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10 従兄弟は人見知りだそうでして。

かなり短め。

「…本日はお忙しいなか、わざわざ時間をつくっていただき感謝しています。三河公爵夫人」

「あらあら、気軽に和奏って呼んでくれていいのよ~?」

「はい、えっと……和奏様」

「礼儀正しくていい子ね。うふふ」


 玄関口の豪快なお出迎えからビビったオレは正直緊張している。だって怖いだろ? ようやく到着して名乗ったらいきなり抱き締めてくるわ怒濤のマシンガントークが始まるわ、しまいには父上の昔話されるわで疲労が半端ない。

 父上に叔母様の息子さんに会ってみたいって言ったときの心配そうな顔はこれか。先に言っておいて欲しかったぞ父上よ……。


「ところで香ちゃん、今日は息子のコノハに会いに来たんだったかしらね?」


 おお、従兄弟の名前はコノハというらしい。ここまでの会話に一度も出てこなくて知らないままだった。


「はい。父から同い年の従兄弟がいると聞いたので気になったのです」

「なるほどね……でもうーん、そうね。私としても会わせたいのは山々なのだけど、あの子が出てくるのか分からないのよねぇ」

「出てくる?」

「あの子ったら誰に似たのか極度の人見知りなのよ~。本当なら社交デビューしてもいい年頃のはずなのに夫が甘やかすし、コノハも甘え上手で無理矢理引っ張り出すことも出来なくてね~」


 たぶん夫さんに似たんだろうな。どう見てもこの人からとか絶対ないわ、うん。一万円くらい賭けられる。


 人見知りってことだと玲哉のお友達候補(笑)には向かないだろうけどどうするかな。

 オレの拙いネットワークに優良物件な貴族子息は載ってないぞ。そもそもネットワーク自体広くない。だって友達二人しかいないもん。一人は隣国だし(泣)。

 すべてはこの悪役顔が悪いと思うんだっ!


「取り敢えず呼んではみるわね」

「お願いします」

「来なくても怒らないで頂戴よ」

「平気ですよ。屋敷の外に出る機会なんてそうそうありませんから、駄目だったら街でも散策してみます」


 一応うちって領地持つお貴族様らしいのに領地内を見たことがないんだよね。

 一回だけ頼んだのに『まだかおりには危ないから、もう少し大きくなって大丈夫と思えたら一緒に行こうね』って遠回しに一人で行くなと釘をさされた。

 知るか、オレは屋敷に飽きたんだよ!










 叔母さんが出てってしばらく、オレが革張りのソファーで寛いでいると大きな物音がして、それから叫び声が届いた。


『黙れッッ!────』


 男の子の怒鳴り声にメイドが慌てて廊下に飛び出していった。

 で、そのあと益々酷い音…食器が割れる音とか鳥が暴れるような羽音とかドアが破壊されるようなバキッて音とかが響いてくる訳だが。


 オレはどうすりゃいいんですか。

…ひゃっはあああぁぁぁああ!!

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