんわ」
「ふむ、確かに。では………ハドリー君。冷静にな」
「……はい。学園長」
それでも、さんざん喚いて落ち着いたのでしょうか。学園長先生に釘を刺され、ハドリー先生は気を取り直したように手許の書類を取り上げました。
「まず、アリアドネ・ランバウム。あなたは先日わざわざ謝りに来たドロレス・アルジャンテ……いえ、ドロレス・モンテナ嬢を無視した挙句階段から突き落そうとしましたね?」
「いいえ」
「嘘おっしゃい!しかもあなたはそのあと、止めに入った従者様の友人3名を侮辱し、脅しつけたそうではありませんか!」
「ハドリー君!その件は本件とは無関係ではないか!」
「本題は、リキエシタ妨害の疑いについてだろう?」
「いいえ!無関係とはいえませんわ!御覧なさいな!権力を笠に着た、この生意気さ!教師に向かって反論するなんて、言語道断!淑女として、ありえない行いですわ!!」
ハドリー先生を止めようと、副学園長先生とバスター教授が割って入りますが、それは火に油を注ぐ結果にしかならなかったようです。
「いいですか!アリアドネ・ランバウム!わたくしの目を誤魔化せるなどと思わないことね!わたくしは、あなたの愚かな母親の面影に惑わされた王妃様のように甘くはありませんからね!!」
「ハドリー君!!」
「なんということを!!」
さすがに学園長先生も副学園長先生もハドリー先生をしかります。
でもわたくしは。
わたくしは、ろくに息もできないまま、自分を押さえるのに精一杯でした。
だって、今このかたは―――ヒステリックに叫び続ける女教師は、わたくしのお母様を……わたくしを護って命を落とした、わたくしのたった一人のお母様を、愚か者と言ったのです……!!
「ランバウム嬢、不適切な発言を謝罪させていただきたい」
「……………ええ。わたくし個人としては謝罪を受けさせていただきますわ」
ややあって、学園長先生が謝罪されるのにもそう答えるのがやっと。それからわたくしは顔を上げ、顔を真っ赤にしているハドリー先生を真っすぐに見据えました。
「ですが、今は先に問題を片づけてしまいましょう。わたくし、生徒会の仕事がまだ残っておりますの」
そのときのわたくしは、相当に恐ろしい形相をしていたのでしょうか。
わたくしの怒りを真正面からぶつけられたハドリー先生は一瞬真っ青になり、それからわなわなと震え出しました。
「アッ……アリアドネ・ランバウム!あなたというひとは……」
「まずはドロレス様の謝罪の件でしたわね」
怒り心頭であろうハドリー先生を無視し、わたくしは学園長先生に向き直りました。
「あれはドロレス様の謹慎が明けて2日ほど経ってのことです。生徒会室へ向かう渡り廊下でドロレス様に呼び止められましたの。ドロレス様は確かに謝罪めいたことをおっしゃっておいででした。でも、そのうち後ろに下がり始めて……段差から足を踏み外しそうだったので、腕をとって引き寄せました。そうしたら、わたくしがあの方を階段から突き落とそうとしたと泣き出したのですわ」
「……ふむ。では、階段から突き落とそうとした事実はないと?」
「もちろんです。第一、あの渡り廊下のどこに階段がありまして?」
「まあ!そんな出まかせを!従者様があなたに謝罪しているのを、何人もの生徒が見ているのですよ!」
「そうですわ、ドリーちゃんのお友達も、ドリーちゃんは勇気を出してあなたに謝りに行ったのに、って!」
「ええ、ですから謝罪らしきことはおっしゃっていた、と申し上げましたわ。ご友人のジャンヌ・ベリエール様、エレナ・ミンハム様、パトリシア・カイゼル様が駆けつけていらっしゃったのはそのあとです。一部始終は3年のハンナ・ビベカ様がご覧になっておいででした。お尋ねいただけば、きっとそう証言してくださるはずですわ」
「でっ…でも、その下級生をあなたは脅して……」
「パトリシア様がそうおっしゃいましたの?あれはパトリシア様が根も葉もない噂を肯定するような発言をなさったからですわ。わたくしも注意すべきと思いましたが、先にハンナ様が窘めてくださいました。パトリシア様も反省なさったようなのでその場のことで納めましたが……侯爵家として問題にすべきだったと?」
ちらりと見やると、ハドリー先生とベアトリス様はうっと詰まりました。
そうですわよね。わたくしの対応に文句をつけるということは、パトリシア様を罰せよと言っているようなもの。おやさしいご令嬢のベアトリス様にはできませんわよね。
