4)新しいバディ
ここ最近はいかに短時間でマテリアルライズに記憶を保管するか、わずかな記憶取得でも映像化できるかなどの課題に取り組んでいる。
今日も鍛錬をするかと早朝に城の裏庭に向かうと
「ヤっーーー、トゥーーー、ヤっーーー」
剣の鍛錬をしている声が響いているが、あの声はマノン?
生垣の隙間から覗き込むとやはりマノンが騎士相手に剣の鍛錬に励んでいる。
ジャンプしながら打ち込む。瞬時に後ろに回る。
それらの動きは今までのマノンからは想像もできない俊敏な動きだ。
なんといってもジャンプ力がすごい。
相手をしているのは騎士団の中でもいちにを争う精鋭なのにマノンの動きを追えない場面が多々ある。
驚いて見ていると後ろから領主が近づいてきた。
「知輝驚いておるな」
「はい、マノンの動きほんとすごいです。なんで急に」
「実はマノンのスキルは戦闘系なんだ。マノンには幸せな結婚をして欲しくてスキルのことは内緒にしておった。しかし最近、マノンのスキルはレジェンド級のキラーなるものではないかという進言をしてきたものがおる」
「キラーなるものって?」
「この国では最高レベルの戦闘家に数人おるスキルだ。マノンはその話を偶然聞いてしまって鍛錬するようになった」
「いやー、すごい脚力と力だ」
「キラーなるものは気づかずにいれば埋もれてしまうスキルだが、本人が自覚した瞬間に鍛錬と共にその才を現すと言われておる」
こちらに気づいたのか、マノンが駆けてきた。
「お父様、知輝、お願いがあります。私を騎士団公安部に入れてください」
「マノン…」
領主はついにこの時がきたかという覚悟の表情を浮かべた。
「おまえが14歳の時にスキルが戦闘系と知ってしまったが、普通の女性として幸せな結婚をして欲しいと闇に伏せておった。しかしおまえがキラーなるものを自覚してしまった以上、もう止められないのだな」
「俺のスキルは戦闘ではないので、これ以上国の為に働くのであれば戦闘系のバディが欲しいと思っていました。マノンとバディを組ませてください。お願いします」
「運命には抗えないな。知輝、そなたのスキルをもっと磨いてマノンを護りきれるか?」
「もちろんです」
「お父様、鍛錬を始めて思ったんですが、護るのは私よ」
「ごもっともです」俺はちょっと笑いながら応えた。
「わかった、まだ仮の状態だが、マノンを騎士団公安部に所属させよう。このことはくれぐれも内密にな」
「知輝のレミニセンスもまだ未知なるスキルだし、二人で助け合えばこの国をもっと平和にできるはずよ」
「知輝、あくまでもバディだから変な気は起こすなよ」
領主は少しイラッとした表情をしたが、俺たちに期待をかけてくれているのは伝わる。
こうして俺とマノンはバディを組んで、この国を平和で強固にする戦いが始まっていく。




