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そのスキル危険につき〜第一騎士団公安部始動〜  作者: 風雅みずいろ


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7/17

7)人の記憶に触れるということ

宿につくと裏口に防御、戦闘の2名配置して、俺と結界スキラーは表にきた。

「マノンがいるかもしれないから突入は危険だ」

「普通に宿をとりますか?」

「ああ、俺がいくからついてきてくれ」

元輝はフードを深めに被った。


「2人だが今日空き部屋はあるか?」

「2階の奥の狭い部屋しかないが、いいかい?」

「大丈夫だ。あ、虫が」

俺は虫を払うふりをして受付の男に触れた。


まいったな。

男の記憶はナイスバディのお姉さんのヒップでいっぱいだ。

見回すと奥のテーブル席で太ももを露わにしたレディがくつろいでいる。


「お嬢さんお話聞いていいですか?」

肩に触れると

「気軽に触らないでよっ」

と怒られたが、彼女の記憶はすごい。

カモを狙う女豹の視点というところか。


彼女は怪しげな男たちをガン見したようだ。

金の匂いに敏感なやつはどこにでもいる。

男たちの荷物が少ないことから、アジトは近くにあると推測される。


宿を取ったのち、俺たちは近くを探索した。

そして10分程離れた林の奥にひとつの納屋を見つけた。

急遽近場に駐留している第二騎士団を招集し、納谷を取り囲んだ。


「周りは取り囲んだ。大人しく全員出てくれば危害は加えない」

知輝はありったけの声で叫んだ。

「お嬢さんがどうなってもいいのかよ」

「お嬢さんになにかあればおまえ達の方がまずいだろ?まあ、冷静になれや」


彼らは雇われているだけなので、あっさり捕獲できた。

手足を縛られ横たわっているマノンを抱き上げると記憶の波が流れ込んだ。

俺は思わず声をあげた。

「そうなのか」


俺はマノンに恐怖を味合わせてしまい、ほんとうに可哀想な目にあわせたと思っていた。

だが真実は違った。

マノンは自分が俺を護れなかったことをめちゃめちゃ悔いていた。

恐怖でも恨みでもなく自責の念ではちきれそうだ。

その後マノンは誰1人部屋に寄せ付けず寝込んでいる。


この事件の犯人は領主の血縁の貴族が領主に目をつけられたのを恨んだことだった。

「どの時代でもそんなことで事件が起きるよな」

「知輝の国でもそうだったか」

領主はため息をつきながら言った。

「ところでおまえはマノンの記憶を見たんだろう?」

「はい。恐怖の心など一切なく、騎士団員としては最高の逸材です」

「私はマノンにそれを望んではおらん」

「でしょうね」

「私には会いたくないと頑なにいっておるので、そなたにマノンの心を開いてほしい」

「できるかどうかは不安ですが精一杯やってみます」


侍女に変わって温かいスープをもってマノンの部屋に来た。

「知輝ここにこないで。私なんかにかかわらないでよ。私の記憶見たんでしょ。へたれ騎士のことお父様に言いつけていいわよっ」

泣きながらわめくマノンをよそにスープを置くと部屋の端っこにそのまま座り込んだ。

「なあマノン、もっと周りを頼れよ」

「………」

「おまえのおやじさん、おまえに頼られないのを悲しんでるぞ」

「………」

「おまえ、ゆくゆくは王となる弟を支えてこの国を盛り立てようとしてるだろ。でも弟ができる嫁みつけたらただの厄介者だぞ」

「そんな」

「弟のことだって頼ってやれよ。このままじゃ甘えん坊のままだぞ」


「知輝は頼られたらうれしいの?」

「うれしいさ、自分の価値を認めてくれたってことさ」

マノンは長い間沈黙しているが、心の中でなにかが崩れて生まれていくのを感じた。


どれだけ時間がたったろう。

スープはとっくに冷めている。

やがて泣き腫らした顔を拭って、ちょっといたずらっ子の表情をすると

「じゃあ知輝、ミルクティーと美味しいハチミツ入りのパンもってきて」

「それは侍女に頼ってくれよ」

「あと高価なものはおやじさんにね」

「だめよ。頼られるとうれしいってっいったでしょ」



「私、キラーなるものというスキルを持っているって知って、命をかけて周りを、そして国を護ろうと思ったわ。でも倒れている知輝の横で動けないでいることに、自分で自分が許せなかった」

「それはすばらしいことだけどな」

「お父様寂しかったんだろうな。男だったらまた違ったかもしれないね」

「そうだな。おまえみたいな子に甘えられたらうれしいよ」

内緒だけどちょっと笑顔を取り戻したマノンが愛しく思えた。


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