「で……では、リキエシタのことはどうなのです!!あなたは礼を尽くしてリキエシタを申し込んだ1年生を邪険にし、あり得ない点数をつけて辱めた!間違いとは言わせませんよ!!こちらには、動かぬ証拠があるのですから!!」
気を取り直したようにがなり始めたハドリー先生がさっと掲げたのは、わたくしがキッペリング様に渡した、0点の赤カード。
「彼の作法は完璧だったはずです!それなのに、あなたという人は………いいですか、彼は210点を集めていた!あなたさえきちんとした評価を与えていたら、彼は歴代1位であったフォルクス伯の214点を抜き、1位になっていたのかもしれないのですよ!!」
「まあ!それで……」
あの時、『自分のリキエシタを完璧なものにしてくれ』とおっしゃったのはそういうことだったのですね。
「そうです!それなのに、あなたは自分に真っ先に申し込まなかったからと、ジュリアンの努力をぶち壊しにした!!彼の、一生に一度のリキエシタを台無しにしたのですよ!」
「……その訴えは、キッペリング様ご本人からですの?」
怒りに震えるハドリー先生に、わたくしは静かにそう言いました。
あの時の状況を隠してわたくしから渡されたカードのみで告発したのなら、それは見下げ果てた行為だと呆れたからです。
「まさか!気高いあの子がそんなことを言うものですか!彼は、『すみません、先生、届きませんでした』と寂しそうに微笑んで、結果を提出しただけです!妙に沈んだ様子なのを見て、わたくしがカードを調べ、発見したのです。唯一の赤カード、あなたの不正の証拠をね!!」
「そうですわ!ジュリアン君は紳士ですもの。そんな酷い目にあっても教師に告げ口などなさいませんわ。ただ、うちのドリーちゃんたちに漏らした弱音を聞いてしまって。あたくし、黙っていられませんでしたの!だって、あんまりなんですもの!!」
「ベアトリス嬢の立派な行為だけではありませんよ!その話を聞いたほかの1年生からも告発が集まっているのです!あまりにも悪質だとね!!」
「本当かね?ランバウム嬢。告発どおりもし君がプライドを傷つけられたという理由で不当な評価を与えたのだとしたら、私たちとしても看過はできん。なにしろ、リキエシタは学校行事。公明正大に行われるべきものだからね」
勝ち誇るお二人と副学園長先生の確認に、わたくしは深いため息をつきました。
「1年の、アラン・サイファー様。ドナルド・ユーシス様。ヒューイット・バッカス様。グレアム・トランテス様……そして、オスカー・ハンコック様。この方々に聞き取り調査はなさいまして?」
「何を馬鹿なことを!」
もうこんな茶番には付き合いきれないと、学園長先生に直接伺ったわたくしを、ハドリー先生はせせら笑います。
「証拠は挙がっているのですよ!今更ほかの1年を巻き込んで何をしようというの!」
「少し黙りなさい。ハドリー君。いや、彼らの話は聞いていない。ハドリー君が十分に裏付けの証言は得たというのでね。して、彼らが何か?」
「彼ら……正確には、ハンコック様も当事者だからですわ。ハドリー先生たちがおっしゃるのは先週末、リキエシタ最終日の放課後のことでしょう。わたくしは、ハンコック様からのリキエシタを受けましたの」
何か口出しをしようとして副学園長先生に止められるハドリー先生を無視し、わたくしは学園長先生の目を見て続けます。
「ハンコック様のリキエシタは不慣れながらも、一生懸命さが伝わるものでした。同席していたマリナ・サフォノワ様、リディア・フェアリントン様のご指導を受け、何度もやり直すお姿を微笑ましく見ていたところ、突然キッペリング様が割り込んだのです」
「なっ……」
「わたくしは、今はハンコック様のリキエシタの最中だと申し上げました。それでもキッペリング様は強引にリキエシタを……ですから、わたくしはそのカードを差し上げたのです。作法は完璧だった。だから10点、でも重大なマナー違反がありましたので、マイナス10点、差し引き0点だと、採点の理由も添えて。……ハドリー先生、それにベアトリス様?」
わたくしは言葉を失ったお二人に向き直りました。
「キッペリング様は、そのことをおっしゃいまして?あのとき、キッペリング様は多少ごねはしたものの、最後まで礼儀を欠くことなく退出なさいました。ですからわたくしは、少々行きすぎな所はあれど、きちんとご自分の非を認めて潔く引き下がってくださったのだと、報告しなかったのです。それが、ご自分の所業を隠して先生や周りの方々にさも被害者のように言っていたのだとしたら………残念だとしか言いようがありませんわね」
「う……そです!そんな!」
呆然とするベアトリス様とは裏腹に、ハドリー先生は真っ青になって身を乗り出しました。
