2000万ゴールド
さて、ようやく俺も、ブラックアース公式サイトのアップデート情報を見て来た。
まず、アップデートそのものは1カ月後で、その1カ月をかけて徐々にアップデートデータを配信していく。しかし、1か月後に全てのアップデートが実装されるかと言うとそうじゃない。
まず実装されるのは、新マップ「死者の島」だ。
この島は、島全体がアンデットの巣窟となっており、出現するモンスターは全てアンデットだ。もちろんボスもアンデットボスだ。
尚、この島はある一定以上のレベルでないと入島できない制限がある。また、一定時間しか狩りをすることが出来ない。この一定時間内に、島のどこかにボスが出現。倒すか制限時間を超えると、強制的に島の出口へ送還される。
さらにこの島に入島できるのは24時間に1回だけだ。これは、特定のギルドで独占されることが無いようにと言うのが一つ。もうひとつは、島の大きさとサーバー1個当たりのゲームを人口を考えた上での処置らしい。
まあ、島があんまり大きくないので、時間制限をかけることで、皆が島に入れるようにしたいらしい。
噂では、神秘の塔よりも、かなり参加への敷居は低くなっているので、高額レアの類は神秘の塔に劣るんじゃないかと言われていたんだ。
そしてそれが正しかったことが今回の発表で証明された。しかしそれは超上級者に限っての話だ。
俺達中級者からすると、めちゃくちゃレア度の高い狩場なんだ。そして上級狩場へ中々行く事の出来ない高レベル者にとっても、お金稼ぎが出来る美味しい狩場となっている。
つまりこのマップは、ゲーム内で一番多いであろう「中級者~上級者」にぴったりの狩場なんだ。
「なんか、俺達でも島に渡れる気がしないでもないですねこれ」
「あ、それ私も思いました。里奈さんと千隼さんの回復があれば、なんとか頑張れる気がします」
「そうねえ、もし可能なら、ブラックアウトの人達と一度行ってみて、どんな感じか体験してから自由同盟で行くのも良いかも」
「ああ、そうだな。そうしてくれると助かるかも」
いきなり何の前情報も無しに行くと。、俺達では全滅しかねないからなあ。前もって里奈が体験しておけば、かなり助かるのは確かだ。
「ええ、そこはダーク君が「俺に任せとけ!」とかいう所じゃん~」
そんな話を里奈達としているとアッキーさんが割り込んできた。
「無理ですから!」
「ええー、甲斐性が無いなあ」
「じゃあ自分が行ってくださいよ!」
「ダーク君が怒った~。レイ君怖いよー」
「ダーク君、黒を制するのにそんな事じゃダメだろ?」
「関係あ・り・ま・せ・ん!」
なんだよ、俺だって行けるものなら行ってるっつーの!自分だって俺とレベル変わんないじゃん!
ライデンがログインしました。
俺が一人で怒っていると、利久の奴がログインしてきた。
ライデン「こんばんは!ねえ見た!?アップデート情報!なんかすげえ興奮してきたああ!」
入るなりこいつはテンションMAXだ。でも気持ちはわかる。
「ライデンはりきってるねー」
「もちろんだぜ団長!今はまだレベル制限あるけど、絶対近いうちにレベル上げてやる!」
「いいよいいよライデンいいよ!」
団長がここぞとばかりにライデンを誉めている。
利久の奴、この前要塞戦に参加した事で、モチベーションがかなり上がったみたいなんだ。実際あれから、これまで適当にやってたゲームのシステムも、詳細まで知ろうとするようになったし、わからない事はどんどん聞いてくるようになった。
たぶん、今一番ゲームが面白いんじゃないかなあ。こういう奴がギルドに居ると雰囲気も明るくなるよな。
「そういえばライデンは、今レベル幾つになったんだ?」
最近の利久のレベルを聞いてなかったと思って、俺はそうライデンに聞いてみた。
「49!」
「まじかよ!レベル制限解除まであと1じゃん!」
「おう!」
こいつ本当に頑張ってたんだなあ。そういえば毎日ログインしてたもんああ。
「もうすぐお前と一緒に要塞戦参加できるぜ!」
「だな!」
なんかこいつと一緒にカルニスクで戦うとか、ちょっとワクワクするな。ちょっと憧れたんだよね。友達と一緒に要塞戦とかさ。まあ、そもそもブラックアース始めたのもこいつに誘われたからだからな。
利久じゃないけど、俺も姉貴や千隼さんに早く追いつきたいぜ!
◇◆◇◆◇◆◇◆
「先輩!」
ある日俺がゲームにログインすると、ヒイロに凄いテンションで話しかけられた。
「よう。あれ?今日はお前一人なの?」
ログインメンバーを見たら、今日はヒイロしかINしてないらしい。
「そんな事どうでも良いんですよ!」
「お、おう?」
「ユーザー取引所見ましたか?」
「見てないけど、なんかあったの?」
「シャイニングエアーですよ!相場が上がってます!」
「え?ホントに?」
ユーザー取引所と言うのは、ゲーム内でユーザー同士が、武器や防具、又は道具の売買を行う時に使用する、公式の市場システムだ。
システムは簡単で、売りたい人は任意の価格を設定して、売りたいものを登録する。買いたい人は、欲しい物を打ち込んで、表示されたリストの中から自分が買いたいものを買う。
たったこれだけだ。もちろん、購入や販売したいときに、強化数や属性で検索する事もOKだ。
「で、いくらだったの?」
「20Mです」
「は?」
「20Mです」
「まじで?」
「まじです」
まじかよ・・・。20mって・・・。
この世界ではさ、1000ゴールドのお金を1kと略すんだ。10000万ゴールドは10kな。ちなみに100万ゴールドになると1mと略する。
つまり20mは2000万ゴールドなんだ。
じゃあなんで、シャイニングエアーの価格が20mだと驚くのかと言うと、これまでのシャイニングエアーの相場が、大体90~120kだったからだ。
つまり、10万ゴールドの剣が2000万になったんだよ!つまりこれが意味するところは・・・。
「先輩、いきなり40m持ちのお金持ちですよ!」
「どどどどどど、どうしよう!」
「先輩落ち着いて!まずは危ないので私に剣を預けてください。大切に保管します」
「なんでだよ!」
「ちっ、ばれたか。まあでも、前衛職は何かとお金がかかりますから、使い道はちゃんと考えた方が良さそうですね」
「だなあ」
前衛職は魔法が使えない。なので、回復にポーションが大量に必要になってくる。なので、他のクラスと比較しても、装備には気を使わなきゃいけない。
「戦士の証を買ってみてはどうですか?」
「今度実装される鎧だっけ?」
「はい」
戦士の証。確か、毎秒ごとにHPが回復するという、前衛職には待ちに待ったと言っても過言ではない鎧なんだ。特にヒーラーと一緒に狩りに行けない戦士職にとっては、ありがたい防具と言える。
「まあ、相場がどのくらいになるか次第ですけどね」
「シャイニングエアー1本は自分で使いたいから、せめて20m前後になると助かるな」
「あ、やっぱり島で使うように1本は残しとくんですね」
「ああ。アンデット特別効果まで付いてるなら、殲滅スピードもあがりそうだしな」
「ですです」
それにしても20mか。一気に夢が広がりそうな気がしてきた。とはいえ慎重に買い物しなきゃな。




