なんだそれ?
「ええ!?先輩何であんな武器2本も持ってるの?」
燈色さんひどい言い草だな。
とは言っても、他にもっと有用な代替品がある以上、そう言われても仕方ない武器なんだよな。
「一本は安くて手頃な値段だったんで自分で買ったんだ」
シャイニングエアーはとにかく安い。光属性が付いてる事が最大な特徴なだけで、あとは無属性凡庸武器と一緒だからな。しかも属性枠が光りで埋まってしまってるのもマイナス要因だ。
武器には属性を追加できるんだけど、すでに付いている場合、それを除去してから付けなおす必要がある。だったら最初から属性無しの武器の方が良いわけだ。シャイニングエアーだと、光属性を外さなきゃいけいわけだしね。
じゃあなんでそんな面倒な武器を購入したかと言うと、俺には属性とか関係ないからだ。
そもそも属性が絶対に必要な狩場には行く事がほとんどないし、里奈と一緒に行く場合は、それなりに効果は劣るが、属性魔法を武器にかけてもらえるからな。
これが神秘の塔なんかでは絶対必要だ。あそこは階層ごとに属性が分かれていて、殲滅スピードや被ダメージを考えると、属性武器は必須アイテムとなる、らしい。行ったことが無いから全部聞いた話だ。
「なるほど。属性を無視すれば、同性能武器の中では一番安いかもしれませんね」
「そういうこと。今は無駄遣いしたくないからな」
「無駄遣いどころか、一攫千金のチャンスになりましたね」
「でもさ」
「なんですか?」
「光属性と言っても、後から属性付ければいい話だし、それでシャイニングエアーの値段が上がるのおかしくね?」
だって考えても見ろよ?今持ってる武器に光属性付ける方が絶対安上がりだぞ?今現在の価格が上がる前の安いシャイニングエアーを買うよりも安い価格で属性変更は出来る。なのになんで価格が高騰するの?
「先輩、後付け属性と、最初からついている属性では性能に凄い差があるんです」
「え?そうなの?」
「はい。ざっと3倍は効果が違うと検証結果が出ています」
「3倍・・・まじかよ」
「しかもシャイニングエアーは、対アンデット特別効果付きです」
「なんだそれ?」
「光属性の効果に加え、対アンデットモンスターに特別なダメージが追加されます」
「ええ!それめっちゃ強いんじゃないのか?」
「ですね。だから価格高騰が予想されているんです」
なるほどなあ。いやあ、前から不思議ではあったんだ。後付けで属性変えられるのに、なんでわざわざ高い武器買うんだ?って。これで納得したわ。
「しかしお前よく知ってるなそんな事」
「色々調べているうちに、偶然知った感じですね」
偶然そんな事実を知ったって、どれだけ勉強してるんだこいつ。うーむ、姉貴と燈色は、まじでレベル100なってしまうかもしれんな。
んー、なんかみんなどんどん俺を置いていきそうで、ちょっと悲しい。俺も頑張らないとなあ。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「やっほーダークさん!」
俺がいつものように倉庫で整理をしていると、そう声を掛けられた。
「よ・・・ってあれ?桜さんも一緒?」
そこには、お兄ちゃんLOVEこと利香と、桜マスターこと実明さんが立っていた。
「こんにちはダークさん」
そういってお辞儀ポーズをとる桜さん。
「さっきそこで桜さんとお会いしたので、新しい島とか要塞の事について話してたんですよ」
「はい」
「ああ、なんかアンデットの島らしいな。俺はまだ公式サイト見て無いんだけど」
俺は燈色からアンデットの島だという話は聞いていたが、その詳細まではまだ見ていないんだ。
「そうなんですか?パーティー推奨の高難易度高経験値狩場らしいですよ」
「やっぱそうか」
ブラックアースも運営開始からそれなりに時間がたって、高レベルプレイヤーも増えて来た。なので、人気狩場にプレイヤーが多くなってきたんだよな。だから増やすなら高レベル帯の狩場だとは思ってた。
「お兄ちゃん大好きは、初日から参加する感じ?」
「そうですね。皆で行こうかって話にはなっています」
「先輩のとこは?」
「うち?うちは・・・そうだなあ」
たぶん自由同盟だと、里奈はブラックアウトと一緒に行くだろうし、燈色はどうかな。もし可能なら、どっかのギルドで連れて行ってもらえないだろうか?
「まあ、まだわからん」
「エリナさんと千隼さんが居れば、なんとかなるんじゃないですか?」
「ん~、でも師匠とかは、ブラックアウトと一緒にいくんじゃね?」
「え?エリナさん、ブラックアウトと一緒に狩りに行ってるんですか?」
俺と利香で話していると、実明さんがそう言ってきた。そういや実明さんは、里奈が黒乃さん達と一緒に狩りに行ってる事は知らなかったっけ。
「ちょっと僕らのギルドでは高レベル狩場には対応できないんで、黒乃さんにお願いしたんですよ」
自由同盟でどうにか出来れば良かったんだが、なんせうちにはそういう人材がいない。千隼さんは個人的事情で無理みたいだしな。
「そうだったんですね。でもエリナさん、ホントは自由同盟の皆さんと一緒に行きたかったんじゃないでしょうか」
は?なんだそれ?
俺は実明さんのその言葉を聞いて、ちょっとカチンときてしまった。そんな事わかってるんだよ。でも仕方ないだろ?俺達のギルドじゃ無理なもんは無理なんだよ。
ただ、実明さんが悪意を持って発言したわけじゃない事もわかってる。そんな人じゃないのはこれまでの行動から証明できる。なので今のは俺が短気だったんだと思うわ。
「ああでも、自由同盟だからこそエリナさんも今までずっとゲームやってた気がしますし!」
利香が慌ててそう言ってきた。
あれ?もしかして、思ったより長い時間黙りこくってたか?やばい!なんか言わないと!
「ああ、そうだなあ。まあ、俺を除けばみんなやる気や上昇志向は高いから心配無用ですよ」
「えっと、先輩・・・?」
「あのなんかすみません、余計なこと言っちゃって・・・」
利香は明らかに戸惑っているし、実明さんは文字からでも消え入りそうな雰囲気が漂ってきている。
うわああああああああ!違う!違うんだ!やばい!なんかてんぱって言葉がうまく出て来んぞ!
「いやいや!違うんだよ!俺さえ後は頑張ればなんとかなるギルドだから、超がんばるぜ!って話だ!」
「なんだもー!びっくりするじゃないですか!怒ってるのかと思いましたよ!」
「いやごめん桜さん!」
俺はごめんなさいのポーズを取って実明さんの方を向いた。
「いえ、すみませんこちらこそ。なんか、無神経な事を・・・」
「いやいや、無神経はエリナの専売特許なので大丈夫です!」
「先輩、それ、エリナさんが聞いてたら怒られるじゃすまないですよ・・・」
「い、今のは聞かなかった方向で・・・」
「なんですかそれー」
最後は何とか皆の笑いの中、話を終えることが出来た。
あー、それにしてもあんな事でむっとするとか、短気すぎだろ俺。気を付けなきゃなあ。




