表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺と姉貴がオンラインゲームで付き合ってる話 続々  作者: 黒斬行弘


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/41

ログアウト

 狩りが終わって、俺はすぐにブラックアース掲示板に行ったよ。だってめちゃくちゃ気になるじゃん!


 普段はわざわざ自分達の事を検索したりなんか絶対しないけど、あんなこと言われたら気になるに決まってる。


 そもそも「俺個人」にわざわざ言ってきたって事はさ、自由同盟がって言うより、俺の事が書かれてるんじゃねーの?あー見るのこえーなあ。


「何よ、早くページを開きなさいよ」


「うわああああああああっ!」


 急に後ろから声が聞こえたんでびっくりして振り返ると里奈の奴が立っていた。


「お前急に入って来るんじゃねーよ」


「はあ?ノックしましたああああっ!」


「え?」


「あんた全然反応なかったわよ」


 ああ、なんか色々考えこんでたしな・・・。


「で、早く開きなさいよ」


「急かすなよ!ちょっと見るの怖いんだよ!」


「そんな大した事書いてないわよ。大体あんた知名度ゼロじゃない」


「大きなお世話だ!」


「あーもうじれったいわね!貸しなさい!」


 里奈はそう言うと俺からマウスを奪い取り、勝手に掲示板へと入っていく。あーもうどうにでもなれ!


「カシオペア総合だっけ?」


「そうだよ」


 里奈は俺の返事を聞いて、どんどんマウスをクリックしていく。


「あった。ここね」


 そこには、ブラックアースカシオペアサーバー総合掲示板と書いてあった。


 俺もあんまり見に来たことは無いんだけど、要塞戦の感想や目立っているプレイヤーについての話し、またはギルドについての話題が大半だ。以前ちょっとだけ自由同盟の要塞戦について書かれたことがあったな。


「ん~、自由同盟について書かれている場所はっと・・・」


 里奈が検索キーワード「自由同盟」を打ち込み、検索を始めた。すると、10件ほどがヒットしたようだ。


「あれ?思ったより少なくね?」


 実明(みはる)さん達から言われてたんで、めっちゃ多いのかと思ってたよ。


「まあ、そんなもんでしょ」


 少し気が楽になったので、とりあえず見ていく事にする。


【自由同盟の前衛見たけど、なんであれで要塞戦出れるのか神経疑うレベルだぜwww】


 検索一発目の書き込みがこれだった。いや、それは俺も自覚してるつもりだった。けど、他人に言われてるのかと思うと、ちょっとこれはきつい・・・。


「ま、まあ、これくらい書き込む奴だっているでしょ!シャイニングナイトのあの変な奴みたいなのがいるんだし!」


 里奈はあくまで平静を保とうとしているが、明らかに俺に気を使っている。そしてその後もキーワードに関係なく、ずっと流れを読んでいった。


「ダークマスターって名前の奴中二病かよwwwダークをマスターってwww」

「自由同盟って、昨日ニュースに載ってたとこ?」

「あーどっかで見たと思ったら、INTヒーラーの記事のとこか?」

「なんか夫婦で日記書いてたよな?ギルドマスターだっけか?」

「あのINTヒーラーの日記面白いぜ」

「ダークマスターの日記もあるじゃんw」

「それみたwくっそつまんねーのwww」

「エリナだっけ?なんであいつ自由同盟なんかに居るの?」

「ブラックアウト移籍しないんだろ?」

「あんなくそ前衛のギルドにもったいない。うちにこねーかな」


「里奈、もういい」


 さすがの俺もちょっとこれは耐えられそうにない。ちらっとその先も見えたんだけど、俺の事をぼろくそに書いてた。


 内容は、「たいして強くない癖に、要塞戦で口だけは出すカス」だ。他にも身内しか知らないようなネタも入ってた。


 つまり、BMAか自由同盟の誰かが書いた可能性が高いって事だ。これ以上はちょっと見る勇気が無い。


「何よこれ!絶対誰かがひがんで書いてるだけじゃない!一体誰よ!こんなの書いたのは!」


 里奈はブチギレていた。まあこいつの性格からして、匿名掲示板なんかに身内の悪口書くような奴は大嫌いだろうな。


 いや、それにしてもちょっとショックだ。いや、身内から言われたこともそうだけど、名前の事とか、日記の事とか、自分のレベル的な事とか・・・。色々全部ひっくるめてさすがにこれは・・・。