「ジュリアンは、あの子は完璧……完璧なのです!礼儀も作法も完璧で……わたくしの最高の生徒の一人なのです!それが、そんなマナー違反をするはずが……」
「では、リキエシタの邪魔をされたハンコック様や、一部始終を見ていたマリナ様、サイファー様たちに伺ってみては?……十分な裏付けを得たと言うのなら、この方々の話を聞いていないはずはありませんわよね?」
「どうなんだね!?ハドリー君!!ベアトリス嬢!」
「い……いえ、そんな……あたくしは……ただ、善意で……ジュリアン君が不当な扱いを受けたのだとばかり……」
「では、キッペリング卿がランバウム嬢から不当な扱いを受けたと!?そう言ったのかね!」
「い…いえ……ただ、へまをして……アリアドネ様から点をいただけず記録更新はならなかったと……」
「結局のところ、片方だけの訴えを聞いて、わたくしが悪いと決めつけたのですね」
去年退任なさった前の主任作法教師、ストラトス先生とは違い、ハドリー先生は生徒のえり好みをするという噂があります。
わたくしの両親も、新任教師だったころのハドリー先生に教わったことがあるそうですが……きっとそのころからお母様をよく思っていなかったのでしょう。当然、髪と目の色こそ違えどそっくりだと言われるわたくしのことも。
「ふむ……それが事実なら、むしろ非はキッペリング卿のほうにあると言えよう。彼はハンコック卿のリキエシタに割り込んだ挙句、ランバウム嬢の虚偽の悪評を流したことになる……」
「嘘です!出鱈目ですわ!この娘は氷の蛇姫と呼ばれるほど冷酷な娘ですのよ!?その1年生だって、おおかた買収されたか脅されたかで協力を……」
「出鱈目なのはそっちです!!」
副学園長先生の言葉に形振り構わずハドリー先生が喚いたとき。
不意にノックもなく扉が開き、ハンコック様が転がり込んできたのです。
「まあ!ハンコック様!?」
「なんだね!きみは!!」
さすがのわたくしも驚いて立ち上がり、バスター教授が非難の声を上げます。ですが、学園長先生だけはにこにこと微笑み、そっと片手を上げました。
「よいよい、これは、きみの守護精かね?」
その手のひらにちょこんと座ってたのは、小さな白ネズミではありませんか!
「はっ!1年、オスカー・ハンコックであります!失礼ながら、お話は聞かせていただきました!」
勢いあまって転びそうになったハンコック様はびしっと直立不動の姿勢を取ります。と、同時に学園長先生の手のネズミがふわりと宙に溶けました。
「無作法は承知の上ですが、アリアドネ様の呼び出しを聞き……もしやこのことではと、守護精を放った次第であります!!」
次第って………すごいですわ、ハンコック様!全然気づきませんでした。斥候としてとんでもなく優秀な能力ですわね!……じゃなくて!
「アリアドネ様のおっしゃることは本当です!あの時、キッペリング卿はぼくのリキエシタを馬鹿にし、割り込みました。アリアドネ様はそのマナー違反を咎め、正当な評価を下しただけなんです!」
茶番につきあいきれなくなっていたわたくしが現実逃避をする間にも、ハンコック様は学園長先生に向かって訴えます。
「出鱈目なんかじゃありません!アランやドナルドや……ぼくを心配したみんなが、陰から全部見ていました!リディ先輩やマリナ先輩も、ぼくにアドバイスをくださったんです!!」
「それが本当なら、ランバウム嬢への告発は、甚だ見当違いということになりますな」
「どうなんだね、ハドリー君!調査は完璧だと言ったではないか!」
「っ……証明できますの!?」
バスター教授と副学園長先生に詰め寄られ、切羽詰まったかのようにハドリー先生は叫びました。
「こちらにはアリアドネ・ランバウムがあり得ない得点を付けた証拠があります!あなたは!?証人と言っても、全部あなたの友人でしょう!?口裏を合わせていないとなぜ言い切れるのです!」
「できますよ?証明」
そんな声とともに、またしてもノックなしで扉が開き。
「マリナ様!?」
今度はマリナ様が学園長室に入ってきたのです。
「お持ちしました。バスター教授」
「うむ。ご苦労、マリナ嬢」
戸惑うわたくしたちと学園長先生に一礼し、マリナ様は皆様の前のテーブルに、灰色の小袋を置きました。
そうして。
「そろそろ、こんな茶番はおしまいにしましょう」
そう言って、彼女は見たこともない冷たい目でハドリー先生を見下ろしたのです。
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