「あんたもあんな事くらいでへこむんじゃないわよ!」


 まあ、これはこいつなりに俺を励まそうとしているんだろう。それはわかる。わかるんだが・・・。


「すまん、ちょっと一人にしてもらっていいか?」


「え?あ、うん」


 さすがにいつものように反発してこないのを見て、里奈もそれ以上は何も言ってこなかった。


「ちゃんと寝るのよ?」


 最後にそれだけ言って部屋を出て行った。


 いやあ、これはちょっと中々寝付けそうにねーよ。でも寝なきゃな・・・。俺は深夜遅くまでずっとそんな事を延々と考えていたよ。


 明日はBMAと要塞戦の打ち合わせがあるんだけど・・・。はあ、出たくねえ。


◇◆◇◆◇◆◇◆


「え?二つ?一つじゃなくて?」


 そう思ったのは、何も声の主である里奈だけじゃなかったはずだ。


「そうなんです!さっき見たら、アップデートで増える要塞は二つだそうです」


 ここは、ブラックアースのゲーム内の宿屋兼酒場の2階だ。ちょっとした広間になっているので、ここを借りてよく会議に使っている。今はBMAとの要塞戦の打ち合わせ中だ。


 本当は出たくなかったんだが、そんなわけにもいかず会議に出席している。けど、この中の誰かが、掲示板に書かれていたような事を思ってるんじゃないかと考えると、いつものように積極的に意見したりは出来なかった。


だって「弱いくせに口だけ出すカス」だぜ。


 なんかさ、一度あんなのを見てしまうと、実際には言われても書かれても無い事を、自分で勝手に想像しちゃったりして、それで余計にへこんだりしてさ。もうなんか、ずっと悪循環なんだ。


 もっとひどい事、実はみんな思ってるんじゃねーの?とか、延々考えてしまう。


「ダーク君大丈夫?さっきからずっと大人しいけど」


「あ、いえ何でもないです。すみません」


 俺がずっと喋らないのを見て、千隼(ちはや)さんが声を掛けてくれた。何やってんだよ俺・・・。


 せっかく要塞の事で盛り上がってるのに、水を差すような事はしたくねえ。


 あ、ちなみにこの事、つまり俺がぼろくそ言われていた事は言わないでくれと里奈には言ってある。


 あいつは


「なんでよ!こんなの卑怯だし許せるわけないでしょ!」


 と、おかんむりだったが、あまりみんなに余計な心配や負担をかけたくない。


 あんな事知らずにいれればそれに越したことは無いのは、俺が身をもって感じてるからな。


 けどさ、あそこに書かれていた事は、実はずっと俺も感じていた事だ。INTヒーラーとしてサーバー内でも知名度も高く、しかもブラックアウトのようなギルドからも一目置かれている俺の姉貴。


 んでその相棒である俺は、レベルも高くなく装備もたいしたことは無い。黒乃さんから誘われて、少しだけど、俺もやればけっこういけるんじゃないか?なんて考えてた事もあった。


 でも、実際の俺の評価なんて、掲示板に書かれている通りなんだよ。そもそもあそこで俺の事が話題になったのだって、里奈の知名度が上がったからであって、俺が何かしたわけじゃない。


 あーダメだダメだ!なんかずーっとこんなこと考えてるわ。あれだ、こんな日はみんなを誘って、パーッと狩りにでも行くか!そうしよう!


 そういうわけで、会議が終わるや否や、俺はギルドチャットで「狩りに行こう!」と提案した。


「おっけ~♪どこ行く?どこに行っちゃう?」


 素早く反応してくれたのは千隼さんだ。たぶんさっきの会議で俺の様子がおかしかったのを察してくれてるんだろう。この反応はしょぼくれている俺には大変ありがたい。


「まあ仕方ないわね。ついていってあげるわよ」


 これは里奈だ。こいつもいつも通り俺と接してくれている。


「もちろん参加です。今日は特大レアが欲しいです」


「俺も行くぞ!死者の島までにレベルも装備ももうちょっと上げたいからな!」


 これは燈色と利久だ。二人ともやる気満々なので、こっちもその気になってくるぜ。


「よーっし!今日はガンガンモンスター倒すぜ!」


 さっきまでのうっぷんは全部モンスターにぶつけてやる!


「えー?でもダーク君の装備じゃ、ガンガンモンスター倒せないじゃん~」


 俺がそう決意していたら、明海(あけみ)さんがそう言ってきた。


「里奈ちゃんのお供のモンスターの方が強かったりしてーw」


【なんでだよ!俺の方が強いに決まってるでしょうが!】


 いつもの俺だったら、むきになってそう返してたはずだ。そして明海さんから「えー?ほんとかな~?w」とか返ってきて、そこに団長が「まあまあまあ」とか入ってくるんだよ。


 いつもだったらな。


 自分のレベルや装備が、里奈とは天と地の差ほどあるってのは、ずーっと認識させられてた。利香にもレベルの事で驚かれたしな。たぶん里奈と一緒くらいと思ってたんじゃねーかな。


 だからもうそれは知ってるんだよ。わかってるんだ。わざわざ掲示板やギルドチャットで、俺に知らせてくれなくてもいいんだよ。


 あと、明海さんに悪気が無いのも知ってる。


 そして俺はこうチャット欄に打ち込んでいた。


「あんたに俺の何がわかるんだ!」


 ダークマスターがログアウトしました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